スポーツのあなぐら

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2021年プロ野球ドラフト会議総評

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1位入札

  入札 外1巡 外外1巡
By 小園健太    
F 達孝太    
D アドゥ・ブライト・健太    
L 隅田知一郎    
C 隅田知一郎 山下輝 黒原拓未
H 風間球打    
G 隅田知一郎 翁田大勢  
E 吉野創士    
T 小園健太 森木大智  
M 松川虎生    
S 隅田知一郎 山下輝  
Bs 木蓮    
  選手名 ポジ 出身 競合
1 隅田知一郎 LHP 西日本工業大 4
2 小園健太 RHP 市立和歌山高 2
3 達孝太 RHP 天理高  
3 アドゥ・ブライト・健太 LF 上武大  
3 風間球打 RHP ノースアジア大明桜高  
3 吉野創士 CF 昌平高  
3 松川虎生 C 市立和歌山高  
3 木蓮 RHP 東北福祉大  
9 山下輝 LHP 法政大 2
10 翁田大勢 RHP 関西国際  
10 森木大智 RHP 高知高  
12 黒原拓未 LHP 関西学院大  

今年は隅田と小園に
セリーグのチームが向かっていき、
パリーグは西武以外全て単独指名となった。
その中で唯一のパリーグ
4球団競合抽選を引き当てるあたり、
パリーグは強運と言わざるを得ない。
入札がばらけたパリーグ
高校生の指名が多かったため、
高校生野手指名でも一番人気指名でも「逃げ」とされた
ベイスターズなどと違い
逃げ扱いされる可能性は低そうだ。
外れ1位では
山下が競合した一方で
1位最有力の1人だった森木が単独、
佐藤隼輔にいたっては1位入札なしという結果になった。

 

各チーム寸評

横浜DeNAベイスターズ

主な補強ポイント
①ショートも守れる即戦力
②高校生外野手
③即戦力の先発

 

1 小園健太 RHP 市立和歌山高
2 徳山壮磨 RHP 早稲田大
3 粟飯原龍之介 SS 東京学館
4 三浦銀二 RHP 法政大
5 深沢鳳介 RHP 専大松戸
6 梶原昂希 CF 神奈川大
育1 村川凪 RF 徳島インディゴソックス
育2 東出直也 C 小松大谷高
育3 大橋武尊 CF 茨城アストロプラネッツ

ByF

ByP

1位入札では13年ぶりに抽選を引き当てた。
3球団以上ではほぼ全敗のチームにあって
2球団競合で済んだのが幸いしたか、
あるいは最大2球団までなのを見越して
小園を指名したとすれば
さすがと言ったところか。
補強ポイントのうち
即戦力内野手は指名なし。
徳山もここ2年は目立った実績がなく、
準即戦力の期待がかかるのは
小園と三浦になるだろう。
梶原は巷の評価に対して
粗さも際立っている素材型なので
即戦力というより
5年後、7年後に期待したい選手。
大学生だが
その意味では補強ポイントにあった逸材だ。

 

北海道日本ハムファイターズ

主な補強ポイント
①社会人ショート(候補がいるかいないかは別)
②5年後、7年後を見据えた大卒、高卒野手全般
③即戦力の先発

 

1 達孝太 RHP 天理高
2 有薗直輝 3B 千葉学芸高
3 水野達稀 SS JR四国
4 阪口樂 1B,RF,P 岐阜第一高
5 畔柳亨丞 RHP 中京大中京
6 長谷川威展 LHP 金沢学院大
7 松浦慶斗 LHP 大阪桐蔭
8 北山亘基 RHP 京都産業大
9 上川畑大悟 SS NTT東日本
育1 福島蓮 RHP 八戸西高
育2 速水隆成 C,1B 群馬ダイヤモンドペガサス
育3 柳川大晟 RHP 九州国際大付
育4 阿部和広 CF 平塚学園

FF

FP

今年はリーグ最下位ながらも
高校生中心、素材中心の指名になった。
達の単独入札は
かつて大谷翔平の育成で自信を持ったからか。
阪口は内野手としての指名とのこと。
高校でのポジションでファーストとしてあるが
チーム事情をふまえると
外野やセカンドでの育成も考えられる。
ある程度即戦力の期待がかかるのは
北山になるだろうか。
バッティングでは目立った結果を残せていない
上川畑の指名を見ると、
ショートの守備力重視の方針は今後も変わらなさそうだ。

 

中日ドラゴンズ

主な補強ポイント
①年代表の穴を埋める野手
②大島の後継センター候補
③高校生投手の指名を控える

 

1 アドゥ・ブライト・健太 LF 上武大
2 鵜飼航丞 LF,DH 駒澤大
3 石森大誠 LHP 火の国サラマンダーズ
4 味谷大誠 C 花咲徳栄
5 星野真生 SS,1B 豊橋中央高
6 福元悠真 RF 大阪商業大

DF

DP

ブライトはおそらく
センター起用も視野に入れた指名と思われるが、
現状ではレフトを1、2位連続で指名する形になった。
全体だと
投手が四球のやや多いリリーフの石森だけ。
故障で投げられない投手が多いわりに
かなり余裕を持った指名である。
外野手3人を指名したため
若手内野手を外野へコンバートする可能性は
少し減ったか。

 

埼玉西武ライオンズ

主な補強ポイント
①ある程度打力のあるキャッチャー、ショート
②時間をかけてもいい外野手
③酷使をせずに済むだけの即戦力投手多数

 

1 隅田知一郎 LHP 西日本工業大
2 佐藤隼輔 LHP 筑波大
3 古賀悠斗 C 中央大
4 羽田慎之介 LHP 八王子高
5 黒田将矢 RHP 八戸工業大第一高
6 中山誠吾 SS 白鷗大
育1 古市尊 C 徳島インディゴソックス
育2 滝澤夏央 P 関根学園
育3 菅井信也 LHP 山本学
育4 川村啓真 RF 國學院大

LF

LP

結果的に
1位入札が予想されていた隅田、佐藤の両獲りに成功した。
佐藤は右脇腹肉離れで評価を落としたものと思われるが、
ここまで下がるとなると
怪我の具合に不安がよぎるのも事実。
4位の羽田も
故障で夏の西東京大会を投げられなかった選手だ。
支配下の野手2人は
補強ポイントに合致した指名だが
古賀は秋のシーズンによい結果を出したことがない点、
中山は4年になってから調子があまり良くない点が
不安材料。
野手育成を得意とするライオンズで
どう鍛えられるか。

 

広島東洋カープ

主な補強ポイント
①即戦力外野手
②野手のポジションはコンバート構想次第
③大卒・社会人、高卒関係なく即戦力投手

 

1 隅田知一郎 LHP 西日本工業大
1 山下輝 LHP 法政大
1 黒原拓未 LHP 関西学院大
2 森翔平 LHP 三菱重工West
3 中村健人 CF トヨタ自動車
4 田村俊介 CF,1B,P 愛工大名電
5 松本竜也 RHP Honda鈴鹿
6 末包昇大 RF 大阪ガス
7 高木翔斗 C 県立岐阜商業
育1 新家颯 LHP 田辺高
育2 前川誠太 SS 敦賀気比
育3 中村来生 RHP 高岡第一高
育4 坂田怜 RHP 中部学院大

CF

CP

1位は3連続で左の大学生投手に入札。
支配下の投手は
即戦力とされる大学生・社会人を獲得する一方で
野手は
社会人2人を含めた外野手3人を指名。
現在の一軍外野陣に
不安を持っている程度では済まない、
かなりの危機感を抱いての指名と言える。
中村は社会人での成績が
大学時代の正隨、宇草とよく似ている。

 

福岡ソフトバンクホークス

主な補強ポイント
①即戦力ショート
②松田にはもう少し頑張ってもらうしかない
③即戦力の先発投手

 

1 風間球打 RHP ノースアジア大明桜高
2 正木智也 RF,1B 慶應
3 木村大成 LHP 北海高
4 野村勇 2B NTT西日本
5 大竹風雅 RHP 東北福祉大
育1 藤野恵音 SS 戸畑高
育2 川村友斗 CF 仙台大
育3 井﨑燦志郎 RHP 福岡高
育4 三浦瑞樹 LHP 東北福祉大
育5 田中怜利ハモンド RHP 帝京第五
育6 加藤洸稀 LHP 滝川第二
育7 山崎琢磨 RHP 石見智翠館
育8 佐久間拓斗 C 田村高
育9 山本恵大 OF 明星大
育10 加藤晴空 C 東明館高
育11 瀧本将生 RHP 市立松戸高
育12 三代祥貴 OF,3B 大分高
育13 佐藤琢磨 RHP 新潟医療福祉大
育14 仲田慶介 CF 福岡大

HF

HP

入札を公言した風間は単独指名に成功。
正木を獲ってきたのは
今後キューバ勢を獲得できない可能性を
考慮してのことだろうか。
今回のドラフトで
大学での実績がほぼない大竹以上に
異質なのが野村。
支配下で23歳以上の社会人野手を指名するのは
2002年の森本学以来
19年ぶりのことになる。
育成枠では
昨年のジャイアンツをも上回る
大量14人を指名。
以前話に出ていた四軍を作るための指名だとすると
高校生中心なのも納得はいく。

 

読売ジャイアンツ

主な補強ポイント
①センターラインの強打者
②即戦力投手(指名は苦手)

 

1 隅田知一郎 LHP 西日本工業大
1 翁田大勢 RHP 関西国際
2 山田龍聖 LHP JR東日本
3 赤星優志 RHP 日本大
4 石田隼都 LHP 東海大相模
5 岡田悠希 CF 法政大
6 代木大和 LHP 明徳義塾
7 花田侑樹 RHP 広島新庄
育1 鈴木大和 CF 北海学園大
育2 髙田竜星 RHP 石川ミリオンスターズ
育3 亀田啓太 C 東海大
育4 笹原操希 CF 上田西高
育5 鴨打瑛二 LHP 創成館
育6 菊池大稀 RHP 桐蔭横浜大
育7 京本眞 RHP 明豊高
育8 富田龍 LHP 国学院
育9 川嵜陽仁 RHP 誉高
育10 大津綾也 C 北海高

GF

GP

今年も一番人気に特攻したものの
抽選はこれで11連敗。
翁田は今年の秋にかなり好投している一方で
右ひじ炎症からの怪我明けでもあり、
この点では大学生を素材重視で獲りたがる
ジャイアンツらしい指名ともとれる。
2位以下も
1位候補だった山田に上位候補の赤星、
4位では知名度の高い石田と
不興を買いそうにない指名にはなっている。
支配下唯一の野手岡田は
3年秋、4年春に
東京大以外からもHRを1本ずつ打っており、
長打力のあるセンターラインというポイントは
一応満たしている。
最大の問題は育成指名。
これまで獲得した育成選手を1、2年で戦力外にしないと
枠が全く足りないと思われるのだが
これからどのような展開になるだろうか。

 

東北楽天ゴールデンイーグルス

主な補強ポイント
①外野のスラッガー
②今まで育てられていないタイプの獲得は自重する
③次々世代の後継野手集め

 

1 吉野創士 CF 昌平高
2 安田悠馬 C 愛知大
3 前田銀治 CF 三島南高
4 泰勝利 LHP 神村学園
5 松井友飛 RHP 金沢学院大
6 西垣雅矢 RHP 早稲田大
7 吉川雄大 RHP JFE西日本
育1 宮森智志 RHP 高知ファイティングドッグス
育2 柳澤青空 RF 日大藤沢
育3 大河原翔 LF,RF 東海大山形

EF

EP

上位が長打力に定評のある2人に
3位では前田だが
補強ポイント①というよりは
③の野手の将来性に全振りした指名。
4位以下では
制球力などに課題の多い投手をあえて集めた形だ。
リリーフの育成では
このタイプも多少成果を出しているが
今年の指名ではどうなるか。
1位から3人を野手で固めた後に
支配下投手4人を獲得できた場合は
ドラフト史上初の例と思われる。

 

阪神タイガース

主な補強ポイント
①大学生ぐらいの打てる内野手
②将来のセンター候補を含めた外野手
③素材重視から即戦力投手指名への転換

 

1 小園健太 RHP 市立和歌山高
1 森木大智 RHP 高知高
2 鈴木勇斗 LHP 創価
3 桐敷拓馬 LHP 新潟医療福祉大
4 前川右京 LF 智辯学園
5 岡留英貴 RHP 亜細亜
6 豊田寛 LF 日立製作所
7 中川勇斗 C 京都国際高
育1 伊藤稜 LHP 中京大

TF

TP

1位で小園の抽選を外した後は
森木を単独指名。
森木が外れ1位の単独指名とは
ほとんどの人が想定していなかったのではなかろうか。
四球の多い鈴木の指名は
高橋遥人の育成で自信を深めたのが一因か。
豊田は大学時代にライトを守っていた選手だが
現時点ではドラゴンズと同様に
こちらもレフト2人を獲得したことになる。

 

千葉ロッテマリーンズ

主な補強ポイント
①4年後の二遊間を担える野手
②絶望的に足りない左の即戦力投手

 

1 松川虎生 C 市立和歌山高
2 池田来翔 2B 国士舘大
3 廣畑敦也 RHP 三菱自動車倉敷オーシャンズ
4 秋山正雲 LHP 二松学舎大付
5 八木彬 RHP 三菱重工West
育1 田中楓基 RHP 旭川実業
育2 速水将大 SS 富山GRNサンダーバーズ
育3 永島田輝斗 RHP 立花学園
育4 村山亮介 C 幕張総合高

MF

MP

決め手を欠くキャッチャー陣とあってか
1位は松川。
ただ早くにキャッチャーとして一軍で使うと
バッティングが伸び悩んでしまう可能性が高いのは
田村龍弘でも証明済み。
森友哉のように
打力が育ってきたところで
まず指名打者として起用するのもありだ。
2位の池田は
明らかに中村将吾の後継候補。
投手は社会人No.1とも目されていた廣畑に
社会人でもリリーフの八木。
即戦力の左投手は獲れる候補がおらず
来年までお預けといったところか。

 

東京ヤクルトスワローズ

主な補強ポイント
①打力が高くセンターにも入れる外野手
②二軍で育成するサード
③外部の評価・評論家にとらわれない「本当の即戦力」投手

 

1 隅田知一郎 LHP 西日本工業大
1 山下輝 LHP 法政大
2 丸山和郁 CF 明治大
3 柴田大地 RHP 日本通運
4 小森航太郎 SS 宇部工業
5 竹山日向 RHP 享栄高
育1 岩田幸宏 RF 信濃グランセローズ

SF

SP

1位で左投手にこだわった後は
3位で公式戦経験がほとんどない柴田を指名してきた。
素質は充分だが
こういうタイプを育成できるのか。
高校生の竹山を含め
投手は素材重視の指名と言える。
野手は
走力の高い丸山に
夏予選で打率.900以上を記録した小森。
丸山は山崎晃大朗、並木と似たタイプである反面、
センターで大成したのが
もう少し長打力の高い塩見泰隆なのが
ある意味で不安材料か。

 

オリックスバファローズ

主な補強ポイント
①近い将来を見据えた主力野手候補全般
②早くに一軍戦力へ成長させられる投手
③控え要員目的の大卒・社会人指名を避ける

 

1 木蓮 RHP 東北福祉大
2 野口智哉 SS 関西大
3 福永奨 C 國學院大
4 渡部遼人 CF 慶應
5 池田陵真 CF 大阪桐蔭
6 横山楓 RHP セガサミー
7 小木田敦也 RHP TDK
育1 山中尭之 LF 茨城アストロプラネッツ
育2 園部佳太 SS 福島レッドホープ
育3 大里昂生 3B 東北福祉大

BsF

BsP

補強ポイントにも書いたが
バファローズは二軍の打撃成績が非常に悪く
一軍戦力に全く余裕がないうえに
二軍より三軍に置いておきたい若手がかなり多い。
これは近年高校生を獲り続けた弊害でもあるため
今年の大学生・社会人偏重指名は理にかなっているし、
三軍制を正式に導入する際にも
有効なドラフト戦略と言える。
野口と渡部は
バッティングでも多少結果を残しており
少なくとも
単なる控え目的の指名ではない。
投手も現有戦力の強化に余念がないが
リリーフだと球速が大幅に上がるという椋木をはじめ
こちらは全員リリーフ目当ての指名の可能性もある。