スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2021年読売ジャイアンツ ドラフト補強ポイント

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①FA獲得が必要になった理由
②センターラインの強打者
③即戦力投手(獲得は苦手)

 

戦力分析

53-43-15 .552② 442③-423③ .522②
(9月13日時点)

優勝争いをしている阪神やヤクルトに比べると
勝利効率は若干悪く
奇策を駆使しているくせに意味ないじゃないか
という印象を持つ巨人ファンも多いかもしれない。
打線、失点とも安定して高いレベルは保っているが
突出した部分もあまりない。

 

野手

平均得点3.98④ RC465② SLG.411① OBP.313⑤ OPS.724③ SB59③

GF年代表1

GF年代表2

年代表は9月13日のものだが
この後9月は打線が絶不調に陥り
「若手を使え」と
さんざん叩かれていた巨人。
ただ岸田はまだわからないでもないが
ウィーラー、松原と
ポジションがかぶっている八百板ですら
やや微妙な立ち位置なうえに
それ以外の「使え」と言われる若手は
二軍平均すら超えていない選手ばかり。
主力の復調を
我慢して待たざるを得ない状況になのだ。
秋広、中山は高卒1年目としては
かなり上出来の部類ではあるものの
これでスタメン起用し続けたら
ただの贔屓起用
である。
こう主張する人たちがよく口にする
「競争」「実力主義」どこへ消えてしまったのか。
少し一軍打席を経験させるぐらいが妥当だろう。
先日「なぜか使われない選手」として
記事にされていた北村は
二軍だと169打席でOPS.638。
一軍では打てているように見えるが
スタメンやポジションによる落差が
激しい選手なのかもしれない。
年代表では20代前半から中盤が
すっぽりと抜け落ちているのもひっかかる点だ。

投手

ERA3.59② WHIP1.28④ FIP3.89⑤ K/BB:2.38③ K-BB:11.9%③

GSP年代表

GRP年代表

四球は決して少なくなく
一発病にも悩まされているジャイアンツ投手陣。
失点や防御率とは裏腹に、
投手そのものにかなり問題が多い状況である。
防御率はそこそこだが
いつどこでHRを打たれるかわからない先発を
ある程度のところで代え
細かい継投で何とかつなぎ負けを防ぐ。
そんな野球をせざるを得ない理由が
数字の上からもはっきりと見える。
二軍のほうは
守備力を見ないと何とも言えないが
全チームで唯一
被安打がイニング数を上回っている。
防御率FIPともにそれなりの若手、中堅選手で該当しないのは
谷岡と平内のみだ。

過去のドラフト傾向

G1巡

1位入札に関しては
「運が悪い」の一言に尽きる。
希望枠終了後も逆指名を多用し
逆指名がほぼ使えなくなってからも
単独指名狙いが続いたことで
かなり批判されていたが、
競合へ特攻するようになった2016年以降は
5年間で9戦全敗だ。
しかし
単独指名を「勇気がない」と批判するファンや評論家に
玉砕の「勇気」を称える人は一人もおらず、
阪神は佐藤、ヤクルトは奥川が台頭してるのに」
と批判までされるのでは
さすがにしゃれにならない。

G2・3巡


G指名数

「育成の巨人」の宣伝があたったためか
2011年までのドラフトは
逆指名を除けば絶賛されていた。
しかし基本的に
高校生の比重が高いドラフトをする点は
一貫しており、
特に投手は
2020年のような
高校生をあまり獲らない年でも
トミージョン明けの山崎伊など
素材重視の指名をする傾向が強い。
そのせいか
大社出身より高卒のほうが
早くに台頭するケースも珍しくない。
その中で異質だったのが
支配下で野手をほとんど獲らなかった
2010、11年と
野手指名が大学生・社会人だった
2015、17年になる。
野手では
センターの指名がかなり少なく*1
サード、ライト、レフトが多い。

補強ポイント

「FAを使うな」じゃなく「なぜFA獲得が必要か」を考えよ

ジャイアンツはなぜ
「外様」のFA選手に頼ろうとするのか。
それはFAに頼らざるを得ないドラフトを
しているからだ。
ポジションに関係なく
強打者候補を大量に獲りたがる反面
センターラインが手薄になりやすく、
しかも若手やFA選手で一軍が埋まりかけると
その次の世代の育成に集中して、
うまくいかなかった場合の保険を
ドラフトに求めようとしない。
ホークスも似たようなドラフトをするが
こちらは2010年代中盤に
空いたポジションへの若手・中堅と外国人がうまくはまった。
一方、ジャイアンツの場合は
清武GMがいた2010~11年の時点ですでに破綻。
FAと外国人で埋めていたポジションの育成が
全く追い付かず
再びFAに頼るはめになった。
加えて
それまで打線を支えていた
阿部慎之助なども衰えたため
もっと早く育成できる選手と 単純に一軍の層を厚くする指名に迫られたのが
2017年のドラフトと言えるのだ。
しかし原監督になってからは
再び高校生偏重のドラフト。
ショート坂本の後継候補が急務になっているなかで、
FAや外国人では補いきれないポジション
主力打者候補が必要になってきている。

このように考えると
獲得したいのは
5年後の候補が一応はそろっているサードや両翼ではなく
センターラインの強打者候補。
特にこれまで
松本哲也や橋本、立岡らの存在で
長年後回しにし続けてきたセンターは
陽、丸、梶谷のような選手が今後出てくる保証もなく
急務と言える。
ただ今年の大学・社会人候補はレフトが多く
センターだと粗すぎて
坂本や丸の後継に間に合うビジョンがあまり見えない。
もっと緊急性の高いポイントもあるので
巨人の順位までに残っていたら獲る
という程度にとどめておくのも手だ。
高校生のスラッガー候補は
「岡本をすぐ使えば育った」ではなく
「岡本でも4年かかった」と考え、
このポイントとは別枠で獲得することになるだろう。
いつまでも坂本の記憶に踊らされていてはいけない。
他に人員不足になりそうなのは
支配下が6人しかいないキャッチャー。
昨年大量指名した育成枠は
そのぶん大量の戦力外選手も出したので
野手で3年以上育成枠にのみ在籍しているのが
黒田1人だけ*2になっている。
今年の育成はさすがに少数指名になるか。

投手は
もはや悠長なことは言っていられない。
一軍はすでに危険な状態で、
二軍に若い有望株はいるものの
先発は
なんやかんやで井納が一番ましな状況。
また若手が一軍直前で伸び悩むことはよくあるし、
いつ故障や不調に見舞われるかも予測できない*3
有望株をすぐにでも増やすため
即戦力の指名が必須だ。
と言いたいところだが
ジャイアンツは
投手を指名する場合
より粗削りな素材タイプを好む傾向が強く、
完成度も兼ね備えた即戦力は
1位競合クラスじゃないと
あまり指名したがらない。
しかもこの傾向は
高校生よりも大学生・社会人投手の指名に
より強く反映される。
なので
高校生一辺倒の指名は全く褒められないが
「即戦力」オンリーよりも
高校生と大学・社会人を混ぜて指名したほうが
かえって即戦力投手を多く輩出できるかもしれない。

*1:支配下では橋本到と村上海斗しか獲れていない

*2:投手は山川と田中優

*3:たとえば昨年不調に陥ったあと楽天に移籍した高田萌生は移籍後もなかなか良くならない