スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2021年オリックスバファローズ ドラフト補強ポイント

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①近い将来を見据えた主力野手候補全般
②早くに一軍戦力へ成長させられる投手
③控え要員目的の大卒・社会人指名を避ける

 

 

戦力分析

52-44-15 .542① 437③-417③ .523③
(9月13日時点)

現在首位を走っているオリックス
投打ともに大幅な改善が見られた。
小技を多用するロッテとは逆で
盗塁、バントはあまり用いずに
同程度の得点効率を維持している。

 

野手

平均得点3.94③ RC440④ SLG.383② OBP.317③ OPS.700② SB33⑥

BsF年代表1

BsF年代表2

今年はライトで杉本が覚醒し
サードでの起用が増えた宗もまずまずの成績。
ただ全体では
吉田正、杉本が突出している構成で、
吉田正が再び戦列を離れた現在は
予断を許さない状況になっている。
一軍昇格直後に活躍した1年目の来田は
.584まで下がったところで二軍へ戻ったが
外野が再び人材難に陥ったので
再昇格の可能性もあるか。
若手云々ではなく
単純な成績で来田の再昇格がありうるほどに
二軍は厳しい状態。
平均得点2.74、チームOPSも.571で
昨年までは順調だった太田が
二軍でも.573止まりなど
個人成績はかなり苦しい。
現在の一軍野手陣は
持てる戦力を目いっぱい使いきっていると言える。

 

投手

ERA3.56③ WHIP1.23② FIP3.46② K/BB:2.56② K-BB:12.4%③

BsSP年代表

BsRP年代表

山岡の離脱で
先発陣は若干不安定になっているが、
今のところは竹安と山﨑颯で何とか持たせている。
リリーフ陣も入れ替わり立ち替わりで
調子を見ながら数をそろえているようだ。
2年目の宮城、3年目の富山など
若手の台頭にばかり焦点が当たるが
増井、比嘉に加えて
平野佳、能見の新しいベテランの存在も光っている。
発表された戦力外通告を見ると
まだ他球団に拾われる可能性を残した選手を
あえて切ってきたようにも見える。

 

過去のドラフト傾向

Bs1巡

2000年代以降のオリックスはくじ運に見放されており、
2017年は19年ぶりに勝利したものの
そこから再び4連敗中である。
ここ3年の1位入札はホークスと全く同じ。
高校生の大物もしばしば狙うのだが
2010年外れ外れ1位での山田哲人を含め
外れ抽選すらもことごとく外している。
この1位指名には今年の主力先発投手が4人いるが、
ドラフトの話になると
宮城以外の3人は
存在自体が完全に忘れ去られている。

Bs2・3巡


Bs指名数

社会人偏重のイメージと
総指名人数の多さであまり目立たなくなっているが
高校生偏重を絶賛されているここ2年間だけじゃなく
もともと高校生の指名数自体は少なくない。
高校生の1位指名が続く前の2008~17年までで見ても
支配下での高校生投手指名は
ソフトバンク、中日、巨人、広島の次で、
野手も
日本ハムソフトバンク楽天に次ぐ4位タイ。
極端に多くはないが
どちらも上位グループだ。
また分離ドラフトだった2006、07年にも
支配下指名で高校生を多く指名している。

補強ポイント

なぜ「中途半端な社会人」が使われ、今紅林が使い続けられるのか

オリックスは長年
「中途半端な社会人野手ばかりを使ったから弱い」と
叩かれ続けてきた。
その主な理由にあげられるのは
「ドラフトで社会人ばかり指名して高校生を獲らなかった」
「首脳陣が使いやすい社会人ばかり使い高卒を使わなかった」
の2点である。
しかしこの2つの理由は全くの間違いだ。
先述のように
オリックスの高卒野手指名は少なくなく
ここ数年のオリックス
社会人出身である杉本よりも
高卒の若手の起用を優先
していたからである。
そして今年の現状からも
「中途半端な社会人」が使われる理由の一つは見えてくる。
高卒の若手の実力が
「中途半端な社会人」すらも大きく下回っていたからだ。
紅林と来田の「大成功」ばかりがクローズアップされるが
他の若手の伸び悩みは明白。
過去2年間順調だった太田も
今年は二軍ですら.548と低迷している。
今年は一軍が何とかなっているからいいが
何らかの理由で一軍が崩れた場合は
これまでのように
中途半端以前の状態の若手を使い続けざるを得なくなる
というか
OPS.500台から.600前後の成績を
数十打席記録しただけで「大成功」扱いなら、
これまで同程度か
1、2年ぐらいはリーグ平均以上の数字を残していた
「中途半端な社会人」も
「大成功」になるはずなのだが。

補強ポイントは
高校生偏重指名の是正になる。
特に重症なのがショート。
調子を落とすとすぐ二軍へ戻った来田と
同程度の成績にすぎず、
守備も決していいとは言えなかった紅林が
なぜ使われ続けたのか。
それは「育成のため」などではなく、
紅林がチームNo.1ショートになっているから

他ならない。
大城が故障で離脱し
安達と福田をコンバートしたことで
ショート要員が完全に枯渇している。
外野は
福田以外のセンター候補が足りておらず、
頓宮より下の年齢の若手が出てこれないキャッチャーも
質・人数ともに不足している。
育成がうまくいっていないポジションを放置し
成長していない高卒選手をただ抜擢しても
その高卒選手が「中途半端な社会人」扱いされるだけだ。
しかし今までのような
高卒勢が成長するまでのつなぎ程度感覚で
ベンチ要員の戦力拡充だけをはかると、
「中途半端な即戦力」ばかりが集まることになる。
今年は
ポジションの汎用性に欠けるドラフト候補が多く、
社会人時代の山足*1程度に打てている選手も少ない。
それなら
一軍の補強自体は外国人やトレードなどを重視して、
ドラフトでは
3~5年後の一軍での覚醒に備えた主力候補を獲り
二軍の戦力拡充をはかるほうがいいだろう。
3~5年後なので基本的には大学生か社会人。
高校生は宗のように
最低でも7年は想定すべきだ。
当然ながら必要なのは打力が高く
ある程度ポジションの汎用性もある選手である。

投手は充実しているように見えるかもしれないが
投手は野手以上に何が起こるかわからない。
実際、
2014年に優勝争いをしたバファローズ投手陣は
翌年から三振率が激減し四球数が増加。
エースの金子千尋や比嘉が故障し
バリントン*2と若い山崎福、塚原頌平が戦力に加わったなどはあったが
他の主力が極端に劣化したわけではなく
むしろ若手も台頭したにも関わらず
こういうことが起こったのだ。
「育っている」と周囲から喧伝される高卒勢も
山本と宮城が目立ちすぎているだけで
一軍主力15人のうち高卒はたったの3人、
吉田凌と山﨑颯を入れても17人中5人にすぎない。
高卒投手の育成の成果はたしかに出ているが
高卒至上主義者が主張している「成果」は
明らかに過大評価
なのだ。
昨年1位指名した山下が
これまで成功したタイプと異なるのも気になるところ。
高校生は
これまでうまく育成できたタイプを獲ること、
大学生と社会人は
野手と同じで
使い捨て的なリリーフ起用をもくろんだ
中途半端な完成度の素材型を獲らないこと。
この2点が重要になる。

*1:2B、3B不明でOPS.800弱

*2:在籍は2015年のみ