スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2012年ドラフトを振り返る

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1位候補投手のバラエティ豊富な2012年

この年は高校生、大学生にそれぞれ目玉がいる年だった。

まず高校生の目玉はセンバツ初戦で対戦した
藤浪晋太郎大谷翔平
この試合は大谷が故障していたこともあり大阪桐蔭高が圧勝するが、
ケガの回復具合も含めてこの2人の動向が注目された。
大谷は投手以上に野手の評価も高い人も少なくなかったが、
その評価の裏にはこの故障への不安もあったと思われる。
一方藤浪は夏の予選では制球がいまいちだったものの、
甲子園で再び1位入札候補に恥じない投球を見せ存分にアピールした。

高校生は本来BIG3という評価をされていたのだが、
もう1人のBIG3だった濱田達郎は3年に入って評価が急落。
下級生がピークという点では前年横浜9位の伊藤拓郎に似ている。
それでも甲子園出場や愛知地元枠の関係もあってか
外れ1~2位という評価に落ち着き、
かわりに森雄大が単独1位候補に浮上する展開となった。
また野手もこの年は上・中位候補が多かったが、
そのうち1位候補とみなされていたのは
夏の甲子園にも出場した北條史也高橋大樹だった。

大学生の目玉とされたのは2008年のセンバツ優勝投手東浜巨
4年春に故障など紆余曲折があったがおおむね順調という評価だった。
他には東京六大学福谷浩司三嶋一輝
東都に鍵谷陽平と中央のリーグも上位候補はそれなりにいたが、
佐藤峻一伊藤祐介、小川泰弘、則本昂大松葉貴大、川満寛弥と
それ以上に地方のリーグに有力候補が多いのが特徴だった。
ただし全国大会を除くとリーグ戦で突出していたのは小川と則本ぐらい。
この2人にしても小川は背の低さと日本ハムの「創価大枠」から、
則本はプロ志望届提出時のごたごたから
巷での予想順位が下がる傾向があり、
むしろ佐藤や川満のほうが高い評価を得ていた。
大学生野手は例年通り上位候補は少なかったが、
その中でマニアに抜群の人気を誇ったのが伏見寅威だった。

その一方で社会人は前年に続き不人気。
1位候補とされる選手はほぼおらず、
報道が出たのちにようやく
増田達至や井納翔一が上位候補にあがる程度だった。
また松永昂大公文克彦らがいる
大阪ガス野球部の不祥事もこの傾向に拍車をかけた。
あとは前年指名を拒否して浪人した菅野智之も1位候補であり、
今度は単独指名か
それともまたどこかが割って入るのかも注目された。

実際の1位指名はこうなった。

  選手名 ポジ 出身 競合
1 藤浪晋太郎 RHP 大阪桐蔭 4
2 東浜巨 RHP 亜細亜 3
3 森雄大 LHP 東福岡高 2
4 福谷浩司 RHP 慶應  
4 菅野智之 RHP 東海大在学  
4 大谷翔平 RHP 花巻東  
7 松永昂大 LHP 大阪ガス 2
7 増田達至 RHP NTT西日本 2
9 白崎浩之 SS 駒澤大  
9 石山泰稚 RHP ヤマハ  
11 松葉貴大 LHP 大阪体育大  
11 高橋大樹 RF,C 龍谷大平安  
  入札 外1巡 外外1巡
By 東浜巨 白崎浩之  
Bs 藤浪晋太郎 松永昂大 松葉貴大
T 藤浪晋太郎    
M 藤浪晋太郎 松永昂大  
C 森雄大 増田達至 高橋大樹
E 森雄大    
S 藤浪晋太郎 石山泰稚  
H 東浜巨    
D 福谷浩司    
L 東浜巨 増田達至  
G 菅野智之    
F 大谷翔平    

MLB挑戦を表明した大谷や前年拒否の菅野は単独指名、
一番人気は地元のオリックス阪神が公言していた藤浪だった。
東浜にも3球団が競合する一方で、
広島が公言した森には楽天が特攻する。
外れ1位では松永と増田が競合した。

 

セリーグ

読売

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2年越しでの獲得に成功した菅野は
1年間のブランクを感じさせない大活躍を見せた。
2位以下は野手主体の指名。
二・三塁の人材不足への対処と
坂本勇人の次の育成を目論んでいたのが見てとれるが、
3人とも伸び悩んだ。
高卒3年目でのプロ入りだった公文は
巨人では4年間で15試合の登板に留まり、
実績のほとんどは日本ハム移籍後のものになっている。

 

中日

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地元愛知出身の福谷に地元高校の濱田と
上位2人は地元枠で固めてきた。
2人とも2年目に一軍戦力になるが、
福谷は多投*1の影響か、濱田は故障もあって、
どちらも3年目以降は精彩を欠いている。
ただ濱田に対して福谷へのファンの視線がやけに厳しいのは、
濱田が故障による離脱だからというだけの理由だろうか。
投手では若松も3年目に台頭したが翌年から成績が急降下。
野手は4年秋に目を負傷した古本と
サードからキャッチャーへ再コンバートとなった杉山がおり、
長打力を重視した指名になっていた。

 

東京ヤクルト

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2008年からの5年で高校生を1位入札したのはこれで4回目。
しかしこの頃から「高校生を指名しないから弱い」の
レッテルを貼られ始めるようになる。
外れ1位は直前に上位候補との報道が出るまで全くの無名だった石山。
指名当時は誰も知らない独自枠の指名と嘲笑されていたが、
結果はご覧の通りで、
どう見ても都市対抗で先発登板した主戦投手に興味のなかった
評論家やマニアのほうが問題*2だろう。
2位では1位候補でもあった小川を獲得し、
この2人だけで充分もとをとるドラフトになった。
3位以下がほとんど戦力になってないのはいただけないが。
田川が最近二軍で成長のあとを見せて出番を増やしつつあり、
彼の今後次第でまた評価が変わってくるかも。

 

広島東洋

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1位入札で投手を連続して外して腹をくくったのか、
支配下5人を全て野手指名で固めた広島。
抽選を2回外したにしてはそれなりの高評価を得た。
というか野手上位主義者が上位3人全員を野手指名しても叩くのは
阪神オリックスぐらいのものである。
1年目から二軍で好結果を出し、
段階的に一軍出場機会を増やしていった鈴木が大打者に成長。
また下水流も四・五番手の外野手として貢献しているので、
全体としても結果に結びついたと言っていいだろう。
上本は大学時代からの打撃の伸び悩みをそのまま持ち越している印象。
高橋は外野の空きと自身の調子や怪我とがかみ合わず、
なかなか出場機会を増やすことができていない。

 

阪神

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1984年の嶋田章弘以来28年ぶり*3に1位抽選を引き当てた阪神
上位で夏甲子園決勝の主力2人を獲得したうえに、
3位以下でも球の速い高卒4年目の田面、
バッティングはいまいちだが肩の強い小豆畑、
奪三振率は低めだが球のキレとフォームに定評のある金田、
故障で4年次は絶不調だったが身体能力の高い緒方と、
高校生こそいないものの評論家から非常に評価が高い選手をかき集め
ドラフト後は大絶賛された。
藤浪は即戦力として1年目から大活躍だったが、
5年目からイップスと思われる極度の制球難に陥った。
使え使えと騒がれていた北條は4年目に一軍中心に。
ライバルが多く規定打席までは達しないが戦力になっている。
あとは金田が阪神オリックスで1年ずつ戦力に。

 

横浜DeNA

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DeNA初年度は東浜の抽選を外して
監督の後輩でもある白崎を1位指名。
三遊間のユーティリティとして出場機会はそれなりだったが
期待されたバッティングが伸び悩み結果はいまひとつ。
4年連続最下位なうえ前年に高校生を大量指名したためか、
この年は育成の今井以外高校生の指名はなかった。
三嶋は不調の年も多く、
戦力不足から一軍にはまだ少し早い段階で使われた印象がある。
26歳と高齢での指名になった井納は7年連続で戦力に。
大卒2年目での指名ながら3~4年目に本格化し、
主力として活躍しているのが宮崎。
身体能力や守備位置の違いがあるとはいえ、
打率.200弱の赤堀と.319の宮崎がなぜこの指名順位になったのかは
今見るとさらに謎*4である。

 

パリーグ

北海道日本ハム

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アメリカ行きを表明していた大谷を1位指名、獲得に成功した。
膨大な育成計画を提示しての交渉などがクローズアップされるけども、
高卒の大物が5年先の未来には既にいなくなる
ことを前提とした戦略は
長期的よりも即戦力志向と位置付けたほうがいいと思うのだが。
専任の野手は長打力が売りの高校生を2人獲ったが伸びず。
投手は大学生と社会人中心の指名になり、
地元高校出身の鍵谷がそれなりの戦力に。
ただそれ以外の選手は即戦力からは遠い結果に終わった。
河野は四球が多く3年で戦力外。

 

埼玉西武

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支配下は投手偏重指名になったこの年の西武。
外れ指名で競合した増田がリリーフの柱に成長した。
その増田の前にクローザーだった高橋は
4年目以降故障続きでほとんど一軍登板できていない。
高卒の2人は伸び悩んだ。
金子は打率のわりには出塁率が低くないのだが
HR以外の長打がかなり少なく、
打率の低さも相まって一番打者定着への期待には応えられていない状況。
秋山翔吾がいなくなった今年はどうなるか。
水口は5年目に代打・代走要員として戦力になっている。

 

福岡ソフトバンク

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主力の流出が相次いだこともあって3位止まりだった
この年のホークスは大学生中心の指名。
3球団競合を制して獲得した準地元の東浜は
台頭したのが4年目とやや遅く、
不調の年はほぼ例外なく四球が激増している。
2位の伊藤は故障続きで一軍登板機会がなかった。
投手では2年目途中にトレードされた山中が
ヤクルトでイニングイーター的な役割を担い、
育成指名の飯田は2年目から先発・リリーフで戦力になった。
野手のほうは守備力に定評のある高田がユーティリティとなっているが、
大学時代から課題だったバッティングは伸び悩んでいる。
真砂も伸び悩み気味なうえになかなか外野が空かない。
こう書くと「ベテラン起用が」「グラシアル(+バレンティン)が」
などとわめきたてられそうだが、
最大の壁はどう見ても1年下の上林誠知である。

 

東北楽天

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1位では広島が明言した森の競合を制したものの、
制球難と故障もあってここまで戦力にはなっていない。
しかし2位で獲得した則本が1年目から大活躍。
どうしても勝ち星がついてこない年も多いが、
その責任を投手1人に求めるのは酷だろう。
まあ「その日の打線の調子に合わせて投げるのがエースの役割」
と考える人は非常に多いけども。
3位以下は高校生中心の指名になったものの、
残念ながら戦力になった選手はほぼいない。
惜しかったのが宮川で、
1年目から早々に支配下登録、一軍起用されたのだが、
1、2年目ともにリリーフ中心での17試合登板だったため
この表での基準値に達しなかった。

 

千葉ロッテ

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藤浪の抽選は外したものの次の松永の抽選を引き当て、
さらに「綺麗なフォーム」の川満、
甲子園を沸かせた強打の捕手田村、
身体能力が高く長打力もある加藤と
評論家うけの高い選手を多数獲得したが、
「高校生から逃げた」との理由で評価は非常に低かった。
高校生の藤浪への入札は当然のごとく忘れ去られている。
ほぼ中継ぎとはいえ7年連続40試合以上投げている松永は
大成功と言っていいだろう。
2~3年目にかけて一軍正捕手に抜擢された田村と
打席数の多い加藤も大成功の部類に入れたいところなのだが、
2人ともバッティングがかなり伸び悩んでいるので
そこまで高い評価をまだつけづらいのが残念。
全国では好投していたがリーグ戦ではムラがはげしく
防御率以外のスタッツがあまり良くなかった川満は
イップスを発症したこともあって一軍登板なしに終わった。

 

オリックス

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1位は例年通りくじ運に恵まれなかったものの
徹底して大阪の選手に入札し最終的には松葉。
調子のいい年といまいちな年が交互に続いていたが、
ここ2年間はかなりの不調に陥っている。
この年のオリックスは戦力になった選手こそいるのだが、
戦力不足から出場機会をが得たものの
調子の良さがあまり続かず、
成功ドラフトと言うには遠い結果になっている。
1位有力候補の1人だった佐藤もプロでは活躍できなかった。
現在は日本製鉄室蘭シャークスに在籍。

*1:2014年は72試合

*2:ヤマハで注目されていたのは甲子園準優勝経験者で高卒4年目の戸狩聡希とブラジル出身のフェリペ・ナテルだった。なお当時の主戦は石山と武内仁志(ともに大卒2年目)。

*3:外れ1巡では2007年に高濱卓也を当てている

*4:集計出来た限りだとOPSは赤堀.500台前半、宮崎.800以上