スポーツのあなぐら

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2022年埼玉西武ライオンズ ドラフト補強ポイント

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①主力のFA移籍に備えても足りない即戦力候補
②人手が少なくても簡単には獲れない野手
③失点は減ったものの喉から手が出るほど欲しい即戦力投手

 

 

戦力・ドラフト傾向分析

過去10年の成績

L10年成績

2018年と19年に2年連続リーグ優勝。
ここ10年は投手が苦しく
失点がかなり多かったが
それをはるかに上回る打線の力でつかんだ優勝だった。
近年はその打線も
主力の流出、故障などが相次ぎ
得点力が大幅に低下している。

 

2022年の成績

2022L順位

そんな失点の多さに苦しんできたライオンズが
今年は失点をかなり抑えられている。
最終盤に打線が絶不調に陥り失速したものの
8月には首位に立つほどだった。

 

過去10年のドラフト傾向

L10年1巡

2013~16年には
1位が4年連続単独指名。
基本的にくじ運は良く
外れ1位指名も外したのは
2007年大社ドラフトまでさかのぼる。
単独指名か競合で獲得した1位指名選手
今のところ全員戦力になっている。

L2・3巡

2位では投手の指名が多いが
3位は野手の比率が高くなる。

L指名人数

L10年戦力

2017 全体的にも投手指名が多い一方で、
ここ10年の野手指名は高校生にやや偏っていた。
ところが
戦力になった選手を見ると
投手は高校生・大学生等関係なく
1位指名選手が大半で、
野手のほうは大卒・社会人出身が大半である。
野手の高卒勢は
2015~17年指名の外野手に逸材が多いものの
戦力の輩出速度が主力の流出・衰えには追い付かなかった。

 

野手補強ポイント

野手についての基本的な考え方

基本的な前提条件はこうだ。

  • 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
  • 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
  • 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない

この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はない
のだ。

 

2022年野手陣の状況

2022L打撃成績

長打や四球が多いというわけでもなく
盗塁を多用するでもなく
打撃成績にはHR以外に大きな特徴はない。

2022LF年代表1

2022LF年代表2

山川1人が突出している今シーズン。
200打席以上でリーグ平均を上回ったのは
山川、森、オグレディ、栗山だけとなった。
バッティングがいまいちの結果だった選手も
守備のほうでかなり貢献していたと考えられる。

2022L若手C,OF

一軍で使われている愛斗や鈴木は
二軍だとあまりやることが残っておらず、
高木、西川、長谷川も
二軍での成績は上がっている。
ライオンズは高卒勢だと
中島裕之、中村、栗山、浅村栄斗、森と
断続的に成長の早い選手が出てきたので
現在の高卒勢があまりにも物足りなく感じられるだろうが、
秋山翔吾、山川、外崎の大卒勢は
本格的な開花が24~27歳。
少なくともこの年齢あたりまでは余裕をもって
見ていくべきだろう。
キャッチャーは
ルーキーの古賀が好調で
柘植との競争が激しくなっている。
今年の牧野と昨年の若林の成績は
怪我で二軍での出場機会がなかったため。

2022L若手IF

外野とは逆に
内野の若手は調子が良くない。
サードは
ブランドンが離脱し渡部は絶不調。
調子が上がらなかった中村とジャンセンを
使い続けざるを得ない大きな要因となった。
滝澤は
二軍だと長打がHRの1本だけだったが
高卒ルーキーにしては三振率が低かった。

 

補強ポイント

ライオンズ野手陣の喫緊の課題は
最近話題に上ることが増えてきた
主力の国内FA権取得。
今年取得した森と外崎以外に
源田と山川も間近に迫っている。
チームも
若いキャッチャー、ショートを何人か獲得して
かなり準備しており、
一軍を経験している若手・中堅も少なくないが
まだ誰が本格的に開花するかもわからない状態。
正直なところ
今から準備をするのでは遅すぎるのだが、
できれば備えはより万全にしておきたい。
ここから考えた場合、
外国人選手でも代役が不可能ではないファーストをあえて除くと
残る補強ポイントは
キャッチャー、セカンド、ショート。
人材が特に不足している二遊間が第一候補か。
外崎、源田のように
即戦力級の大学生・社会人の二遊間を
3位ぐらいで獲得できればいいのだが、
今年は大学生二遊間候補の評価が
少なくとも巷では相対的に上がっているので、
状況の見極めが少し難しいことになっている。
一軍の弱点になっている外野は
近い年代の有力株がそろいすぎていて
ドラフトでの即戦力候補は獲りづらい。
あとは次世代よりも
次々世代に焦点を合わせた
高校生のサードやセンターを獲るのも悪くない。

 

投手補強ポイント

投手についての基本的な考え方

野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される

  • 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
  • より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける

このような手法は
以前にもましてとりづらい。
それよりも

  • 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
  • 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない

これらがどのチームでも最重要課題になる。

 

2022年投手陣の状況

2022L投手成績

実のところ
三振率の低さ、四死球の多さなどは
たいして改善されていない。
一方で
被安打がかなり少なく
被HRにいたっては12球団で最少。
これを見ると
ライオンズの失点の減少は
もともとの投手陣の傾向と
二遊間や外野の守備力の高さとがかみあい、
加えてリーグ全体の投高打低の恩恵を
最大限に享受した結果と言えそうである。
エンス、隅田、タカハシ、スミスらを獲得できた
編成の功績が大きいのは言うまでもない。

2022LSP年代表

2022L若手SP

このほか
今井と佐藤が9試合に先発。
大卒ルーキー2人は
大活躍とはいかなかったが
一軍でイニングをある程度稼ぐことができた。
一方
二軍の若手はかなり不安定。
赤上がそれなりの結果を出したものの、
他の若手を見ても
好調が2年続く選手がなかなかおらず
来年以降への不安は尽きない。

2022LRP年代表

2022L若手RP

一軍のリリーフは好成績。
その反面こちらも
二軍の若手はかなり不安定で、
そもそも
一軍要員以外の余剰戦力が
ほとんど残っていなかった。
長期離脱者の多さと
全チーム最少の支配下登録人数とが
この状況を作り出している。
二軍ではかみ合わなくても
一軍の守備力とならかみ合いそうな選手を
何とか起用できれば
さらなる戦力アップも期待できるだろうが、
故障者が復帰した際の関係で
支配下登録を簡単に増やせない面もある。

 

補強ポイント

支配下登録を簡単には増やせないが
今年はベテランの引退も多く、
この人数分の投手指名が考えられる。
できるだけ
即戦力となりうる投手を獲得し
使える選手の数を増やしたいところだ。
その一方で
特に不足している左腕に
こだわりすぎた指名をしたときは
実際の結果にもあまり結びついていない。
そこはうまく線引きしておきたい。
しばしば獲りに行く
高卒と高卒1、2年目の独立リーグ出身選手も、
周りからは平良の成功が強調され
指名を強く主張してくるだろうが
全体で見ると
長期離脱者と伸び悩みがはるかに多い。
指名自体を見送るか、
指名はしても
4位以下でのかなり厳選した一枠にとどめたい。

 

おすすめ1位候補

蛭間拓哉(早稲田大・公表済)

正直なところ、
1位入札が明言された蛭間は
補強ポイントに合っていない。
今のところセンターを守ってはいるが
センター候補自体も人材は豊富。
ポジションのことは脇へ置いて
長打力を確保することを優先した指名と言える。
加えてライオンズは
地元を優先する指名も多いので
その点もかなり重要視されたと思われる。
大学でのスタッツは
長打が多い反面三振も多い、
チームの中では1歳上の高木に近いタイプである。