1位入札
2球団競合が2人と単独指名8人。
逆指名なしでの1位同時入札では
2球団競合が3人と単独指名6人の
計9人が入札された1988年と2008年を上回る
過去最多の入札人数となった。
荘司と浅野、
どちらも公言したチームが抽選に勝利している。
わずか2チームで行われた外れ1位入札は
重複なし。
外れ1位抽選が行われなかったのは
2009年以来13年ぶりである。
各チーム寸評
北海道日本ハムファイターズ
主なポイント
①「若手は使えば育つか」実験の結果は来年に
②獲得しそうなのは外野手と高校生の二遊間
③投手も即戦力より素材か
1位は
公言していた矢澤の単独指名に成功。
報道のあった加藤豪将は
トレードした渡邉に代わっての起用が期待される。
支配下では
投手と二遊間に重点を置いた指名となった。
20代後半の野手は
ファイターズとしてはかなり珍しいが、
宮内のような投手の指名は
2014年ごろまでしばしば見られている。
育成3巡の山口は
カナダ出身の選手で
テキサス大タイラー校はNCAAのDiv2。
外野手指名となっているものの
大学ではリリーフ投手での出場だった。
中日ドラゴンズ
主なポイント
①「野手が弱いから」だけで野手を獲れない事情
②野手指名は実利をとるか、ファン・OBの声を優先するか
③一軍でも二軍でもイニングを稼げる投手
1位の仲地をはじめ
巷の評価に比べると
かなりの「独自路線」と言えるか。
5位以下では二遊間の若手が
少ないことを意識した指名となった。
濱、福永と
長打力もある程度意識しているのだが、
内藤鵬、西村瑠伊斗などの
高校生スラッガーではないため
ドラゴンズファンやドラフト評論家からは
かなりの低評価になりそうだ。
投手はいつも通りの素材重視。
森山は
夏は不完全燃焼で終わったが
春の県大会でかなりの三振数を記録した。
千葉ロッテマリーンズ
主なポイント
①新監督でも豪運は続くのか
②育成事情と合わない内野のポイント
③すぐに投げられる先発候補と即戦力左腕
イーグルスが公言した荘司に特攻したが
今回は抽選を外した。
今までのマリーンズの豪運は
1位と外れ1位のどちらかで発揮されるものだったので、
外れ1位での競合がなかった今年は
運が持続しているか途切れてしまったかは
わからないまま。
支配下では
即戦力度をある程度重きを置く指名、
5位と育成は
現有戦力との年齢差を意識した指名となった。
広島東洋カープ
主なポイント
①若手の「抜擢」を阻む、単純かつ決定的な要因
②上位候補の大学生二遊間か外野手
③即戦力となる先発投手
単独指名に成功した斉藤をはじめ
序盤は高校生を重視するかに見えたが、
後半は大学生と社会人が多くなった。
内野手は
外野起用も考えられる内田だけで
二遊間の指名はなし。
少なくとも来年は
現有戦力の底上げに徹するようである。
育成を含めた外野手3人のうち
HRが少なくないのは中村貴のみ。
有力視された社会人投手を押さえてはいるが
あまり評判のいい指名には
なっていないかもしれない。
東北楽天ゴールデンイーグルス
主なポイント
①今年も中盤以降に失速
②大学生の中長距離外野手とショート
③本当に「投手は下位でも充分間に合う」か
これまで
抽選でのマリーンズとの対戦には
ことごとく敗れていたものの、
今年ついに雪辱を果たした。
古賀以外は
徹底した大学生と社会人を指名してきたが
23歳以上は小孫と平良の2人。
この平良の指名を見ると、
イーグルスは
長打力が高い一方で
三振も少なくない選手を好むようだ。
永田は
CPBLのチームも所有している
楽天らしい指名と言える。
読売ジャイアンツ
主なポイント
①チームの不調は本当に監督采配だけの問題か
②二軍のどのポイントから指名をしていくか
③苦手なポイントを次善の策で克服できるか
公言していた浅野に特攻されたが
競合全体では11年ぶり、
1位入札の競合では14年ぶりに
当たりくじを引き
連敗が11で止まった。
もっともジャイアンツは
2球団競合の経験自体が少ないこともあって
ここまでの2球団競合での連敗は2だったけども。
浅野の後は
大学生の外野手と二遊間で
将来への補強ポイントはしっかり押さえている。
船迫は
昨年あたりから急激に球速を上げてきており、
代表候補の社会人のなかでは
回転数が非常に高い。
育成は徹底的に高校生を指名。
二軍要員よりも三軍要員の獲得に
重点を置いたようだ。
埼玉西武ライオンズ
主なポイント
①主力のFA移籍に備えても足りない即戦力候補
②人手が少なくても簡単には獲れない野手
③失点は減ったものの喉から手が出るほど欲しい即戦力投手
1位は
地元出身かつライオンズジュニア出身の
蛭間の単独指名に成功した。
巷では「東大専」と叩かれることが多いが
昨年秋以外は
東大以外との成績はそこまで下がっておらず、
「東大専」ではなく
昨年、今年と秋に成績を落としているだけである。
1年間結果を出せる体力と安定感が欲しい。
2位以下の野手は
身体能力と守備力に重点を置いた指名。
大学と独立リーグで実績を残していると言える投手は
青山しかいないが、
山田陽翔も準即戦力の扱いになるだろうか。
阪神タイガース
主なポイント
①「野球は打力が大事」か「野球は守備と投手」か
②大学生の上位二遊間候補を獲る際に考えるべきこととは
③育成が上手なのに育成に苦労している投手陣
1位入札では
ジャイアンツが公言していた浅野に特攻したが
抽選を外した。
岡田監督が当たりくじをひくのは
いつのことになるのだろうか。
外れ1位以降は
長打力のある外野手と高校生投手を重視する指名。
内野手は
今チームにいる若手と戸井に
トレードで獲得した渡邉、高濱で
何とかするということか。
補強ポイント記事にも書いたように
上本博紀や糸原と今年の大学生候補を比べると
この選択もわからなくはない。
福岡ソフトバンクホークス
主なポイント
①四軍が作られるのは三軍の「下」か「隣」か
②早い一軍昇格が可能なセンターとサード可能なショート
③即戦力投手が欲しいが上位では獲らないかも
イヒネを単独指名した後は
甲斐生海や松本晴など
そこまで実績を残していない選手を指名する
ホークスらしい独自路線。
巷の評価が高い吉田のほうが
ある意味ホークスらしくないとすら言える。
外野指名の甲斐生は今のところファースト専任だが
身体能力がそれなりに高いので
外野守備はこれから鍛えるということなのだろう。
大津には即戦力の期待がかかる。
育成指名は
これまでと路線を変えてきたわけではなかった。
やはり四軍というよりは第二の三軍が欲しいのか。
なお独立リーグとの関係をさらに強めているホークスだが、
独立リーグからは
5年連続で1人もドラフト指名していない。
横浜DeNAベイスターズ
主なポイント
①ポジションで打力が極端に変わる若手
②内野の世代交代要員となる大学生・社会人内野手
③リリーフとしてすぐ使える即戦力投手
非公表だった1位は
ベイスターズファンにも支持者の多かった
松尾を指名してきた。
投手は
吉野には先発、橋本にはリリーフの
即戦力として期待がかかることになるか。
牧と同じポジションになる林は
今のところ打力ではさほど結果を出せていない。
身体能力を生かしてのショート起用や
将来的な牧のサードコンバートも視野に入れているのか。
オリックスバファローズ
主なポイント
①支配下人数の少ないキャッチャーとサードとの兼ね合いを考えた二遊間
②やや獲りにくい地元の高校生野手
③チームが育てられる「即戦力」投手
大学生投手の中でも
特に巷の評価が高い曽谷に加えて
こちらも極度と言っていいほど評価の高かった
内藤と齋藤を獲得。
まだメディアなどの記事は見ていないが、
ドラフト採点で最高評価をつけられそうな指名となった。
他にも
杉澤、日高、西濱、才木など
有名どころがかなり押さえられている。
たしかに吉田正や宗の年齢を考えると
長い時間をかけて
長打力とサードを育成し始めるにはちょうど良い時期で、
西村の戦力外によって
外野手にも少し空きができている。
野手の補強ポイントを
しっかりと確保した指名と言えるだろう。
東京ヤクルトスワローズ
主なポイント
①チーム全体の総合力が維持できた2022年
②緊急ではないからこそ狙える野手
③急務の「即戦力」先発投手
一軍とセンターラインの若手が
ある程度充実しているので
補強ポイントのほうでも
「長打力重視の指名をすることが可能」とは書いたが、
本当に5年先の長打力に重点を置いた指名をしてきた。
塩見が育ったところに
ここ2年間でセンターを確保してきたからこそ
可能になった指名でもある。
一方の投手は
即戦力候補が吉村だけ。
さすがにこちらまで確保する余裕はになかった。