スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2022年読売ジャイアンツ ドラフト補強ポイント

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①チームの不調は本当に監督采配だけの問題か
②二軍のどのポイントから指名をしていくか
③苦手な補強ポイントを次善の策で克服できるか

 

 

戦力・ドラフト傾向分析

過去10年の成績

G10年成績

リーグ優勝は5回。
補強がぴたりとはまれば優勝するが、
補強がいまいちうまくまとまらないか
育成にシフトして補強を怠ると優勝できない。
そんな状態が
「育成の巨人」時代からもう15年以上は続いている。
補強の影響をもろにうけているのは打線。
一方、ここ10年は
投手成績の相対順位が年々下がっている。

 

2022年の成績

2022G順位

交流戦後に成績が急降下したものの
得失点は
貯金が7あった交流戦前から既にマイナス。
得失点が示している通りの成績に落ち着いて
シーズンを終了する形になった。
9月以降は投打ともに調子を上げたものの
一気に勝ちを重ねるところまではいかなかった。
またオールスター前後は
感染症陽性者があまりにも出すぎて試合ができず、
育成選手を一軍で使う
ルール違反を犯さない巨人にも批判が集中した。

 

過去10年のドラフト傾向

G10年1巡

「育成の巨人」の一翼を担ってきた
逆指名*1が使えなくなったこともあってか、
2016年以降は全て3球団以上の競合に特攻し
外れ1位も含めた抽選は11連敗中。
11戦のうち2球団競合がたったの2回しかないので
自業自得とも言えなくはないが、
それにしてもくじ運が悪すぎである。
なお1位獲得は5年連続で投手、
この間に抽選を外した野手は5人で
6人外したホークスに次いで多い。

G10年2・3巡

2位はしばらく野手が多かったが
ここ3年間は大卒・社会人投手。
社会人3人は全員高卒3年目である。
3位指名は高校生が多めになる。

G10年指名人数

G10年戦力

2015~17年に大学生と社会人中心の指名をした
影響もあるのだろうが、
原監督が再度就任した18年以降は
高校生にかなりの比重を置いたドラフトになっている。
それもあって
戦力となった選手の数はあまり多くない。
ただジャイアンツの大卒・社会人出身投手は
質が全体としてはあまり良くなく即効性も乏しい。
高卒投手は量では遠く及ばないが
質と即戦力度でむしろ優位に立っており、
支配下指名がドラゴンズと並ぶトップタイ、
支配下と育成の合計がホークスと全く同じ指名数になるのも
何だかうなずける内容である。

 

野手補強ポイント

野手についての基本的な考え方

基本的な前提条件はこうだ。

  • 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
  • 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
  • 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない

この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はない
のだ。

 

2022年野手陣の状況

2022G打撃成績

打率が低いが
HRと四球はそこそこ多い。
今年は「貧打」を叩かれることもかなり多かったけども
打率が原因なのだろうか。

2022GF年代表1

2022GF年代表2

シーズン中は好不調の波も激しかったが
最終的には
収まるところに収まった主力が大半。
外部の声は極端な過激派が多くなっていて、
30HRを記録し
規定打席到達者ではOPSがリーグ7位だった岡本和や
全チームのキャッチャーの中で
サード起用の多かった坂倉将吾に次いで
打撃成績が良かった大城は
「二度と使うな。さっさと若手に替えろ」と
シーズンを通して罵倒の嵐だった。
「生え抜きの主砲」も
実働5年目の26歳になると、
ファンは次の若手へのつなぎとしか思わないらしい。

2022G若手C,OF

岸田は二軍でそこそこ打っているが
一軍の大城とほぼ同じ成績、
ウレーニャも
最終的には一軍のウォーカー、ポランコと大差なく、
一軍が言われるほど悪くないゆえに
ポジションが空かなかった。
開幕前はセンターも試された秋広は
結局レフトとファースト専任となり
こちらもポジションの関係で使いづらくなっている。

2022G若手IF

そして
秋広の大きな壁の一つになっているのが
2歳年上の増田陸という構図。
逆にショートは
廣岡が不調で苦しんだため
チーム内での
中山と湯浅の価値がかなり上がった。
外部から
岡本和に代わる一軍スタメンを要求されていた菊田は
二軍平均を下回っている。

 

補強ポイント

ジャイアンツは
育成選手を2年連続で大量指名。
ホークスと違って四軍を作るという話は出ていないが、
二軍の新球場建設に向けて
二軍と三軍の区分をより明確にする狙いが
あるのだろうか。
もともと内野手の数がぎりぎりなので
今年の育成指名は
内野手を大量に獲得する可能性がある。

30歳前の内野手
ユーティリティとして
一軍への待機要員にはしておきたい存在で、
戦力外にしたい支配下選手があまりいない。
そんな限られた支配下枠の中で
欲しいポジションは
支配下の人数が少ないキャッチャー。
さらに増田陸と菊田の守備力評価次第では
将来のセカンド、サード候補、
25歳以下の支配下が少なく
丸の後継候補の数をそろえたいセンター。
補強したいポジションはそれなりに多いが、
そこからどのポジションで
シーズン前に埋められる人数枠を使っていくか。
岡本和にFA移籍の可能性が極めて低いのは
ジャイアンツらしい将来のプラス材料だ。

 

投手補強ポイント

投手についての基本的な考え方

野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される

  • 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
  • より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける

このような手法は
以前にもましてとりづらくなった。
それよりも

  • 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
  • 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない

これらがどのチームでも最重要課題になる。

 

2022年投手陣の状況

2022G投手成績

三振率が低い、四球が多い、一発長打も少なくないと
良い点があまり見えない投手陣。

2022GSP年代表

2022G若手SP

プロ入り初勝利をあげた若手が非常に多いと
話題になったジャイアンツの投手陣だが
そのわりに
シーズンを通して
ある程度の活躍を見せた新戦力は少ない。
二軍でも好投している先発が少なく、
首脳陣の苦心が見てとれる。
ところで
二軍と三軍の先発は若手、
それも22歳以下の若手が極端に多いうえに
支配下選手も非常に多い。

2022GRP年代表

2022G若手RP

逆にリリーフのほうは
育成枠が非常に多く、
22歳以下の数は先発より1人少ない。
支配下では
先発で育成したい素材を獲得しているようで、
育成選手の先発も多いホークスとは
対照的である。
高卒や素材型の若手は
スタミナをつけつつ酷使しないように
先発で育てる。
これはどのチームでもよく見られる光景だが、
ジャイアンツの場合
この育成方針が
慢性的なリリーフの絶対数不足と
一部のリリーフ投手の酷使を誘発する
大きな要因の一つになっているように見える。
そうとらえると
既に実績がある投手の「酷使」も
若手を使わせたい人たちの常套句である
「若手を育てるための我慢」の一環
ということになる。

 

補強ポイント

投手の補強ポイントは
先発リリーフ問わず即戦力。
現時点で使える投手の数は足りておらず、
ここ数年停滞が続いている
有望株の大半が大成できない可能性は
常に考えておかねばならない。
即戦力の投手がいるに越したことはなく
多すぎるということもないのだ。

ただし問題点が二つ。
先ほど書いたように
大卒、社会人の即戦力投手の指名が非常に苦手という点。
しかもくじ運が極端に悪く逆指名も使えないために
狙っていた即戦力を獲れず
よけい素材偏重になる悪循環である。
今年は
大勢、平内、山崎伊、赤星、戸田、菊地など
1、2年目の選手がイニングを稼いでいるが、
今までのチームの傾向からいくと
来年以降に対しては未知数の部分がかなり大きい。
そしてもう一つが
この素材偏重によって
「年齢的にもロマンあふれる若手有望株」は非常に多くなる点。
チームの内部も外部も
「このロマンに賭ければ戦力は充分足りるはず」と考えて
さらに素材重視を加速させ、
結局は戦力不足も加速させてしまうのだ。
これらを防ぐためにも
本来なら本当に使える即戦力偏重の指名をしたいのだが、
次善の策として考えられるのは
実際に一軍で早くに戦力となっている高卒投手と
似たタイプの高校生投手を多く獲ることだ。
これだと
非常に緊急性の高い戦力の向上に直結するかはともかくとしても
チームの指名傾向や育成傾向に近い指名にはなるし、
ドラフト直後の各採点で
少しは点数が上がるポイント*2にもなる。
もっとも
そうした若手の育成が
現在の深刻な人手不足を招いているのだが。

 

おすすめ1位候補

浅野翔吾(高松商・指名公表済)

今年は全チームで最も早く
1位入札を公言したジャイアンツ。
丸の後継候補として高校生は
いささか悠長な指名だが、
めぐり合わせやくじ運の兼ね合いもあるので
こればかりはどうしようもない。
チームにはライト候補も少ないから
成長スピードが緩やかでも
一軍起用は早くなるかもしれない。
といっても
ただでさえくじ運がとてつもなく悪く
しかも一番人気になりそうな選手へ特攻するわけだから、
抽選を外す可能性は非常に高い。
外れ1位以降で
ロマンよりもどれだけ実利をとる指名ができるかが
チーム再建への鍵だ。

*1:長野久義澤村拓一なども「育成の巨人の成果」と讃えられてきた。特に清武英利氏がチームを離れるまでは

*2:くじ運が悪すぎるのでどのみち高得点にはなりづらい