スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2022年福岡ソフトバンクホークス ドラフト補強ポイント

スポンサーリンク

①四軍が作られるのは三軍の「下」か「隣」か
②早い一軍昇格が可能なセンターとサード可能なショート
③即戦力投手が欲しいが上位では獲らないかも

 

 

戦力・ドラフト傾向分析

過去10年の成績

H10年成績

10年間で
リーグ優勝4回に日本一6回。
投打のバランスが
非常に高いレベルでまとまっている。
一方2013年と昨年は
得失点に対して
極端なマイナスを計上してのBクラスも経験した。

 

2022年の成績

2022H順位

10年間で
リーグ優勝4回に日本一6回。
投打のバランスが
非常に高いレベルでまとまっている。
一方2013年と昨年は
得失点に対して
極端なマイナスを計上してのBクラスも経験した。

 

過去10年のドラフト傾向

H10年1巡

2008~11年は
4年間で単独指名2回。
1位入札での人気指名への特攻は
ちょうど2012年から激増していた。
1位の大競合を引き当てるか、
外れ1位の抽選も外すかの
どちらかになることが多い。

2位、3位では
高校生野手が最も多く
1~3位でも高校生が半分以上を占める。

指名全体でも高校生が極端に多い。
支配下指名の半数以上が高校生なのはホークスだけだ。
特に野手は支配下の75%が高卒で
2013~18年の6年間は全て高校生になっている。

H10年戦力

ところが
これだけ獲得した高卒選手がほとんど戦力になっていない。
野手だと将来的には
谷川原や九鬼、(砂川)リチャードなどが
この「主な戦力」の枠に入ってくると思うが、
ベテラン選手の年齢と
高卒選手の通常の成長速度に対して
いささか悠長に構えすぎた印象は否めない。
投手も同様で、
故障者が多いことも相まって
戦力を安定して輩出できずにいる。

 

ホークスの四軍について

四軍の設立をうたい
昨年育成選手の大量指名を行ったホークス。
今年はその四軍創設を改めて表明し、
再び育成選手を大量指名することが予想される。
ただドラフトの視点から考えると、
指名の傾向は今までと変わらないと思う。
もともとホークスの育成指名は
高校生の比重が高く、
主要な対戦相手の一つである
独立リーグと今年の三軍との試合では
アイランドリーグには36試合で勝ち越し2、
九州アジアリーグとは18試合で負け越し3。
派遣メンバーに大きな違いはなかったが
わりと互角の戦いになっていた。
なので対戦相手そのものに過不足はなく、
それよりも
対戦相手がより明確に九州と四国に分かれたために
両リーグの都合に合わせた遠征日程の調整を行いやすくするのが
主な目的ではないか。
もっと言えば
三軍の下に四軍を作るのではなく
2つめの三軍を作るのが四軍創設の狙いではないかと
考えられるからだ。

 

野手補強ポイント

野手についての基本的な考え方

基本的な前提条件はこうだ。

  • 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
  • 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
  • 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない

この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はない
のだ。

 

2022年野手陣の状況

2022H打撃成績

打率以外はリーグ平均程度の数字で、
二塁打がやや少ない代わりに
三塁打は12球団トップの数字。

2022HF年代表1

2022HF年代表2

例年よりも柳田の調子が落ちたが
逆に例年より好調だった今宮と牧原、
周東、柳町、三森の成長もあって
チーム全体の打力は高かった。
スタメン出場は少なかったが
ルーキーの野村勇がかなりの好成績。
来年以降スタメンが増えたときも
結果を残せるか。

2022H若手C,OF

若手のキャッチャーは
谷川原と九鬼のバッティングが絶不調で
海野と支配下登録された渡邉の調子は悪くなかった。
ただあくまで「悪くない」程度なので
傍から見れば
アンチの多い甲斐の「スタメンを剥奪しろ」と
そう簡単には言えない。
柳町以外の外野は
ルーキーの正木がまずまずだが
若手のセンター候補が少なく、
二軍でセンターの比重が大きいのは
真砂、中谷と川村である。

2022H若手IF

内野の若手は
外部の極端な期待度の高さに対して
使い方の難しい選手がそろっている。
昨年そこそこの結果を出した
二遊間の三森と川瀬は既に一軍要員。
飛ばす能力は非常に高いリチャードは
二軍でも三振率が極端に高く
一軍では慣れられると打てなくなる。
逆に三振率が低い増田と野村大は
ポジションがかなり限定的で
松田や明石が使われなくなっても
一軍でいまいち使いづらい存在となっていた。

 

補強ポイント

支配下での補強ポイントは
二軍に準一軍レベルの選手を増やすこと。
高校生の指名が極端に多いこともあって
まだ三軍で鍛えたいレベルの選手が
過剰に二軍へ押し出されてしまったり、
二軍の選手不足で無理に引き上げざるを得ない
といったケースが多くなっている。
二軍で長くじっくり育成したい選手ばかりが増えて
最も肝心な
一軍への選手の供給が滞ってしまうのでは
本末転倒
だ。
昨年と同じく
支配下では大学生と社会人中心、
育成を高校生と大学生中心に分け、
高校生の支配下指名は
自力で早々に二軍へ上がり
2年目までには最低でも二軍平均ぐらいの成績を残せるかどうか。
そのぐらいの力を持つ選手に絞りたい。

その中で一軍への供給を増やしたいのはセンター。
外野はともかくセンターとなると
若手の層があまり厚くないので
打力のあるセンター候補を獲る余地はある。
と書いていたところで
中谷と真砂が戦力外になったため、
むしろ確実に狙ってきそうなポイントと化した。
周東のスタメンが多かったサードは
二軍での使われ方から見ると
20代前半と10代の次世代候補が
リチャードと井上頼みになっていて
いささか心もとない。
なのでリチャードや野村大を常時一軍へ置けるなら
サードも獲得したかったところだが、
今年はそもそも大学生・社会人サードの候補が非常に少ない。
このサード問題や今宮の年齢などを考えると
もう一つ緊急性が高いのはショートになる。
即戦力候補を補いたいところではあるものの、
川瀬、川原田の守備評価次第では
ショートを守備力に特化した起用にして
あえて即戦力は獲らないのではないだろうか。
かつて打力が向上する前の20代前半の今宮を
起用し続けたように。

 

投手補強ポイント

投手についての基本的な考え方

野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される

  • 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
  • より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける

このような手法は
以前にもましてとりづらくなった。
それよりも

  • 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
  • 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない

これらがどのチームでも最重要課題になる。

 

2022年投手陣の状況

2022H投手成績

被安打の少なさはライオンズ以上。
四球の多さはここ数年変わっておらず
三振率の高さと守備力を生かして
失点を抑える形が続いている。

2022HSP年代表

2022H若手SP

一軍で個人スタッツがいまいちな先発は
被HRの多いケースが目立つ。
今年結果を出している新鋭は大関
支配下登録の先発要員に
25歳以下が少なく、
三軍の先発・ロング要員が育成枠の左腕に集中している。

2022HRP年代表

2022H若手RP

リリーフ陣は
20代中盤の選手が多い。
アイランドリーグからNPBに復帰した藤井は
ファイティングドッグス時代は先発だった。
ホークスと同じく
育成選手が多いジャイアンツと比べると
ホークスは
育成選手の先発の比率がやや高く、
リリーフで使われている支配下の若手も多い。

 

補強ポイント

現代の一軍での投手運営を考えると、
特にファーム組織を拡充するのであれば
二軍は単なる育成の場ではなく
準一軍として位置付けたいところ。
現在のホークス二軍は
この供給がさほどうまくいっていない。
先発は故障者が二軍に戻ってきているものの
一軍と二軍に限定すると
三軍でもまだ投げていない風間を
皮算用で追加しても
合わせてぎりぎりの人数しかいない。
こちらもすぐ二軍で投げられるレベルの
投手が欲しいところだが、
最近の
即戦力に近い形で出てくる先発は
大関、田上や大竹など
下位指名と育成出身がかなり多い。
これに味をしめて
支配下の上位・中位では
素材偏重志向へさらに傾く可能性もある。
またこれまでのホークスの傾向からいって、
リリーフは
即戦力となる大卒・社会人投手指名を3年疎かにすると
厳しい人材難に陥る。
ここ2年間はそういう選手を獲れていないため、
今年は
リリーフ起用が想定される即戦力を大量に獲得した
2018年の再現を狙うのも
選択肢の一つに入ってくる。

 

おすすめ1位候補

イヒネ・イツア(誉高・公表済)

ホークスは1位入札で
イヒネの指名を公言した。
今宮の年齢を考えると
ここで後継候補として高校生を獲るのは
かなり悠長なのだが、
ショートの場合は別な見方もできる。
身体能力の高いショートを
守備力重視で育成し、
まだ怪我が少なく身体能力も保たれている若いうちに
その鍛え上げた守備力でチームの利得を稼ぐ。
バッティングは
二軍の平均より上のレベルに到達する程度さえあれば、
一軍では開花するまで数年かかっても構わない。
こういう将来像である。
そして先ほども書いたように
ホークスは既に今宮というこの育成方法の前例がある。
1、2年後には球界を代表するショートに成長するという
ただの夢想ではなく、
入札明言による獲得できる確率の底上げに
早い一軍起用で
むしろバッティングの成長が遅くなるリスクと
守備力によるリターン。
これらを総合的に勘案した結果が
この1位入札公表につながったのだろう。