①新監督でも豪運は続くのか
②育成事情と合わない内野の補強ポイント
③すぐに投げられる先発候補と即戦力左腕
戦力・ドラフト傾向分析
過去10年の成績
CSに進出する年は
ピタゴラスよりも勝率がいい。
監督や主力選手が代わっても
この傾向に変化はなく、
チームとしての勝ち運の良さが目立っている。
2022年の成績
昨年はリーグトップだった打線が
今シーズンはいまいちで、
投手陣全体の状態も良くない。
交流戦とオールスター前で
上位に迫ったものの
後半戦は投手陣を打線でカバーしきれなかった。
過去10年のドラフト傾向
1位入札の抽選が4勝4敗、
外れ1位の抽選は4勝0敗と
強烈なまでのくじ運を持っているマリーンズ。
その過程で高校生の抽選を連続で当てたため
2017年以降は
ドラフト評論家から
ほぼ毎年指名を称賛されるようになった。
強運ぶりは2016年以前も変わっていないのだが
きっかけがわかりやすすぎである。
2位と3位では
大学生と社会人の指名が多く、
3位までで
高校生1:大社2のバランスをとる年がほとんどだ。
投手と野手はかなりバランスよく指名している。
高校生と大学生は
投手、野手をほぼ均等に、
社会人は徹底して投手を獲得している。
ここから戦力になった選手の数は
それなりに多いのだが、
長く活躍したと言える選手はそこまで多くない。
というのも
野手は戦力数そのものが不足しているためか
かなり早めに一軍で使い始めることが少なくなく、
打撃成績が伴っている年が
イメージよりも意外と短い選手が多いのだ。
野手補強ポイント
野手についての基本的な考え方
基本的な前提条件はこうだ。
- 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
- 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
- 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない
この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はないのだ。
2022年野手陣の状況
打率、HRなど大半の数字が悪く、
盗塁数と盗塁成功率だけが突出していた。
得点効率は悪くなかった。
レアード、マーティンの不調が痛すぎた。
藤岡と藤原の不調もかなりのものだったが、
地味に効いているのがキャッチャー。
1年目の松川に212打席も立たせるのは
打線にとっては厳しすぎた。
来年に向けての光明は
安田と山口の成績が上がったことか。
ショートは
中盤以降調子を上げた茶谷が一番手か。
新しい首脳陣のもとでの野手起用については
未知数な要素が多いのだが、
茶谷と実績のある藤岡以外は
見通しが立っていないのがつらい。
昨年は二軍も多かったが
今年はほぼ一軍という選手が何人かいる。
西川と山本大斗を
使いたくなる人も多くなりそうだが、
彼らは高卒2年目としては充分な結果を残しているものの
高部や一軍で結果を出せていない藤原などを見ると
一軍で出続ける段階にはまだまだ早いと言える。
今年二軍を2打席しか経験していなかった松川は
2014年の田村とほぼ同じ成績になっているが
これ以上の成績を求めるのは酷というものだろう。
それにしても
「10年先の将来を見据えて」ドラフト指名され
高卒2年目には
「10年先の将来を見据えて」起用されたはずの選手が
指名されてからちょうど10年後に
その座を高卒ルーキーへ明け渡しているのを見ると、
「10年先の将来を見据えて」とは何だったのかと思わされる。
補強ポイント
キャッチャーは
吉田が戦力外になったものの
支配下だけでまだ7人いる。
外野は
支配下人数があまり多くなく
一軍・二軍ともに心もとない状態ではあるが、
西巻と谷川も含めると
総数はそこそこの人数になる。
なので二軍での出場機会を考えれば
外野手は獲っても獲らなくてもいいし
上位候補の即戦力狙いでもよし、
3年後の戦力拡充を狙うなら大学生か社会人、
7年後に備えるなら高校生と
どの選択も可能。
ただセンター可能な候補に絞りたいか。
厄介なのは二遊間。
一軍が不安定なうえに
20代前半から中盤の選手数はかなり多いものの、
安定して一軍に送り出せる選手が少ないため
ショートを獲りたくても二軍の空きがなく
ここも意外と補強しづらい。
西巻を外野主体にするなら
ぎりぎり確保できなくもないけども。
外部の識者には
大型高校生を獲得して
1年目から一軍起用させたい人がやけに多いのだが、
2年目に一軍のポジションを空けられたはずの
平沢で懲りてないのだろうか。
一方二軍のサード、ファーストは
多少の余裕ができているので、
二軍での長期育成を前提に
高校生を獲得しておくことなら可能。
ただ安田、山口の年齢と
ポジションの汎用性の乏しさとを考えると、
無理に上位指名で獲るかと言われれば疑問符が付く。
投手補強ポイント
投手についての基本的な考え方
野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される
- 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
- より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける
このような手法は
以前にもましてとりづらい。
それよりも
- 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
- 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない
これらがどのチームでも最重要課題になる。
2022年投手陣の状況
被安打の多さが
そのまま失点の多さにつながったかのような成績。
先発陣は
かなり打たれる印象を持つ人も多かったかもしれないが、
佐々木朗、美馬、石川、小島、ロメロの5人は
それなりに安定していた。
六番手以降は本当に不安定。
若く実績もある種市が戻ってきたのは
プラス材料になる。
実績のない若手では
中森にも期待がかかるか。
リリーフ陣は
戦力層がかなり薄く、
内容が悪くても使い続けざるを得ない選手が
少なくなかった。
シーズン途中で来日したオスナは
前評判通りの活躍。
先発での育成に重点が置かれているためもあってか
若手のリリーフ候補自体が少ない。
補強ポイント
一見すると
先発の頭数が充実している一方で
実際に安定した主力は30代と外国人が中心。
20代前半から中盤の若手・中堅も
種市や岩下のように
いつ長期離脱するかわからないし、
佐々木朗は成長が早すぎて
いつ日本を離れてもおかしくない。
昨年は
即戦力の先発および左腕がともに獲れなかったので、
その意味でも
この二点が今年の補強ポイントになる。
右の若いリリーフも足りないが
先発要員でやや停滞気味の若手から
リリーフ適性の高い選手を選び出すのも手だろう。
二軍で長い時間をかけたくなる高校生を獲る余裕はなく、
高校生を獲るにしても
即戦力候補の枠を減らすことだけは避けたい。
おすすめ1位候補
特になし
一般的に1位候補とされる選手の中で
「さすがにそれは…」と思えるのは
高卒キャッチャーの松尾汐恩(大阪桐蔭高)ぐらい。
あとは
投手でも浅野翔吾(高松商業)でも内野手でも
これといった問題はなさそうに見える。
指名そのものと一つ別な問題があるのは
イヒネ・イツア(誉高)、
内藤鵬(日本航空石川)などの高校生内野手。
野手の項で書いたように
「1年目から一軍のポジションと打席を与えれば
すぐ球界を代表する打者に成長する」と主張する
外部の声がやたらと大きくなっている。
しかし現実には、
鈴木大地をコンバートして
ショートのポジションを与えようとした平沢は
ショートだと二軍でも打てなくなる時期が長く続き、
二軍でかなりの好成績を残し続けた安田でも
一軍で3年1300打席以上使い続けて
ようやく今年の成績までたどり着いたのだ。
ましてや守備の負担が非常に大きいショートにおいてをや。