前置きは抜きにしてさっそく始めよう。
だが最後まではちゃんと読んでほしい。
各チームの判定
埼玉西武:B
せっかく森友哉という逸材を輩出したのに、
あれからまた上位で高校生野手を獲っていない。
しかも捕手じゃなく指名打者で使ったため
大成も遅れてしまった。
投手が上位指名でもなかなか改善できないのなら、
チームに必要なのはスラッガー。
スラッガーになるのは高校生しかいないのだから
上位指名で高校生を獲り続けなければならない。
福岡ソフトバンク:A-
金満球団だがその資金は高校生の育成に費やしており、
基本的にベテラン重視の工藤監督と戦う姿勢は大いに評価できる。
高校生の上位指名こそ主力になるのはこのチームも同じなのに、
しばらく野手の上位指名が少なかったのと
バレンティンの獲得はいささか問題だったが、
増田、砂川、野村が起用されればその問題もすぐ解決する。
フロントは監督が若手を起用せざるを得ないようにするのも手だろう。
東北楽天:D
星野仙一が存命のころは高校生を重点的に獲っていたのだが、
今の石井GMになってからは高校生を獲らなくなり、
西巻を簡単に放出したように
育成も抜擢も放棄しだした。
まず高校生の指名に向かっていく勇気が必要だ。
千葉ロッテ:D
やる気のない即戦力偏重時代を脱し、
高校生からも逃げなくなった。
ホークスの壁は厚いが今年の優勝候補の一角である。
ただ、せっかくドラフトで大物を獲り続けたのに
藤岡裕大、レアード、清田育宏らが聖域化しているのはいただけない。
井口監督には
平沢、安田、藤原を我慢して使い続けることをお願いしたい。
フロントももっと高校生だけを獲り続ける努力を。
北海道日本ハム:A
野手は現在も徹底して高校生を指名しており、
「高校生を育ててチームを強くするんだ」という
フロントの気概を感じる。
投手も高校生を徹底すればいいのに。
今の西川遥輝、大田泰示、近藤健介、中田翔と続くところに
淺間、平沼、清宮、野村、万波らが固定できれば
強力打線が作れるはずだ。
監督はもっと若手を我慢する勇気を。
オリックス:E
ずっと即戦力志向で社会人しか獲っていなかったが、
ここ1、2年はようやく高校生を指名するようになった。
宗、西浦、太田、宜保はスタメンに固定し
しっかり育成したい。
ただスラッガータイプが少ないので、
果敢に高校生を1位指名する必要がある。
読売:E
金にあかせてFA選手を獲り続け、
高校生の育成をおろそかにし続けてきた。
1位競合で獲得した大田泰示も
村田修一や陽岱鋼を獲ってつぶしたあげく、
トレードした日本ハムで大成する体たらく。
岡本は1年目から使い続けていれば
もっと早くもっと大きく育ったはず。
抽選を外すのは「高校生を育てよう」という気合が足りないからだ。
当然のE判定。
横浜:E
筒香嘉智のメジャー志向は知っていたはずなのに
清宮を獲りにいかなかったのはマイナス点。
細川は期待したいが下位指名だからスケールが足りない。
高校生スラッガーを1位で獲り、
すぐ一軍で使い続ければ
筒香のように1、2年で何とかなるはずだ。
阪神:E
1ミリ先の現実にこだわって
高校生の上位指名から逃げたことが
今の貧打を作り出している。
去年はようやく高校生を指名し
チームを本当に強くしようという気概が見られた。
去年のようなバランスのいい指名を続けられるかどうかが
今後の課題だ。
広島東洋:C
外野に回した鈴木誠也はうまくいったが、
昨年は内野に聖域を作ってきたツケがまわってきた。
今年は小園、林、羽月を固定し
どんなに悪くても我慢して使い続けるべし。
外野がいないからと言って
坂倉の安易な外野起用はやってはいけない。
中日:E
落合GMの即戦力志向から解放され、
1位の根尾、石川がいる今年は優勝候補。
下位でも伊藤、石橋が獲れたのは大きい。
黄金期を作るためにも
今後は目先の即戦力にとらわれず
ひたすら高校生を獲ってすぐ抜擢し続けることだ。
東京ヤクルト:E
せっかく山田哲人という前例を作れたのに、
目先にとらわれた即戦力指名を繰り返して
若手が不足している。
村上という好例も作れたことだし、
即戦力投手は去年の奥川恭伸獲得で充分整ったので、
これからは投打とも高校生の指名と抜擢にまい進したい。
ネタばらし
嘘です。
載せているデータは本当だが、
文章のほうは
各チーム最低1つはわかりやすい矛盾点やでたらめ*1を作るよう心がけた。
同じ矛盾ネタがいくつもあるのは御愛嬌。
とにかく内容がめちゃくちゃで煽ってばかりなのはわざとなので、
読んで怒ってしまった人は許してほしい。
逆に「そうだその通りだ!」と
思ったらあなたは末期症状です。
頑張って治してください。
問題なのは、
SNSや記事などあらゆるところが
この末期症状で溢れ返っていることだ。
特に今回何チームかで使ったように
「聖域を作るな」と言いながら
「悪くても我慢して使い続けろ」、
つまり「高卒若手を聖域にしろ」と言う。
あるいは
「即戦力に走るな」と言いながら
「高校生を獲って抜擢すればすぐ戦力になる」、
すなわち「高校生は即戦力だから獲れ」と言う。
そうでなければ
「ドラフト1位の高卒1、2年目がいるから優勝候補」
などとはとても言えない。
こうした矛盾だらけの言説が非常に多いのだ。
判定を下すには明らかに時期尚早な
2014年以降が対象になっているのは
これらの言説に沿っただけである。
それでいて
自分の「目利き」には絶対的な自信を持っているので
「高卒選手を指名しないのはフロントに見識がないから」
「高卒選手が俺様の思い通りに成長しないのは首脳陣が使わないせい」と
決めつける。
全ては思い込みにすぎない。
今回書いた内容と判定がかみ合ってないのも
世間の思い込みに合わせて書いたから。
投手の場合もそうだったが、
「育成の上手い・下手」は結論ありきで判断されるため、
広島以外のセリーグとオリックスは一律で育成下手、
日本ハム、ソフトバンクは育成上手、
「打線が強いは高卒若手が多いから」と決めつけられるのだ。
実際の選手の成長具合は当然見ない*2。
本当は自分が20歳前後の若手を見たいだけ*3の
わがままなのだが、
本人はただのわがままだと気づかず
野球の真理だと思っていることが大半だから
余計に厄介である。
実際の判定について
最後にもう一つ。
高卒野手の育成の上手さに関して、
私自身は判定を作るつもりはあまりない。
ただしこの判定をする際に
忘れがちだが考慮しなければならない点を指摘しておきたい。
投手の時にも書いたけども、
それは運だ。
くじ運や成長・故障といった運は当然のこととして、
野手の場合は先発ローテやリリーフの枠が複数ある投手と違い
スタメン枠が1ポジションに1枠しかない。
同じポジションに
成長した若手より実力がはるかに上の選手がいたら
そのポジションは空かないのである。
逆に実力の高い選手がいない場合は、
成長がいまいちでも
若さゆえに優先起用されることや
既にチーム内で一番の実力者になっていることもある。
同じポジションの実力者が故障で離脱し、
本来の代替要員は他のポジションの穴埋めに回っていて、
自分は起用されているうちに急成長していく。
そんな坂本勇人のような運と実力を兼ね備えた例はまず起こらない。
外部の人間は坂本を再現しろと安易に要求するが、
たいていは実力者がタイミングよく離脱しないか
本来の代替要員が若手の実力を上回っているか、
抜擢されても故障や伸び悩みによる実力不足でチャンスを生かせないかだ。
これらの運要素を
「覚悟」「勇気」などの精神論で片づけてしまっては
いけないのである。