スポーツのあなぐら

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オリックスバファローズ2023年ドラフト補強ポイント

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①若い先発が台頭することの真の価値
②センターをどのようにして育成するか
③若いからこそ必要不可欠なエースの後継候補

 

 

戦力・ドラフト傾向分析

過去10年の成績

Bs10年順位1

ほとんどの年で
Bクラスが続いていたオリックスだが
2021年からリーグ連覇、
昨年は日本一も達成した。

Bs10年順位2

Bクラスでも失点の少ない年が
それなりにあった一方で
得点はほとんどの年で平均以下。
日本一の昨年も平均を下回ってはいたが
マイナスが最小限に抑えられていたようだ。

 

2023年の成績

2023Bs順位

得点も失点もリーグトップで
首位を快走し始めている。
投手陣が良いのは相変わらずだが
交流戦交流戦後ともに
打力が極端に爆発しない代わりに
急激に落ち込むこともない。
このへんが他のチームと大きく異なる。

 

過去15年のドラフト傾向

Bs15年1位

2013年からしばらく
大卒・社会人の単独指名狙いが続いたが
13年以前と18年以降は
抽選への特攻も少なくないし
高校生入札の比率も低くない。
くじ運はあまりにも悪く、
田嶋の抽選を当てるまで
1位抽選を約20年、11回も外し続け
そのあとは再び4連敗。

Bs15年2・3位

2位と3位では
野手率が50%を超えており、
ショートとキャッチャーの指名が非常に多い。
高校生投手がかなり少なく、
昨年の齋藤指名は8年ぶり。
しかも佐野が数年後にコンバートされたため
実質13年ぶりという形になる。

Bs15年指名数

以前は「高校生を指名しない」と批判されていたが
もともと高校生の指名は
巷で言われるほど少なくないチーム。
たしかにここ3、4年は
その比率がさらに上がっているものの、
とっかえひっかえするかのような
社会人の指名を控えたぶん
指名数自体も減らしているだけで、
高校生の指名数は増えていない。
社会人に関しては
阿部翔太を獲得したように
指名戦略の幅はむしろ広げている。

Bs15年戦力

1位指名で長く活躍する選手が多数輩出されており、
特に2010年代中盤の指名選手
リーグ連覇に大きな役割を果たした。
それ以外にも大物は何人かいるが
バッティングでいまひとつ
成果を残せていない選手も多い。
そのへんももう少し改善されると
戦力に厚みが出てくるところで、
現時点では
杉本や中川らによって厚みが増していると言える。
FAで移籍した伏見が5年以上の活躍になっていないのは
こちらで設けた基準が4年どまりなため。
キャッチャーというポジションの関係上、
試合数や打席数は多くなくても
一軍在籍日数が長くなり
観客の目に直接触れない貢献もそれだけあるということか。

 

野手補強ポイント

野手についての基本的な考え方

基本的な前提条件はこうだ。

  • 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
  • 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
  • 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない

この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はない
のだ。

 

過去10年の打撃成績

Bs10年打撃成績

2014年以外は
打線が非常に苦戦してきた。
バファローズの場合は
長打率との相関がかなり高く、
連覇しているここ2年間は
盗塁が激減している。

 

2023年野手陣の状況

2023Bs打撃成績

吉田正尚アメリカへ渡ったが
打率とHR、二塁打がリーグトップ。
四球と盗塁は
パリーグで最も少なくなっているものの
平均得点は最も多い。

BsF年代表1

BsF年代表2

杉本、中川圭、茶野などが
序盤よりもやや失速気味だが
紅林が急上昇し
森と頓宮が好調を維持している。

Bs若手C,OF

外野の若手では来田と池田がわりと好調。
ただし池田は今年ほぼレフトに、
来田がライトとレフトに固定されていて、
2人は昨年から
一度もセンターのスタメンに入っていない。
そしてセンターに入ることが多い
渡部、杉澤やベテランの福田などは全員苦戦する
奇妙な構図になっている。

Bs若手IF

内野では野口が絶好調で、
一軍では結果を残せていないが
5年目の太田もほぼ二軍を卒業する段階に入っている。
また当初育成契約だったセデーニョが
一軍でも活躍し打線がさらに強力になった。
そのほかの一軍でほぼ出ていない若手は
まだ二軍で結果を出せていない。

 

補強ポイント

一軍、二軍とも
育成に苦労しているのがセンター。
レフト、ライトに固定するとバッティングが伸びるが
センターをさせると打力の成長が停滞するという
かなり面倒な状況が続いている。
この状況の打開を目指してドラフト指名をするのなら
獲得するのはセンターよりも
福田や中川圭のような
大学生か社会人の二遊間を獲るべきだろう。
来田か池田のバッティングが一軍レベルに成長して
ライトやレフトで一軍に定着した後に
センターコンバートを狙うつもりなら
ドラフトで今年新たに獲る必要はないが。
また、この枠とは別に
紅林と4学年差がある高校生ショートを
獲得するのも悪くない。
支配下人数が少ないキャッチャーも補強ポイント。
森、若月、頓宮で
一軍がほぼ固定できている今のうちに
次世代候補の層を厚くしておきたい。

 

投手補強ポイント

投手についての基本的な考え方

野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される

  • 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
  • より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける

このような手法は
以前にもましてとりづらい。
それよりも

  • 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
  • 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない

これらがどのチームでも最重要課題になる。

 

過去10年の投手成績

Bs10年投手成績

2015~17年と19~20年は
失点がかなり増えていて、
打線だけではなく
投手陣も厳しい状態にあった。
前回の好調は
2014年までで止まってしまったが
今回はどこまで持続できるか。

 

2023年投手陣の状況

2023Bs投手成績

どの数字も
リーグトップかそれに匹敵していて
悪いところがほとんど見えない。

BsP年代表1

BsP年代表2

先発陣が充実しているうえに、
リリーフ陣も強固で
二軍でも調子の良い選手が多いと
隙がいまいち見当たらない。
強いて挙げれば
二軍で好投している先発が
一軍だとあまり良い結果を出せておらず、
一軍に故障者が出ると
その運用に少し苦労することぐらいか。
宮城、山下など
若手の台頭で注目されるチームで
20代前半の主力も多いが、
20代前半の支配下選手数自体は
ホークスに次いで少ない。

 

補強ポイント

現在のバファローズに足りないのは
ベテランの山田と育成に回っている富山しかいない
左のリリーフ。
しかしここ5年間に
左投手は支配下で4人しか指名しておらず
そのうち2人が1位指名、
1人を2年で戦力外としたチームが
「左」の「リリーフ」にこだわって
ドラフト指名をするかはかなり疑問だ。

投手の補強ポイントは
それよりも即戦力の先発候補になる。
第一に
小野、コットン、ニックスの獲得や
黒木、村西の先発転向などで
先発可能な選手層をできるだけ厚くしようとしていること。
第二に
チームには山本や宮城など
若くして主力になった選手がそろっているため、
彼らがかなり早い段階で
MLBへポスティング移籍する可能性があること。
特に実働6年目の山本は
いつ申請してもおかしくない状況だ。
そして第三に
現在のチームは中6日での先発登板が少なく、
前半戦での中6日以内の先発は
シーズン初登板を除いても全体の三分の一程度しかない。
以上の理由から
一軍で投げることが可能な、
二軍で育成するにしても
既に体力がある程度備わっていて
年間を通してローテを担える先発候補は
多いに越したことはないのだ。
今のところ一軍ローテは
山本以外全てドラフト1位指名で固まっているが、
1位指名のどこかで
高校生、大学生、社会人問わず
その時点で残っていた先発候補は獲りに行くだろう。
またバファローズの場合は
山下の成長からいっても
どのような選手なら育てられるかを選定する精度が
他のチームより一歩先を行っていそう
で、
闇雲に支配下枠をただ埋めるような指名も
高校生をただ乱獲する指名もせずに済みそうなのが大きい。
またリリーフの即戦力として使えそうな選手も
左右問わずピンポイントで確保しておきたい。