①改善案を実行しても治らない野戦病院
②二軍で育成するセンターラインの入れ替え
③先発が「育たない」なら「即戦力」を
戦力・ドラフト傾向分析
過去10年の成績
2018年以外は
優勝か大きく負け越すかのどちらかで
なんとも極端な成績になっている。
得点力の高い年が多く、
失点のマイナスをある程度抑えられれば優勝、
それをはるかに上回る失点を重ねるか
打力も低迷した年は低迷と
わりとシンプルな構図になっている。
2018年は
失点のマイナスがやや強いながらも2位に入ったが、
2012年以前に勝ち越した年は
ほとんどがこのパターンばった。
2023年の成績
交流戦後の成績は11勝7敗。
7勝11敗だった交流戦の借金をちょうど完済して
前半戦を終えた。
交流戦に入ったあたりから
そこそこ多い失点を
打線の力でカバーする本来の姿に
少しずつ戻りつつある。
過去15年のドラフト傾向
単独指名狙いの年は少なく
大競合への特攻が多い。
2000年代はくじ運がかなり良かったが
2010年代はくじ運が悪くなり、
1位抽選では奥川を当てるまで9連敗。
ただし外れ1位以降では
その運も平均レベルへ戻る。
2位はほぼ大学生と社会人。
ただし一軍の弱点補強、
1位有力とされて残っていた選手、
将来を見たチームの補強ポイントなど
大卒・社会人と言ってもパターンは様々だ。
2015年と22年はどちらも
2巡のウェーバー順が最後。
2015年以降は
高校生を投手・野手とも1人ずつ、
大卒・社会人も投手・野手とも1人以上
獲得する年が多い。
ある程度長く活躍する投手の数が少なく、
中でも先発要員は
片手で数えられる程度しか見当たらない。
外国人、トレード、自由契約などの補強が
それだけうまくはまっている証でもあるが、
ドラフトでのスカウティングと育成も
もう少し精度を上げたいところだ。
野手も戦力になった選手の数は多くないものの
山田、中村、塩見と
センターラインの打力がある程度整っているため
他のポジションのハードルが下がり
カバーしやすくなっている。
野手補強ポイント
野手についての基本的な考え方
基本的な前提条件はこうだ。
- 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
- 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
- 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない
この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はないのだ。
過去10年の打撃成績
打力は概ね充実しているのだが、
チーム全体では
どこかが突出して高いというところはなく
満遍なく高い印象。
不調の年も同様に
満遍なく落ち込んでいる。
2023年野手陣の状況
HR数はそこまで悪くない数字になっているが
今年は打率が低いだけじゃなく
二塁打と三塁打がかなり少ない。
この長打の少なさが
シーズン全体での得点の伸び悩みの主因だろう。
昨年に比べればさすがにかなり悪くなる村上も
既に調子を上げており、
ベテランの青木とサンタナ、オスナの2人は例年通り。
痛いのは
怪我をおして出場していた可能性がある山田と
こちらも怪我で出場できていない塩見だ。
武岡、山崎、並木、濱田らに
この2人の打撃もカバーしろというのは
さすがに無茶と言わざるを得ないので
仕方がない。
センターを守れる選手は並木と丸山を確保し
バッティング重視の濱田も守れるようになっているので
備え自体はある程度行ってきたのだが、
塩見の存在がかなり大きくなっているぶん
この3人ではまだ力不足。
澤井はセンターに全く入っていないため
青木かサンタナにとって代わるまでの雌伏期間だ。
キャッチャーは内山の急成長で
不調な中村と同程度の打撃成績を残せるのが大きい。
長岡と武岡は
バッティングで結果を残してから
一軍に上がってきたというわけではなく、
一軍の打撃で結果を残せるようになるのは
まだ先のことになるだろう。
一昨年のショートレギュラーだった元山が
この2年間絶不調で苦しんでいるのは
大きな誤算だったのではないか。
そんな中さりげなく好調の小森が
将来この二遊間の争いに割って入るだろうか。
大学時代ファーストの北村はサードへ回り、
西村もサードに挑戦している。
補強ポイント
昨年は打撃優位のポジションに入る
将来のスラッガー候補を何人も獲得する一方で、
センターラインは
キャッチャーが内山と古賀、
ショートは長岡と武岡、
センターが並木、丸山、濱田と
かなりの数の若手が一軍に帯同しており
逆に二軍スタメンには中堅組が増えている。
ここを新しい若手へ入れ替えることが
今後2、3年の主な目標となるだろう。
20代前半がほぼいないキャッチャー、
松本や松井、太田の起用も多いセンターは
二軍中心の補強、
長岡と武岡に次ぐ選手が少ない二遊間は
一軍可能な即戦力候補の補強が優先される。
投手補強ポイント
投手についての基本的な考え方
野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される
- 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
- より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける
このような手法は
以前にもましてとりづらい。
それよりも
- 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
- 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない
これらがどのチームでも最重要課題になる。
過去10年の投手成績
打線とは真逆で
投手成績はどの数字も満遍なく良くない。
一昨年こそ
大半の数字が大幅に向上したものの
昨年は中盤あたりから
再び状態が悪くなっていた。
2023年投手陣の状況
三振率が他のチームよりも圧倒的に低く
被HRが多ければ被安打も多い。
もっとも
時々見られるジャイアンツとの乱打戦で
互いの投手成績を悪化させている感もある。
リーグ全体が投高打低なので
特に先発陣は不安定な印象だが、
序盤に比べれば
まだ良くなってきている。
ただ二軍の先発は
若手、中堅、ベテランのほとんどが不調で
新しい先発候補を
一軍へ送り込めない状態。
二軍にいる投手に
長いイニングを次々と試させて
先発として投げられる選手を探し求めているようにも
見える。
それにしても
プロ入りから早くに台頭した先発が
どれだけ起用法を工夫してもすぐ故障に泣くのは
いったいなぜなのだろうか。
補強ポイント
最近の1位指名投手も
連続して結果を出せているのは
リリーフの清水だけになっているが、
一昨年の奥川どころか
今年の吉村ぐらいの結果を残せる選手も
なかなか出てこないこの状況では、
1位は先発の即戦力候補が欲しい。
ただファーストの北村を
サードで育成していることを考えると
1位入札では
ファーストの大競合に特攻する可能性もあり、
そのぶん
即戦力の先発を獲れる可能性は減ってくる。
せめて外れ1位は単独指名を狙って
確実に先発候補を獲得したい。
また毎年支配下で必ず高校生を指名する戦略は
成功率の低さと故障者の多さ、
そしてこれらの難点を改善する手段が
全く見いだせていない現状を考慮すると
そろそろ見直すべき時期に来ているのではないだろうか。