スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

プロ野球における「ドラ1」の先発比率

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ドラフト1位指名で占められていた先発投手

2023年の交流戦終了直前に、
それまでのドラゴンズの先発投手が
全てドラフト1位指名で占められていることが指摘され
話題となった。
交流戦終了後にメヒアが先発登板したため
この記録は途切れたが、
ここでは
各チームの先発のうち
ドラフト1位指名選手がどのくらいの比率になっているのか、
2020年以降の4年間について
見ていこうと思う。
また対象となる2020年の10年前にあたる
2010年以降に指名された投手の一覧も載せているので、
こちらも参考*1にしてほしい。

ただし先におことわりしておくが、
このデータはあくまで
「どのチームの先発にどのような指名順位の傾向があるか」を
示しているにすぎない。
「このチームはドラフト1位が多いから優秀だ」
「1位指名が少ないからドラフトが下手」
「下位指名が多いから育成上手」などといった
各チームの優劣をはかれるものではないし、
そもそも
ここ4年間の優勝チームにも
それぞれに独自の傾向がある

このことを認識したうえで読んでいただきたい。

 

各チーム先発のドラフト順位

オリックス:2023年1位先発率65.0%

Bs

BsP

山崎福、山岡、田嶋の3人がいるため
もともと1位指名の先発投手が多いところに
2021年からは宮城が加わった。
2023年はさらに山下が入る一方、
田嶋が一時期離脱し山岡がリリーフへ回ったことで
昨年とはあまり変わらない数字に落ち着いている。
山本、山崎福がチームを離れる可能性がある来年以降は
この比率も大きく変わるか。
曽谷、椋木の
成長、復帰がかぎになりそうだ。

 

千葉ロッテ:2023年1位先発率12.6%

M

MP

石川と佐々木朗以外の
1位指名選手の先発が少なかったうえに
石川の登板がなかった今年はその比率がさらに下がった。
そもそも2010年以降だと投手の1位指名数が
12球団で最も少ないチームである。
小島と美馬、今はリリーフに回っている岩下の比重が高い。
6位指名の二木と種市もいい働きをするのだが、
怪我でどちらか一方しか出られない年が続いている。

 

福岡ソフトバンク:2023年1位先発率39.2%

H

HP

育成枠出身と外国人選手の比率がかなり高いチームだが、
東浜と和田がいるので
1位指名選手の先発もそれなりに多い。
今年は千賀が抜け有原が加わったぶん
1位選手の率が増えた形になっている。
リリーフで台頭する1位指名選手が多かったことや
今年三・四軍で制球難に陥っていた風間*2の現状、
そもそも最近
1位で投手を獲っていないことを考えると、
ドラフトで先発タイプの即戦力投手を獲るか
他球団の1位指名選手を獲得するかしない限り、
今後しばらくは
この比率が増えることはなさそうだ。

 

東北楽天:2023年1位先発率64.3%

E

EP

則本が2位指名で
瀧中、辛島の6位指名2人も登板数が多いので
オリックスほど高くはならないが、
それでも毎年ローテの半分以上は
1位指名選手で埋まっている。
また外国人選手の先発がここ4年間一度もない。
過去5年の1位指名は
抽選を引き当てた投手か野手の二択になっており、
2位以下や外国人の先発比率が増えないと
先発要員そのものを増やせない事態になりかねない。

 

埼玉西武:2023年1位先発率61.5%

L

LP

高橋、今井、松本、隅田と
ローテーションに1位指名選手が多く
比率は毎年50%を超えている。
平井や與座、
今年から先発に回った平良など
下位指名選手も健闘しているが、
2位指名で先発育成の浜屋、渡邉の伸び悩みや
宮川、佐藤など上位指名をリリーフに回す傾向も
目立つ表になっている。

 

北海道日本ハム:2023年1位先発率29.4%

F

FP

有原がチームを離れた直後に伊藤が加入したものの、
杉浦と河野がリリーフに入ることが多くなったので
1位指名選手の比率はかなり下がった。
上沢と加藤の安定感が目立つ一方で
外国人の先発がしっくりこなくなっている。
上沢、加藤がチームを離れたとしても
鈴木、北山、根本、金村などがいるうえに
吉田、達、矢澤もまだ時間がかかりそうなため、
1位指名選手の比率が増えることは
当面なさそうだ。

 

阪神:2023年1位先発率8.4%

T

TP

もともと
先発時代の藤浪と岩貞、昨年の西純以外に
1位指名選手の先発がいなかったのだが、
2023年は序盤に西純が不調だったため
1位指名選手率はさらに減っていた。
才木と村上の台頭で
3位と5位指名選手がさらに充実している。
2年目に調子を落としていた森木は
現状の一軍戦力に
富田、門別なども加えた争いへ割って入れるか。

 

広島東洋:2023年1位先発率36.4%

C

CP

大瀬良と森下の安定感は高いものの
一昨年から野村の調子が落ちていることもあって
1位指名選手の占める割合は高くない。
九里と床田に加えて
遠藤と玉村のどちらかが好投する年があり、
今年は森も成長してきている。
ジョンソンやバリントン
活躍していたころに比べると
外国人選手がいまひとつ。
日本人の先発が軒並み30代に入っているため、
二軍では好投している黒原や
10年ぶりの高卒投手入札だった斉藤が
将来先発ローテを担えるかどうかも
チーム強化の大きなポイントになってくる。

 

横浜DeNA:2023年1位先発率42.0%

By

ByP

1位指名した大卒の先発が多いのだが、
怪我から復帰してもしばらく調子が上がらなかったり
大貫と石田の安定感が高かったりで
1位指名選手の先発は思ったほど多くない。
2023年は東が復活した代わりに
上茶谷がリリーフに回ったので
やはり1位選手率は高くならなかった。
今永が抜ける可能性がある来年は
上茶谷が先発に戻るか
ドラフト1位で先発の即戦力が獲れるか
小園が急成長しない限り、
1位選手率は減ると思われる。

 

読売:2023年1位先発率12.6%

G

GP

序盤に菅野と高橋が戦線離脱していたため
ただでさえ低い1位選手率が
2023年は大幅に減っていた。
過去に投手の1位競合で勝ったことが
分離ドラフトでの1回しかない*3ジャイアンツは
単独狙いと外れ1位の投手が
かなりの素材重視になることが多く、
リリーフで開花する選手か
故障で長期離脱する選手が目立つ。
2位以下でも
素材型や故障持ちを好む傾向は変わらないので、
菅野や成長が非常に早くタフな戸郷、
獲得が非常にうまい外国人選手に
どうしても頼りがちになっている。

 

東京ヤクルト:2023年1位先発率16.1%

S

SP

最近二軍に復帰した奥川よりも
原がどの程度先発に入るかで
1位指名選手の比率が変わっていたチーム。
2023年はこの2人に変わって吉村が入る格好になった。
エースの小川に加えて
先発に回った小澤や復帰した山野の存在もあるため
2位指名選手の比重が高め。
外国人選手も結果を残している。
とにかく
上位指名の先発投手に長期離脱者が多い。

 

中日:2023年1位先発率92.3%

D

DP

もともと先発候補に
1位指名選手がそろっていたところへに
涌井の加入や勝野、上田のリリーフ起用、
外国人先発候補不在など
様々な要素が組み合わさったことで、
交流戦終了まで
先発がドラフト1位指名選手のみという珍事が起こった。
2023年全体でも
1位指名以外の先発は梅津とメヒアだけ。
逆の見方をすると
一軍で先発起用され続けた選手のうち
2位以下指名の各選手は期待に応えられなかった、
ということでもある。
涌井が加入する前から高齢化が進んでいたチームなので、
この1位指名選手たちが持っている間に
同じく1位指名の仲地や根尾、育成枠出身の上田などを
一軍ローテのレベルへ育てたいところだ。

*1:育成指名は一軍戦力になった選手、支配下登録されている主な現役選手のみを掲載

*2:2.2回で16四球

*3:ほかに外れ1位では1回