①「強運」を競合と単独指名、どちらの選択で生かすか
②一軍で打てていない中堅を使い続ける理由
③上位指名が戦力になることの意味
戦力・ドラフト傾向分析
過去10年の成績
優勝はないものの
CS進出は半分の5回。
強さを保ててはいないが
Bクラスからすぐに脱出できる
リカバリー力も持っている。
5割強で3位以内に入るシーズンと
大負けするシーズンに分かれることが多いため
グラフにすると
あたかも暗黒期にいるかのように見える。
得点力と失点を抑える力、
両方とも高いシーズンは
ここ10年ではない。
2023年の成績
序盤好調だった投手陣が交流戦から崩れ
この間の平均失点は4点を超えた。
打線もそこまで好調ではないのだが、
得失点-28となっている交流戦からの36試合を
勝率5割で乗り切り
バファローズになんとか食らいついている。
過去15年のドラフト傾向
単独指名は少なく
一番人気への特攻が基本になっている。
1位抽選の勝率も悪くないが
それ以上に外れ1位抽選が
過去7勝0敗と驚異的に強い。
2位と3位では
大学生と社会人の指名が多く、
3位までで
高校生と大社を1:2、
野手と投手も1:2という年が多い。
指名されたのはほぼセンターラインだ。
支配下の指名数は
育成選手を大量指名するホークスに次いで少ない。
2016年ごろまでは
尖った指名もしばしば見せていたが、
ここ最近は
4巡と5巡でもかなりバランスを重視した指名に
なっているようだ。
指名数は少ないが
戦力の数は他のチームと何ら違いが見られない。
野手のほうは
バッティングが伸び悩む選手と
ベンチ要員も多いので、
チーム全体の打力向上には
さほど結びついていないのが弱点か。
たびたび上位で指名したショートは
大学時代の大半がサードで
指名された年以外あまりショートに入っていなかった
鈴木大と藤岡裕*1が一軍スタメンに定着し、
ショート専任だった選手が伸び悩んだ。
野手補強ポイント
野手についての基本的な考え方
基本的な前提条件はこうだ。
- 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
- 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
- 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない
この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はないのだ。
過去10年の打撃成績
ここ5年間は打率が低い反面
出塁率が安定して高く、
打率に対して出塁率が低めだった
2017年以前とは逆になっている。
2023年野手陣の状況
打率は序盤よりかなり下がり
二塁打はやや多めだがHRが少ない。
四球がイーグルスに次いで多く
併殺の可能性を減らしたいのか犠打が多い。
突出した成績になっている選手はいないが
安田、池田、藤岡、ポランコ、角中、岡と
まずまずの選手は多い。
序盤かなり不調だった山口が
調子を取り戻してきた一方で
序盤好調だった藤原は
復帰後の状態が良くないようだ。
昨年ずっと一軍にいた松川は
やはりというか二軍でもあまり打てておらず
もう少し打てるようになってから
再び一軍へ昇格させたい。
外野の若手は
山口、藤原に走力の高い和田の3人と
他の選手との差がまだ激しく、
彼らの代役となれそうな選手は
この中にはまだ見当たらない。
ここ数年二軍でも打てなくなっていた平沢が
昨年再び調子を上げ
ショートからほぼ外野へ回った今年は
二軍で絶好調なのだが、
一軍だと結果を出せていない。
内野の若手で今年一軍が多い選手は
二軍で好成績をあげているか
守備・走力を買われての起用かに
ほぼ二分されている。
補強ポイント
野手の補強ポイントはセンター。
一軍には藤原と岡、和田がいるが
二軍の若手は
ライトの多い山本とキャッチャーの谷川ぐらいなので
二軍で育成する選手が欲しい。
故障の多い藤原が
将来の守備位置や出場機会などに不安を残しているため
年齢差のある高校生ではなく
同年代の大学生を獲ってもいい。
内野では安田と年齢差のあるサード。
下位で獲得したスラッガー候補を
サードで長期間育成するのは悪くない。
ただ大物のファーストスラッガーとなると
山口がファーストに入ることも多いので
補強ポイントからはずれてくる。
キャッチャーは
松川を改めて二軍からの育成にしたため
22歳付近がやや空いた。
大学生を獲っても
飽和状態にはならないポイントではあるものの、
英才教育中と思われる松川と争えるレベルの
上位指名候補を狙うかというと疑問符がつく。/p>
投手補強ポイント
投手についての基本的な考え方
野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される
- 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
- より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける
このような手法は
以前にもましてとりづらい。
それよりも
- 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
- 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない
これらがどのチームでも最重要課題になる。
過去10年の投手成績
得点力に比べると
失点はもう少し抑えられている。
四球をあまり出さないが
三振率が低く、
ホームランラグーン設置後は
被HRが安定して悪い。
2023年投手陣の状況
トータルでの投手成績は
まだまだ悪くない形になっているが、
四球率は増えてないものの
被安打と被HRが序盤よりも大幅に増加していて、
打ちこまれる試合が多かったことを物語っている。
せめてこの投手成績ぐらいの比率に落ち着けば
後半戦はもう少し戦いやすくなるのだが。
先発は
美馬に加えて小島も調子を落としていて、
二軍で好成績の
カスティーヨや森が一軍で結果を出せていないため
運用が少し苦しくなっている。
他には本前と復帰した菊地ぐらいしか見当たらず、
石川歩と二木不在がかなり響いている。
リリーフも
ある程度休ませて負担を軽減しつつ運用するには
安定感の高い選手の数がやや不足気味か。
補強ポイント
見た目で分かりやすいポイントは
左のリリーフ。
しかしマリーンズは
ここ数年懸案だったこのポイントに対して
あまりドラフトでの補強をしておらず、
今年も左投手を優先的に指名するとは
ちょっと考えづらい。
指名順位と役割分担を比例させることもないようで
上位ではリリーフ要員、
下位で先発として育成する選手を獲ることが少なくない。
その下位・育成指名から
早くから先発で有望視される選手も出てくるのだが、
一方で
佐々木朗以外の上位・中位指名選手で
主力として定着し続ける選手が少ないため、
「上位が活躍しないとスケールが」といった
教条主義的な問題ではなく
単純に戦力となる選手の数が不足する事態に
つながっている。
今年の1位入札は
野手に人気が集まる可能性があるだけに、
チームにある
外れ1位までを念頭に置いた強運のイメージを利用した
単独指名を狙う選択も視野に入れて
1年目からしっかり活躍し続けられる
本当の即戦力を獲得したい。
*1:社会人1年目はライト