スポーツのあなぐら

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ファイターズ二軍の北海道移転と二軍3地区制

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ファイターズ二軍から見える3地区制の意味

プロ野球の二軍が
2リーグから1リーグ3地区制へ移行するとの報道に続き、
今度は北海道日本ハムファイターズ
二軍を鎌ケ谷から北海道へ移転するため
移転先を募集するとの報道があった。
7月7日の発表では
新千歳空港から北広島周辺にかけての
6自治体と協議を始めるという。
空路での移動が大幅に増え
ファイターズとの対戦が多くなるチームへの
負担を激増させるこの内容は
二軍の移動の負担を減らすのが大きな理由だった
3地区制移行と相反するものになっている。

この3地区制移転とファイターズの北海道移転とを
矛盾させないためには、
以前このブログで考察したように
1リーグにすることで
同リーグ、同地区との対戦にこだわらなくさせることが
より不可欠になってくる。
3地区制の報道が出てからは
3地区制を実質3リーグ制と見なす人がほとんどで、
東・中・西地区が6・4・4と報じられれば
「中地区と西地区は他3チームとしか対戦が組まれない」、
5・5・4と報じられれば
その記事には「常に『交流戦』を行う」主旨の一文があるのに
「奇数にしたら二軍球団を追加した意味がない」など
3リーグ制に基づく発言・書き込みばかり見られるのだが、
ファイターズが北海道へ移転するのであれば
空路での北海道遠征は
地区にこだわらず
金銭・時間に余裕があるチームを優先的に組まないと
経営が持たなくなるだろう。

そもそも3地区制の二軍が
他の地区と対戦してはいけない理由は何だろう。
ちょうどこのファイターズ二軍移転報道と前後して
ホークス王会長らを中心とした
「球心会」設立会見の報道があったが、
この会見でも言及されていた
「16球団」「20球団」は
ただの8球団、10球団ずつの2リーグではなく
2リーグ4地区制。
そして各地区の優勝チームによるプレーオフ
「CSをより健全なプレーオフに」するつもりだったはずだ。
しかし
この2リーグ4地区制前提の球団拡張案に対して
「同じ地区の3チームとしか対戦がなくなる」
「巨人と別地区になるオーナーが反対している」
などという主張は見たことがない。
また大谷翔平が在籍している(た)
ドジャースエンゼルス
同じナショナルリーグ西地区、
アメリカンリーグ西地区以外と対戦してなかっただろうか。
現在のMLBは全ての地区が奇数の5チームだが
常に同じ地区としか対戦せず
余った1チームは試合のない日が何日も続いているだろうか。
イチローが在籍していた当時のマリナーズ
エンゼルス、アスレチックス、レンジャーズとしか
対戦しなかっただろうか。
なのに二軍の3地区制は
同じ関東でも別地区になるチームとは対戦しない、
由宇より関西に近い名古屋のドラゴンズと
タイガース、バファローズとの対戦が一切なくなる。
そんな前提で、というよりも
「まれにある交流戦以外、同地区としか対戦してはいけない」
固定観念にとらわれた発言ばかり見られるのである。
実に奇妙だし、
「全く改革をしない」と揶揄されることも多い
プロ野球機構やオーナーより
はるかに保守的で頑迷な発想のようにも思われる。

 

北海道に最も近い関東の二軍とは

ちなみに
ファイターズ二軍の新本拠地へ行くのに
最も便利な球団はどこだろうか。
新千歳空港へのフライト時間が短い都市なのは
言うまでもないが、
もう一つ
最寄の空港へのアクセスについて
ここで見てみよう。

空港所要時間

関東で最も所要時間が短いのはベイスターズ
次いでジャイアンツの順になる。
マリーンズの移転先である君津は
アクアラインがスムーズなら
横須賀と同程度に早くなるが、
混雑したり通行止めになったりすると
かなり時間のかかる行程に変わる。
そんな東京湾を大回りする君津よりも
時間がかかるのが西武だ。
二軍球団は
遠征費の大幅増で「済む」オイシックス以上に
空港まで遠いうえに
1日に新千歳行きが2便と
丘珠行き1便しかないくふうハヤテが厳しく、
たとえイースタンに組み込まれていても
大変な事態になっていた。
二軍が16球団だとさらに悲惨で、
ファイターズと同地区に組まれそうなエイジェックは
栃木県内に空港がないため
1時間以上かけて1日2便しかない茨城へ行くか
2時間弱かけて羽田か成田まで行くしか手段がない。
別地区にはなるものの
熊本も阿蘇くまもと空港と新千歳との直通便がなく
1時間半近くかかる福岡へ行くことになる。
なお特に関東と大阪付近は
検索する時間帯や交通事情によって
所要時間が大幅に変わり、
ここで記した時間よりも
30分から1時間以上増えることはざら。
移動直後の平日デーゲームが多くなる二軍戦では
北海道から戻った際やファイターズの遠征を含め
この点でかなり悪影響が出そうだが、
時々見かける
北海道遠征あるいは二軍戦全体で
同一カード6連戦システムを採用する案は
長距離移動を移動日のみに限定し
渋滞や機材点検等による遅延の影響を
最小限に抑える意味でも有効かもしれない。

 

「帯広」とは何だったのか

ところで今年の5月、
先述のニュースと同じテレビ局の記事で
ホークスの取締役、アドバイザーなどを務めた小林至教授が
「ファイターズの二軍を帯広に移転すべき」と説いていた。
実際のファイターズは
北広島近郊で募集を行うので
帯広に移転することはまずないだろうが、
それにしてもこの帯広移転の提言は
いったい何だったのだろう。
というのも
二軍の3地区制移行が報道された後か
事前にこの議題を知っていたのなら
まだ話は分からないでもないが、
イースタン、ウエスタンの2リーグ前提で
この提言をしていたのだとしたら、
言葉はかなり悪いが
鬼畜の所業としか言いようがないからだ。

まず問題なのが
他ならぬファイターズの選手、コーチ。
帯広から北広島までは
特急と快速を乗り継いで2時間40分近くかかる。
搭乗手続きや保安検査などの手間がないとはいえ、
約30分かけて鎌ケ谷から成田空港*1へ行き
1時間50分かけて新千歳空港まで向かうのと
所要時間がそこまで変わらず、
コーチが自家用車で移動できるぐらいしかメリットがない。

それでいて大きな被害を被るのは
オイシックス東北楽天の関係者である。
帯広空港の国内線羽田空港との往復便しかなく
新千歳空港とすら接続していないからだ。
なので新潟との往復は
羽田空港で乗継をすることになるのだが、
もっと悲惨なのが仙台。
仙台空港羽田空港との直通便がなく
新幹線かバスで数時間かけて東京へ行き
羽田から帯広へ向かうか、
仙台空港から新千歳空港へ向かった後
バスないし列車で2時間以上かけて帯広へ行くか。
この二つの選択肢しかない。
当然ファイターズの二軍選手、スタッフも
仙台、新潟遠征で同じ仕打ちを受けることになる。
「地域振興」を理由に
この小林教授の案に賛同する人もいるようだが、
犠牲にするものがあまりにも大きすぎるため
アドバルーンとしてはかなり奇妙。
小林教授は
プロ野球選手自体に何かうらみでもあるのか*2
変に勘ぐられても仕方がない、
そんな提言でしかなかったのだ。
球界内外問わず球団拡張を唱える人たちに
少なからず影響を与えている方だと思うので、
ぜひともその真意を聞いてみたいところではある。

*1:羽田より近く新千歳との直通便もそこそこある

*2:ホークス退任のきっかけになった杉内俊哉への発言や時期が違うとはいえ2002年に台湾遠征から大きく調子を崩した経験を持つホークスに在籍しながらアジアリーグを主張している点などを含めて