スポーツのあなぐら

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MLBドラフトで指名された武元一輝選手の話

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武元一輝のドラフト指名

2025年のMLBドラフトで、
ハワイ大学の武元一輝選手が
アスレチックスから19巡全体560位で指名された。
智辯和歌山高校時代から
ドラフトの有力候補に名前が挙がり、
2022年にプロ志望届は出したものの
事実上NPBの指名を拒否して
アメリカへの留学を選んだことまでは
広く知られていた選手である。
高校では投打の二刀流として活躍した選手で
MLBでも二刀流を期待する人は少なくないようだが、
今後は投手一本で行くことを
既に本人が明言しており、
MLBでも表記がPになっている。
二刀流の場合は
TWP(Two Way Playerの略)表記になるため
投手での指名なのは間違いないだろう。

 

アメリ大学野球の現状

報道内容を見て
おそらく違和感を抱く人が多かったのが
武元の成績ではないか。
防御率5.75はドラフト指名される選手としては
かなり悪く見える。

2025アメリカ大学野球防御率

ここで知っておく必要があるのが、
アメリ大学野球が極度の打高投低である事実だ。
ハワイ大学が所属する
Big Westカンファレンスは
リーグの平均防御率が5.56。
これでも
今年のNCAA Div1全29カンファレンス中6位と
まだ悪くない部類なのである。
低反発の金属バットで飛びすぎるのか
使用球が飛びすぎるのかはわからないが、
特に今年の大学野球では
打球速度がMLBよりもはるかに速いデータが出ており、
武元もそんな環境の中でマウンドに立っていた点を
考慮しなければならない。

武元投手成績

ハワイ大学で2年目となる今季の武元は
先発ローテに入りこの数字。
防御率は平均を下回り
死球がやや多かったものの、
三振はそれなりにとれていて
K-BBやFIPは平均をやや上回った。
レベルがまあまあ高いカンファレンスでこの数字なら
投手不足のチームが下位指名しても
おかしくはないというところなのだろう。
なおBig Westカンファレンスからは
全体2位のTyler Bremnerや
武元と同じハワイ大のMatthew Miuraをはじめ
計15人の選手がドラフト指名されている。

 

はたして武元は契約するのか

ところで武元は
この指名を受けてアスレチックスと契約するのだろうか。
日本だとドラフト指名されたら契約するのが当たり前、
契約しないのは
本人が高望みしすぎか球団側の調査不足と
選手、球団双方がやり玉に挙げられることが多い。
しかし
50~40人指名していた時代よりは減ったものの
今のMLBでも下位指名されて契約しないケースは
決して少なくなく、
19~20巡に指名された4年制大学の2年生は
契約しないケースが多いことが既に指摘されている。

21-24年19巡契約

過去4年間の19巡指名で
実際に契約したのは全体の約3分の2。
短大や大学でより上位指名の可能性がある高校生は
拒否する確率がかなり高く、
4年制大学の4年生、5年生は
契約する確率が高くなると思われる。
契約金もかなり安く
NPBの下位指名並かそれ以下。
年齢的には拒否する可能性が高くなる
21歳の段階で指名されたこと自体は
武元の将来性が評価されている証ともとれるし、
アスレチックスは
森井翔太郎や冨岡聖平とも契約しているので
NPBを経ない日本人選手の開拓を
模索している面もあるのだろう。
とはいえ他大学への5年目移籍や
独立リーグ、外国、FAからのMLBとの契約以外に
あまり選択肢が残っていない4年生ではない武元が
はたしてどうするのか。
今出した例はわかりにくかったかもしれないが、
外国(くふうハヤテ)から
独立リーグのオタワ・タイタンズを経て
先日マリナーズマイナー契約を結んだのが大山盛一郎、
5年目の大学移籍を経験しているのが
昨年スワローズに育成指名された根岸辰昇である。
また下位指名から契約し現在マイナーでプレーしている
西田陸浮のような選手もいる。
アメリカの大学でプレーした選手の進路は
実に様々だ。
そんな様々な選択肢の中から
武元はどんなルートを選ぶだろうか。

 

その他参考
Baseball-Reference.com