スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

中日 落合GMドラフトの後付けシミュレート

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時空を超えた理由付けができる「Mr.ドラフト」

昨年末、ある本でとんでもないパワーワードを見つけた。
現在中日が6年連続Bクラスになっているのは
落合GM時代のドラフト、
しかも高校生を獲らなかったのが原因だというのだ。
特に槍玉にあがっているのは2014、15年あたり。
しかし、中日の暗黒期は2013年から、
つまり2013年オフに落合GMが就任する前だ。
「Mr.ドラフト」ともなると、
「ある年のドラフトの結果がそれ以前の年の成績にも影響する」
と主張できる
ようになるらしい。
ネット上ではマルハ~TBS時代の横浜にも全く同じ批判があったけども、
とうとうそのレベルまで到達してしまったか。
それにドラフトの成果は5年後、10年後につながる
と言ってた主張はどこへ消えたんだ?

とはいえ、ちょっと好意的な解釈もしてみよう。
もし2013年以降に高卒重視のドラフト、
あるいは「大御所評論家が高い評価をつけそうなドラフト」をしたら、
中日は今頃強くなっていたのだろうか。
今回はこのようなコンセプトで、
できるだけ成功している選手を指名したという
都合のいい後付け設定のもと考えてみたいと思う。

後付けドラフト開始

2013年

  実際   後付け  
1 松井裕樹 LHP 松井裕樹 LHP
外1 鈴木翔太 RHP 鈴木翔太 RHP
2 又吉克樹 RHP 田口麗斗 LHP
3 桂依央利 C 上林誠知 CF
4 阿知羅拓馬 RHP 又吉克樹 RHP
5 祖父江大輔 RHP 関根大気 CF
6 藤澤拓斗 3B 白村明弘 RHP
育1 岸本淳希 RHP 岸本淳希 RHP
育2 橋爪大佑 2B 橋爪大佑 2B

1位は松井の競合に向かった後、高校生の鈴木翔太なのだから
高卒重視の視点に立てばここは変えない方がいいだろう。
2巡はちょっと難しかった。
本当なら上位は投手と野手のバランス、
高校生と即戦力のバランスとやらが大事らしい(本当に本心なのか?)のだが、
この2つを噛みあう候補がなかなかいない。
ドラフト会議倶楽部の模擬ドラフトでは1巡嶺井博希だったそうだが、
現在の結果を考えると嶺井にしても成功とは言えない。
仕方ないのでここは田口にしておいた。その次が上林。
2位の又吉は下位まで残るだろうと言い出される可能性が極めて高いので4位で。
地元枠扱いになるのは岐阜出身の阿知羅でも
東海地区の社会人である祖父江や藤澤でもなく
高卒即プロの関根だけらしいから5位は関根。
6位以降の投手も白村以外に岩崎優、砂田毅樹、石川柊太と当たり選手がいるが、
当時の知名度なども考慮して白村にした。

2014年

  実際   後付け  
1 野村亮介 RHP 山﨑康晃 RHP
2 浜田智博 LHP 栗原陵矢 C
3 友永翔太 CF 石川直也 RHP
4 石川駿 2B 高木伴 RHP
5 加藤匠馬 C 香月一也 3B
6 井領雅貴 RF 高濱祐仁 SS
7 遠藤一星 SS 遠藤一星 SS
8 山本雅士 RHP 佐藤雄偉知 RHP
9 金子丈 RHP 幸山一大 OF
育1 佐藤雄偉知 RHP 石垣幸大 RHP
育2 石垣幸大 RHP 藤吉優 C
育3 藤吉優 C 近藤弘基 CF
育4 近藤弘基 CF    

現実の本指名は、野手が加藤以外全員24歳以上*1
投手は大学生と高卒3年目、2年目で固めたこの年。
1位は噂されていた山﨑康晃で問題あるまい。
毎年高校生ばかりだと、いくら高卒至上主義の評論家でも
バランスが悪いと怒られてしまう。
2位は準地元扱いの栗原。
3位は完全に結果論の後付けで石川直也としておいた。
さて、ここからまた高校生オンリーだと多すぎるので、
どこかで1人即戦力が欲しい。
この段階だと当時評価の非常に高かった高木や守屋功輝らが残っている。
その評価通りに指名するなら、
ここは1位候補でもあった高木がベターだろう。
それでも5位からは高校生を並べるんだがね。
あとは育成で指名、拒否された佐藤や準地元の幸山を入れる。
指名順位でもめた遠藤は周りとの兼ね合いで
どうしてもこの順位になってしまった。

2015年

  実際   後付け  
1 高橋純 RHP 高橋純 RHP
外1 小笠原慎之介 LHP 小笠原慎之介 LHP
2 佐藤優 RHP 木下拓哉 C
3 木下拓哉 C 平沼翔太 P,SS
4 福敬登 LHP 佐藤優 RHP
5 阿部寿樹 SS 佐藤世那 RHP
6 石岡諒太 1B 青柳昴樹 CF
育1 中川誠也 LHP 中川誠也 LHP
育2 吉田嵩 RHP 吉田嵩 RHP
育3 三ツ間卓也 RHP 三ツ間卓也 RHP
育4 西浜幹紘 RHP 西浜幹紘 RHP
育5 呉屋開斗 LHP 呉屋開斗 LHP
育6 渡辺勝 RF 渡辺勝 RF

ここも徹底的に高校生を指名した1位はこのまま。
2~4位は当時の知名度と投手・野手のバランスを考えて
木下と佐藤を入れ替え、
さらにそこへ平沼を混ぜておいた。
上位に野手を入れることも教義の一部だしな。
5・6位も知名度と評論家の評価重視でこのように。

2016年

  実際   後付け  
1 柳裕也 RHP 堀瑞輝 LHP
2 京田陽太 SS 京田陽太 SS
3 石垣雅海 SS 石垣雅海 SS
4 笠原祥太郎 LHP 笠原祥太郎 LHP
5 藤嶋健人 RHP 藤嶋健人 RHP
6 丸山泰資 LHP 丸山泰資 LHP
育1 木下雄介 RHP 木下雄介 RHP

ここは1位以外入れ替えるところがなかった。
全体的に地元枠と評論家にうけのよかった選手が指名されていて、
残すは1・2位が大学生になるのを防ぐことぐらいだったのだ。
その中でも京田は、大卒にしては珍しく
あの界隈での評価がやけに高いらしいので外せない。
しかし高校生に限定すると、残る1位指名選手はほとんどが競合。
単独指名で獲得可能なのは堀だけだった。


これで全体のバランスはこうなった。

    高投 高野 大投 大野 社投 社野  
実際 2013 1     1 3 1 6
  2014     2 1 2 4 9
  2015 1   1   1 3 6
  2016 1 1 3 1     6
後付け 2013 2 2 1   1   6
  2014 2 4 1   1 1 9
  2015 2 2 1     1 6
  2016 2 1 2 1     6
実際   3 1 6 3 6 8 27
後付け   8 9 5 1 2 2 27
参考(横浜97~2001)   11 10 4 2 3 3 33

高校生のバランスはマルハ末期に近くなり、
野手に関してはこの4年間自体もある程度野手重視。
彼らにとっては模範的な指名になっているはずである。

シミュレート結果

FA選手の獲得は厳禁、
外国人選手もあくまで若手がいないときのおまけ、
というのがあの人たちの考え方なので
ゲレーロアルモンテやジョーダン、ロドリゲスなどは外しておく。

2017

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2018

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野手陣は上林がいて守備が向上した可能性は高いものの、
アルモンテとモヤのマイナスを補えたかどうかは疑問。
上林もヤフオクからナゴヤに変わったことで
打撃成績は大幅に悪化している可能性が高い。

先発投手は柳が田口に変わった以外それほど変化はない。
リリーフは山﨑、石川、白村の存在が大きく、
祖父江のマイナスは補えている。
少しは接戦を制することができるようになったかもしれない。

全体を通してみると、
現在どん底に近い状態になっている投手は少し向上した可能性がある。
また、二軍に若い野手の数自体はそろっているので少しは夢を見れる。
しかし、バッティングはむしろ弱体化すらしていて、
全体の得失点は外野の守備力でよほど失点を減らさないと±0には遠い。
つまりどう見てもここ2年の現実に結びついたようには思えない

中日の強みであり弱点

「だから何だ」と言いたくなるシミュレートだったが、
いかがだったろうか。
これだけ都合よく成功した選手を獲得できたとしても、
高校生中心では中日は5年で強くなりようがなかった。
新たに獲得するなら、どう見ても田中広輔源田壮亮といった
中日ファン*2が大嫌いな大卒社会人野手の指名、
投手も大学生と社会人の獲得が必須なように見える。

しかし、中日であのようなことを書いたのは、
実は非常にまずかったんじゃなかろうか。
まず現在の中日は、暗黒期でありながら外国人野手のレベルが高い。
そして、2013年以降に指名された高卒野手のうち、
内野手として既に開花したのは岡本和真だけなのだ。
中日の場合はファーストにビシエドがいるから、
昨年ファーストだった岡本の存在がプラスにならないのである。
外野もここまで確認したように、たとえ上林がいても
外れるのがゲレーロアルモンテになり、やはりプラスではない。
「高校生を獲っていれば中日は強くなったはず」という発想は、
どう好意的に解釈しても、
中日というチームの現在の状況、
プロ入りした高卒選手の成長の状況、
各選手が指名された順位*3
これらを全く把握できていないものだと断定せざるを得ない。
あえて失礼極まりない暴言をさせてもらえば、
もう唯一興味のある高校野球の評論にだけ専念して、
高卒選手の品評会ではないプロ野球のドラフトに関しては
引退されてはいかがだろうか。

*1:学年で換算

*2:かつアンチ落合の

*3:何度も言うが、たとえ高校生の当たり年であっても1位指名の選手を2人以上獲得するのは不可能なのだ。