ニコニコのブロマガにあげたものを再構成した。
当たっているところもあれば盛大に外しているところもあるのだが、
私はこういう見方をする、あるいはしていた、ということを示すために
恥をしのんであえて再掲しておくことにした。
今回は初めて各チームに点数をつけてみた。
ただし目分量かつあえてどこも極端に辛口な点数にしてあるので
点数が低い(高い)からと言ってブチ切れないでいただきたい。
オリックス
55点
1位山岡に2位黒木。
田中や地元の寺島じゃなかったので批判されるだろうが、
山岡単独は充分おいしい。黒木も2位最初としては悪くない。
また野手指名は現有戦力のコマ不足を考えると悠長だが、
安達を大城や宗で補う間に宗と競わせる岡崎に若月・伊藤では不足な捕手で飯田、
杉本・武田がいま一つな外野に長打力も高い根本とその意図は一応理解できる。
一方他の投手は高校生が今まで育てられなかったタイプをまた2人、
齋藤や鈴木が一軍に上がったとはいえ
彼らも育つはるか前の段階で人員不足のために使われたに過ぎず、
ここは評価を下げざるを得ない。小林は悪くないが。
澤田は大学での疲労を抜いてもう一度自分なりの投球を作り出すところからだろう。
中日
55点
中日の歴史的な弱点は、高卒野手が少ないことではなく
高卒野手の輩出スピードが異常に遅いことにある。
大半の選手が一軍で使われながらも大卒社会人ぐらいの年齢になるまで活躍できないのは
落合時代どころか第二期星野、第一期高木時代からの伝統だ。
もしここで「ファン」が声高に主張する高校生偏重をしたら0点にするところだったが
さすがにそんなことはなかった。
準地元の吉川が先に指名されたこともあってか2位京田になったが、
この秋も結局3期連続OPS.600程度と相変わらず打撃が伸びないのは気になる*1。
3年後ぐらいの堂上FA流出までに堂上ぐらいの選手になっていてほしいところ。
石垣は他の内野か外野に回ると思うので京田とポジションが被ることはないはず。
投手は柳以外時間がかかる可能性がありここをもう少し即戦力で固めたかったか。
柳入札にキレている人も多いかもしれないが、
5年後10年後を見据えたときにも即戦力投手の存在は極めて重要だ。
東北楽天
40点
2013年ドラフトの再現かと思うようなドラフトになった。
2013年の弱点は投手を指名しすぎたことではなく、
投手が未熟な素材型だらけだったことだ。
そもそも昨年あれだけ野手偏重指名をしたのだから、
今年と同じバランスでの指名をもう一年しないと「根本流」にはならない。
今年の1位藤平は周囲の指名状況を見据えれば結果良い指名だったが、
2位以下は実績少なく内容もそこまでではない池田に始まり、
四死球の非常に多い菅原、鶴田に今年あまり投げられなかった高梨、
球は速いが都市対抗では決め球を欠き当たれば飛ぶ印象の強かった森原と、
高校生以外も素材型ばかりをかき集めた。
彼らをうまく早急に改善できないとたとえ西口がいい選手でも苦しすぎる。
野手のほうは2人とも身体能力が高く楽しみな存在。
茂木だけでは苦しい内野手も獲ってほしかったが、
こちらはそれなりの評価を与えていいと思う。
東京ヤクルト
50点
高校生投手を獲れと耳にタコができるほど言われているが
赤川、菊池、藤浪、安樂と入札し続けてきた1位高校生投手大好きなヤクルト。
今年もその例にもれず寺島に入札、久々に単独指名に成功してまずは一安心か。
即戦力に近い存在だが、由規のような長期離脱だけは防いでほしい。
ただそれ以降の投手が素材型ぞろいでここも即戦力が見当たらない。
これだと寺島を壊す確率が一気に上がっていくので、そこが怖いところ。
大学生のうち星はまだまだ荒削りで体力も不十分、中尾が前評判以上ならいいのだが。
梅野はリリーフ希望とのことで、高卒を先発にさせたがるこの世界では珍しい存在。
ヤクルトは以前書いた通り高卒のリリーフ育成は良いものがあるので期待したい。
菊沢は高齢でもあり、かつての本間忠ぐらいやってくれれば。
古賀は山川が中村、西田と比べて打撃がかなり伸び悩んでいて、
数年後西田のようにチャンスが来る可能性は充分ある。
埼玉西武
50点
1位で獲った高卒投手が成長している
(というか1位クラスの高卒投手なら育てられる)最近の西武。
そこに自信を持ったのか1位は今井に来た。もちろん早くに出てくる可能性は高い。
ただ究極ロマン型の中塚はどうしても疑問に感じてしまう。本当に育てられるのか?
いろいろ噂も聞くが、この選手もまずは体作りからということになるだろうか。
投手は他に即戦力2人。この平井、田村は即戦力度もそれなりだと思うが、
ただでさえ投手数が少なすぎて序盤に実験的な運用をせざるをえなかった西武だけに、
豊田のようにいきなり壊してしまわないかは心配だ。
野手のほうは守備型の源田と身体能力に定評のある鈴木。
源田は俊足のわりに足をあまり使えておらず打撃もいまいちだが、
呉念庭との競争でどう磨かれていくか。
阪神
50点
阪神ファンや一部の評論家からも評価が極めて低い阪神だが、
佐々木はいけば単独だったものの、三振が取れるようになったのは今年の春からで
去年から素晴らしいという前評判に対して不確定要素がそれなりに高い選手。
ならば空いているサードで大学屈指のスラッガー大山にいっても何もおかしなことはない。
ただこれ以降はあまりいい評価を与えられない。
2位小野は直前に中塚を獲られた*2ための
報復指名ではないかと勝手に考えている。
春は悪いが秋はいい選手で、秋の内容をプロまで持続しつつまずはスタミナ作りからか。
他には思いのほか伸びてきた望月に味をしめたかのような高校生投手2人に
大山とポジションのかぶる糸原もちょっとなという印象。
糸原はセカンドでの起用も考えているのか?
高卒4年目の福永と3年目の藤谷はいかにも23歳以上をあまり獲りたがらない阪神らしい。
藤浪の負担が増える一方なのもマイナス評価とせざるを得ないか。
長坂は春絶不調のくやしさをプロでぶつけて原口、坂本と争ってほしい。
千葉ロッテ
55点
外れ1位でのまさかの大競合を制したロッテ。
佐々木もこれまで投げすぎのきらいは否めないので異変を感じたら休ませてほしいところ。
投手がかなり足りないとはいえ2位以下を2年連続投手で固めすぎているのが気になるが、
ロッテはこれまで酷評されてきた大学、社会人指名の野手たちが
現在の2年連続Aクラスの原動力である*3。
来年前評判がよく年齢層的にも空いている社会人野手をうまく指名できるのなら
これはこれでありな戦略なのかもしれない。
ただ、伊東監督の求めた即戦力をしっかり獲れたかというと、
高校生2人にまだまだ素材型の土肥では不安要素のほうが大きい。
秋少し良くなっているという噂も聞く酒居に都市対抗はやや不完全燃焼だった有吉が
期待通りの力を発揮できるなら少しは投手起用も楽になるか。
宗接は実績が事実上4年春だけなのが気になるが、
それ以上に亜細亜大との26年ぶりの雪解けとなるだろうか。
横浜DeNA
55点
ファンや評論家からは酷評されることが多く、
その酷評に対して激怒するファンもいた。
地元出身の柳を外して最後濱口だったのが酷評の最大の原因だろうが、
特に5位以下でも有名選手を根こそぎ指名したのだからバッシングに怒るのもわかる。
いやむしろ「他球団が評価していない名前だけの選手をとった」のが酷評の原因ということか?
2位以下の投手からいくと、サイド気味の投手2人を指名したのが面白い。
進藤はサイドにしてから四球難に陥っているが、慣れてきたのか10月以降はまあまあ。
そのほか京山、尾仲と有名選手をそろえたが、細川の守備位置が気になる。
普通に考えれば外野だが映像を見てもNPBの表記同様投手でコールされている。
夏予選は打撃不調の代わりに投球が悪くなかったが、まさかの二刀流なのか。
他の内野手3人は二、三塁に宮崎、エリアンしかいないところで狩野なので
ショートではなくこちらでの起用もありうる。松尾は年齢が4年離れており問題ない。
佐野は外野かサードを守れるかどうかが一軍定着への鍵になるかも。
1位の濱口は気合は面白いがやはり四死球が多すぎ、三振率も岩貞、西宮より低い。
2ストライク後のストライクがなかなか取れずに外野深く打球が飛ぶシーンも多く、
もしかしたら新球種かフォーム改造まで着手する可能性もあると思っている。
福岡ソフトバンク
45点
今年は勤続疲労のたまったリリーフ陣がいいところで打たれ続け、
代役になりうる若手が全く伸びなかったのが3連覇をはばむ要因の一つだった。
というかリリーフですでに実績十分の千賀以外は高卒投手の伸びがあまりに悪く、
過去1位指名の松本、高橋もまだ2、3年以上先に期待したい選手。
その中にあって田中正義で即戦力補強を終了してしまったので低評価とした。
FAで誰かしら獲れるめどがたっているのなら5点プラスしてもいいのだが。
古谷もいかにもソフトバンクが欲しがり、かつ育成確率は現状非常に低いタイプ。
野手のほうは地元枠の九鬼に加えて
細身の素材型、パワーヒッター、身体能力型など育成枠も含めて面白い指名をした。
と最初は思ったが、後から考えると
余裕を持ちすぎではないかという気がした*4。
金満球団だけに「チームから出ていく野手がいないはず」という前提もあるのだろうが。
また、野手をたくさん指名したということは、
今年三軍でくすぶっていた育成枠の若手野手がかなり解雇されることになるはずだ。
このあたり大量指名をただ称賛する評論家が絶対に口にしない
ドラフトのもう一つの悲哀でもある。
読売
50点
1位の吉川は坂本の疲労と二塁がクルーズ、片岡、寺内、山本といった面々で
構成されていることを考えれば理解できる指名。
ただそれ以降投手を一人もとらなかったことで一般評価はかなり悪いようだ。
実際打線は慢性的に停滞しているが、ここは2008、09年指名と
2012~14年指名の高校生野手が伸び悩んでいるのが最大の原因。
今年の候補と今いる若手・中堅の育成とを天秤にかけて後者を選んだといったところか。
ただ畠(怪我が治れば)と谷岡はいいが、高校生2人に制球にばらつきの強い池田、
ルーキーリーグで暴投王に近かった廖と後半素材に走った感が強い。
池田は都市対抗の後が少し良くなっているようなのでそこに期待。
2位畠は今年春に三振率・四死球率・防御率などすべて
自己最高*5を記録したのにマニア評価ががた落ちしたという変わった選手。
怪我とともに春10試合77回を投げた酷使の疲労を回復することも重要かもしれない。
あとこの文面からもわかるが、彼が故障で離脱したのは春じゃなく秋だ。
北海道日本ハム
65点
田中、佐々木と外した後で左腕の堀は、今回は高校生だが日本ハム定番の選択。
このほか左腕3人がすべて高校生というのは評価しづらいところだが、
今年は大学・社会人の左腕がかなりの人材難なのでありではある。
怪我さえ治れば即戦力に近い高良*6の指名も高評価できる。
8位玉井は地元枠だろうが、飛翔癖がネック。
野手は、高卒野手をかき集めてきた日本ハムにしては珍しく大学生野手2人を指名。
石井は田中賢の後継と中島のバックアップで郡は身体能力も高い帝京枠だが、
森山と今井は去年の横尾に続き中田、大谷の流出に備えていることがわかる。
ただレフトライト限定の森山と一塁の今井ということは、
来年一塁専任の清宮にはいかないという意思表示でもあるのだろうか。
今井にサードか外野を守らせるなら話は別だが他に横尾・大嶋もいる。
森本と宇佐美は伸び悩みが顕著で、
今回の指名で彼らの去就がかなり怪しくなってきたとも言える。
広島東洋
50点
今年は圧倒的な力でセリーグを制したが、投打ともに固定メンバーでの戦いが続き
故障等でどこか一つ崩れると途端に瓦解しかねない危うさも持っているチームで、
そのわりに悠長な指名に終始したかなという印象はぬぐえない。
外れ外れになった加藤も即戦力というには直さないと厳しい部分が多く、
この中で早くに出てきそうな戦力としては高橋、床田に期待がかかるだろうか。
先日のブロマガに書いた通りこのチームはこれまでの固定観念にとらわれない
投手起用法をしているので、今回指名した高校生投手3人もしっかり
適材適所で起用法を見つけてほしいところだ*7。
唯一の野手は高校生捕手の坂倉だが
今年の中心捕手はそこそこ若い会澤ではなく石原だった。
石原の後は現在の伸びを考えると会澤と昨年指名の船越が考えられるので、
坂倉はその次の世代を狙って多田とともにじっくり育成されることになるか。
なお床田のいる中部学院大は東海地区の岐阜リーグであって愛知大学リーグ二部ではない。
どこかの解説者が思いきり間違えていたそうだが間違えないように。
まとめ
いかがだったろうか。
これまでのブロマガや生放送、動画を見ている方ならお気づきだろうが、
私は「5~10年先の夢より来年~5年先の現実」を重視する傾向が強く、
選手を評価する際のボーダーラインが全体的に高めである。
そのため今年はどうしてもどこも辛口になり、点数もかなり下げることになった。
今年は一軍でも投手のスクランブル的起用を余儀なくされたチームが多い中で、
ここまで素材型投手に走った指名を、
それも投手が払底しているチームほど行うとは予想できなかった。
指名が有力視された大学・社会人で順位縛りが多くあったのかもしれないし、
豊作とはいえ本当に即戦力と言える投手自体は少なかったため
それなら半端な投手よりロマンに賭けたのだろうが、
今いる若手が未熟なまま一軍に上がって打たれるのとあまり変わらない気もしてしまう。
また体作りから改めてと思うような選手も多く、
育つ前に層の薄い二軍で酷使して壊してしまわないか非常に心配になってくる。
もっともドラフト評論家や若手好きのファンにはこうした
育てるための抜擢や酷使を推奨する人も少なくなく、壊れたときだけ
首脳陣批判をするので方法論そのものには疑問を持たないかもしれないが。
なので投手指名では全体的に低評価。
逆に野手は指名数が少なめなこともあるがその意図や運用も見えてくる指名が多かったので
おおむねここでプラス評価となった。