スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2020年のMLBドラフトを検証しよう

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今年のMLBドラフトは
いつもなら40巡まで行われるところが5巡までに短縮され、
日本時間の昨日と今日行われた。
ドラフトの演出については
いずれnoteに書くとして、
今回は今年のドラフトの指名傾向について少し見ておこう。

 

 

1巡指名はどうなった?

MLBドラフト1巡

今年は大方の予想通り大学生の1巡指名が多かった。
しかしツイッターでよく見かけた
MLBドラフトは高校生が中心だけど今年はどうなる」は
はっきり言って間違い。
1巡指名の傾向は年によってばらばらだ。
2016、18年のように高校生が多い年もあれば
昨年のように大学生が非常に多い年もある。
これはその年トップの逸材数十人がどこに固まっているか次第だから
変動があるのは当然と言えるだろう。
高校生の指名凍結表明が相次いだ中でのこの数字とすると、
今年は高校生にそこそこ逸材が揃っていた年だったようだ。
なお2018年は現ホークスのスチュワートを含めた高校生4人が
指名球団と契約せず、
また大学生のカイラー・マレーが契約したものの
翌年NFLアリゾナ・カージナルスに入団*1したため、
実際のMLB入りは大学生と高校生が同数。

2巡から増えていく大学生

次は今年の指名範囲である1~5巡全体を見てみよう。

MLBドラフトround1-5

大学生が圧倒的に多くなっている。

MLBドラフト2-5巡

こちらが2~5巡の指名数。
2017年以外は
大学生の指名比率が1巡指名を大きく上回っており、
中でも1巡で高校生の多かった2018年が
昨年や今年を上回る大学生偏重ドラフトの様相を呈していた。
2016年は3巡でFA1人指名のため人数が増えている。

MLBドラフトは大学生中心

今年は5巡までの大学生率が
昨年に次ぐ歴代2位を記録したそうだが、
一連のウィルス問題がなくても
大学生中心のドラフトになっていたと思う。

MLBドラフト契約数

その根拠はこの数字。
去年と一昨年の2年間で指名され
実際にMLB球団と契約した選手の数だ。
あまりに数が多いので去年と一昨年の2年間しか調べてないものの、
その大半が大学出身選手である。
下位指名の高校生は
非常に高い確率で拒否しているし、
球団側もそれを承知で指名するためか
そもそも高校生をあまり指名しない。

MLBドラフト順位順

このとおりで、
高校生が指名されやすいのは1~5巡と31巡以降。
6~30巡は徹底的に大学生が指名されている。
高校生の場合は
ある程度高い契約金を払ってでも獲っておきたい選手と
マイナーリーグの入れ替えもあらかた終わって
あとは契約する可能性は低いがダメ元で指名しておこう、
ぐらいの感覚で指名している印象を受ける。
高校生の側から考えても
安い契約金と生活もままならない薄給での
数年間のマイナー生活を18歳で確定させるより
大学での飛躍に賭けてみるのは
納得のいく選択肢と言える。
「球児はみんな下位指名でもいいから高卒でプロ入りしたいはず」
「大学や社会人はただの無駄な回り道」程度に考えている
日本のファン、評論家*2とは大きな違い*3があるようだ。

ポジション別の傾向

最後にポジション別の指名数も見ておこう。

MLBドラフトポジション別

例年と違い5巡で全指名が終了する今年は
投手がやや多めとなった。
5巡までだと平均すれば投手と野手の数はほぼ拮抗するようだ。
ただ例年の40巡までの全体の指名数は確認してないので
それらを総合して傾向に変動があったかどうかはわからない。
普段は契約拒否が多いため
指名と実際の契約のポジション比率が大きく変わることもありうるし、
指名漏れの選手はFAとして安価で獲得することもできる。
このMLBを引き合いに出して
投手の指名が多くなりやすいNPBを叩く人は
ドラフト評論家や野球ライターなどにも少なからずいるが、
投手(野手)の入団が多ければ
解雇される投手(野手)も同数以上に増えていくのは当たり前。
しかもアメリカの大学野球はかなりの打高投低、
一方日本のアマチュア野球は徹底した投高打低
だ。
これらの要因を無視した比較を
何かに結びつけるのはほぼ無意味である。
この点については以前ブログにも書いたのでそちらも参照してほしい。

*1:2019年NFLドラフト全体1位

*2:選手ではない

*3:下位・育成指名でも最低限の年俸が保障されているのは日本プロ野球の優れた点(JリーグBリーグにもある)と言える。マイナーリーグの現状を見ると特にね