ドラフト抽選の結果を
わかりやすく可視化できないかと思っていたのだが、
日本人に少しは馴染みのある
相撲の星取表風にしてみた。
ドラフト全体
□は外れ1位以降での勝利、
△は抽選に当たったものの入団を拒否されたことを表している。
先に書いておくと、
全チームの平均勝率は.334だ。
巨人
7勝23敗 勝率.233
予備抽選の時代にかなり運が悪かった影響なのか、
競合を回避して単独指名を狙うことも多かった。
現在は外れ抽選を含めて9連敗中。
横浜
8勝24敗 勝率.250
一見それなりにくじが当たっているようだけども、
2球団競合と外れ1位での当たりが大半。
最初の1位抽選では8連敗中である。
阪神
9勝23敗 勝率.281
79年までは非常にくじ運が良かったのだが、
嶋田を最後に最初の入札では12連敗を記録。
藤浪を引き当てて連敗は止まったが、
くじ運は今も相変わらず良くない。
広島
9勝17敗 勝率.346
木田の入団拒否にもめげず
それなりに競合に向かっていった広島。
ちょっとわかりづらいが
1978~92年の競合回数は横浜(大洋)、阪神と同じだ。
最近は人気とともにくじ運も上がってきたのだろうか。
中日
9勝19敗 勝率.321
ちょっと運が良かったのは
星野監督就任直後の2年間だけ。
逆指名時代には4年、計5回の抽選を全て外した。
しかしここ数年は良すぎると言っていいぐらい運がいい。
ヤクルト
16勝20敗 勝率.444
80年代は運が良すぎるどころじゃなく連勝していたヤクルト。
由規の後は逆に1位入札9連敗を記録したが、
去年の奥川を当ててようやく止まった。
西武
9勝13敗 勝率.409
大競合に向かっていくか、
徹底的に回避して単独指名を狙うかの
二択に特化する傾向が強い。
根本管理部長時代からの戦略は
現在の渡辺GMにも受け継がれているようだ。
ソフトバンク
9勝24敗 勝率.273
南海時代はくじ運がかなり悪く、
ダイエーになってから少し平均的になった。
というか東浜を当てたと思ったら翌年2連敗、
工藤監督が2連勝したらすぐに6連敗。
確率の収束が早すぎやしませんかね。
ロッテ
15勝14敗 勝率.517
78年からしばらくは極端に競合を避けていたが、
当たっても拒否されるのをわかっているのに特攻するのは
勇気じゃなくただの無謀である。
なにせ78~92年に単独1位指名も拒否されたのはロッテだけ*1なのだ。
2000年代からは尋常ではない運を見せている。
外れ1位は通算で6戦全勝。
日本ハム
11勝27敗 勝率.289
1位指名の特攻は
「北海道日本ハム」の専売特許と思われていそうだが、
実は東京時代からの伝統でもあるようだ。
ハイリスクをとりたがるのは
フロントよりもむしろ現場出身者に目立つ傾向なので、
時期的に大沢監督、球団常務の意向だろうか。
特攻回数が多いぶん連敗もさすがに多いが、
何回かに一回はしっかり当たる時点で充分強運と言える。
オリックス
8勝27敗 勝率.229
特攻してはくじを外し続ける阪急時代、
オリックスへ売却される頃から運が良くなってきたものの、
98年を最後に大連敗が始まってしまった。
と言いたいところなんだが
この結果もほんのちょっとしたからくりがある。
楽天
9勝10敗 勝率.474
えーと、
ドラフトに参加してまだ16年しかたってないのに
なんで勝利数が4位タイ(6チーム)なんですかね。
一応補足すると、
外れ1位抽選に強いのと
2球団競合を狙って勝利数を稼いだところがあるので、
大競合だとそこまで強運ではない。
近鉄
7勝10敗 勝率.412
逆指名制度以降は運に見放された感があるけども、
通算では巨人と同じ勝利数を挙げていた。
80年代の5勝が光っている。
この時期のパリーグは西武・近鉄と他4チームで
くじ運の差がはっきりと出ていた。
3球団以上競合の星取表
さて
「うちは大競合に向かわず逃げるからスターがいない」
「このチームは弱腰で大競合を避けるから弱い」とは
ドラフトにおいてよく見る批判である。
しかし「スター選手を獲得できない」のは
本当に「大競合から逃げているから」だろうか。
そこで1位3球団以上競合の星取表も作ってみた。
これでも 最初のセリーグ3チームとオリックス(阪急)の悲惨さが
おわかりいただけないだろうか。
現在13連敗中の巨人、
連敗は12で止まったものの最初の抽選では35年勝ててない横浜、
11連敗から1勝したが再び8連敗中の阪神、
10連敗のあと川口を挟んでまた9連敗のオリックス。
この4チームは
ほとんど2球団競合の時しか勝ってないのだ。
3球団以上の場合は平均勝率.250弱だから、
せめて4回に1回は当たるなら
日本ハム並に特攻しても少しは気持ちが落ち着く*2のだろうが、
この4チームは徹底的に競合を回避することを
むしろ積極的に許さなければならないレベルの弱運になっている。
勝率ランキング
これまでの通算勝率(左)と
3球団以上競合(右)での勝率ランキングはこうなった。
全体で見てもパリーグが優勢だ。
しかも競合数が多いほうが
パリーグの勝率が高くなっているのがわかる。
この差は、しばらくの間は
そこまで大きなものじゃなかった。
広がったのは楽天が参入した2004年以降である。
驚異的な運を持つロッテの存在もあるが、
それ以上にくじ運が無さすぎるチームの存在のほうがでかい。
パリーグにはオリックス1チーム、
セリーグには阪神、横浜、巨人の3チームがいるため、
この差がもろに反映された結果と言える。
ここ2年ほどは広島と中日の運が良いので
セリーグも持ち直しているものの、
下3チームは今もくじを外し続けている。
阪神、横浜、巨人、オリックスが
ドラフトで大競合した選手を獲らないのは、
獲りに行っても抽選が当たらず獲れなかったからにすぎない。
それなのに
抽選を外しても単独指名をしても
ドラフト後の採点が低くなって悪いイメージをつけられ、
挙句の果てに
くじを外し続けている事実を無視して
「競合から逃げるからスター選手を獲れない」と
評論家やファンからなじられる。
このような「黒星」続きの図を見て、
少しでも思い込みから解放される人が増えることを祈りたい。