スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

10年前の2009年ドラフトを振り返る

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今回は今年10年目となる2009年のドラフトを
いち早く振り返ってみよう。

 

評価の高い高校生、伸びなかった「辻内世代」

この年は高校生の人気が非常に高かった。
センバツ大会の決勝で対戦した
花巻東高の菊池雄星清峰高の今村猛の両エースが軸で、
筒香嘉智(横浜高)がそれに続く形。
その他、一般的に人気があったのは
今宮健太堂林翔太愛工大名電高)、
岡田俊哉智弁和歌山高)、
山田修義(敦賀気比高)、眞下貴之(東海大望洋高)などの
高校生が大半。
大学生と社会人はかなり不作と見られていた。
巨人1位指名が濃厚だった長野久義以外は
春に調子を上げた二神一人、
即戦力左腕として評価されていた
藤原正典(立命館大)や古川秀一、
都市対抗で急に1位候補とされた
大卒3年目の中澤雅人などが挙げられた。
しかし他に多数いた上位候補を含め誰が単独、
外れ1位になるかは全く予測がつかない状態でもあった。

それにしても、この年の大学生の低評価はどう説明すればいいのだろう。
4年前には「辻内世代」と称され空前の当たり年と言われた世代。
それが翌年の世代がさらに大当たりと言われていたとはいえ、
彼らは大学で伸びなかったことになるのだ。
この世代は高卒でプロ入りした野手が当たり年だったが、
彼らが一軍で活躍し始めるのは2010年頃からだし、
何より4年前の異常な投手の前評判の良さとは全くかみ合っていない。
もちろん、辻内崇伸や他の選手たちに罪はない。
問題なのはわざわざ「辻内世代」と名付けて大騒ぎした人たち、
高校生というだけの理由で選手の評価を5割、10割増にしてしまう*1
「識者」たちの見る目のなさである。

1位入札

  選手名 ポジ 出身 競合
1 菊池雄星 LHP 花巻東 6
2 古川秀一 LHP 日本文理大  
2 筒香嘉智 3B 横浜高  
2 荻野貴司 RF トヨタ自動車  
2 今村猛 RHP 清峰  
2 今宮健太 SS 明豊高  
2 長野久義 RF Honda  
8 二神一人 RHP 法政大  
8 中澤雅人 LHP トヨタ自動車  
8 戸村健次 RHP 立教大  
8 岡田俊哉 LHP 智辯和歌山  
8 中村勝 RHP 春日部共栄  
  入札 外1巡
Bs 古川秀一  
By 筒香嘉智  
M 荻野貴司  
C 今村猛  
L 菊池雄星  
T 菊池雄星 二神一人
H 今宮健太  
S 菊池雄星 中澤雅人
E 菊池雄星 戸村健次
D 菊池雄星 岡田俊哉
F 菊池雄星 中村勝
G 長野久義  

1位は菊池雄星に6球団が集中。
1位競合するほど評価が高いとは言えなかった古川、荻野に
巨人以外は確実に拒否される長野はともかく、
筒香、今村、今宮も単独なのは意外な結果だった。
そして今になって見るともっと意外だったのは
外れ1位入札が全てばらけたこと。
この後は毎年競合に次ぐ競合が続くので、
全くかぶらないというのは非常に珍しくなっている。
とはいえ、プロの指名傾向と2位以下の当たり選手を見ると、
当時の評価が何となくつかめなくもない。

セリーグ

巨人

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3度目の正直で巨人が指名できた長野は1年目から大活躍だった。
3年間社会人で鍛えられたことがかえってプラスだったようにも見える。
ただこの長野といい翌年の澤村といい、
不調に陥ると他の生え抜きよりもファンのヘイトがやたらとたまる気がする。
無意識のうちに逆指名を外様扱いしている巨人ファンが少なくないのだろうか。
2位では高校生No.1捕手の鬼屋敷*2も獲得し高評価だったが、
鬼屋敷は育成の河野以上に伸びなかった。
3人の捕手の中で市川が最も長く現役とは。
育成での指名を拒否した陽川は東京農業大から4年後阪神へ。

中日

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菊池を外した後は同じ高校生左腕の岡田を単独指名。
岡田はリリーフで大成した。
上位2名が高校生投手、
3位以下が大卒・社会人野手というのはいかにも落合時代らしい指名だ。
大島は1年目から活躍し、
両松井もバッティングがかなり物足りないが一軍戦力にはなっている。
指名を拒否して残留の諏訪部はこのとき高卒3年目。
故障の影響もあってこの後社会人で活躍することはできなかった。

ヤクルト

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外れ1位で獲得した中澤は、
リリーフで本格的に活躍するのが5年目と遅咲き。
2位の山本も3年目からと時間がかかった。
ただし何年も活躍した事実に変わりはない。
このランク以上の投手を2人獲れたチームはほとんどないのだ。
荒木はファースト起用が多い中でこの数字だと物足りない印象がある。
2008年と違い高校生が少ないので当時の評価は低かったが、
意外と悪くない年と言える。

阪神

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菊池を外しての上位3人が大学生でドラフト後は酷評された。
その大学生があまり活躍できなかった代わりに、
甲子園の有名選手だった秋山が1年目に期待を持たせる。
が、秋山が本当に大成したのは8年目の一昨年。
それまでに33試合、うち先発が26試合で141 1/3回に登板した。
これを見て「1年使い続ければ5年早く大成した」
と言い出す人がいそうなのが世間の怖いところ。
藤川は毎年戦力ではあるのだが4番手以降という印象がぬぐえない。
バッティングの良い原口は今後どういう形で使われていくか。

広島

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単独指名の今村は2年目からリリーフで台頭。
不調の年もあるが、概ね好成績を続けている。
夏の県大会で今村のいる清峰を破ったチームのエースは、
4年後カープに1位指名されることになる。
3位以下は素材重視の指名だったが伸びず。
庄司はマニアから投手としての評価がやたら高かった。
堂林は3年目に台頭するが、
守備範囲が広い代わりにエラーの多いスタイルのうけが悪く、
そうこうしているうちにバッティングのほうが崩れてしまった。
その堂林は外野コンバートがアナウンスされた後も
なぜかサードで使われ続けていて、
2015、16年は一・二軍ともサードが多く外野起用はない*3

横浜

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2年目から使われる機会の多かった筒香
外野へ回った5年目の2014年に完全に開花した。
2位以下の6人は全て投手、
合計7人中高校生投手が4人という高卒投手偏重指名だった。
高校生投手のうち出てきたのは国吉だけ。
それらのマイナスは加賀で補われた。

パリーグ

日本ハム

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外れ1位の中村は2012年に台頭し始めるが、翌年から低迷。
先発9試合が1回、8試合が3回あるのだが、10先発以上は2014年だけだった。
高卒投手の実働年数を増やすためにも条件を緩和すべきなんだろうか。
2位の大塚も当時は上位候補とされていたが大成できない。
有名選手が皆伸び悩む中で活躍したのが大卒3年目に指名された増井。
2年目にリリーフに回ってからは主にセットアッパー、クローザーとして
毎年結果を出し続けている。

楽天

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地元東北の菊池を抽選で外して指名したのは戸村。
大学時代の実績を考えると、活躍しているほうだと思う。
2年連続で2位指名は高校生野手。
2014年に台頭しかけた西田は2015年に絶不調で使いきれなかった。
OPS.548、wOBA.246で守備も良くないとあっては
使い続けろと言うほうが無茶ぶりもいいところである。
しかしホークス移籍後は守備力に定評のある選手へ。いつの間に成長した。
小関は鬼屋敷に次ぐ評価だったが、こちらもバッティングが全く伸びなかった。

ソフトバンク

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単独指名した地元の今宮は総合力の高さが光っていたが、
プロでは守備型ショートに成長した。
バッティングの成長がここ2、3年でようやくで故障も抱え始めた、
というのがいささかもったいない気がしてしまう。
2位以下は高校生中心だが完全に失敗。
特に前年に引き続いて集めた投手が全く戦力にならなかった。
ホークスの高卒投手は、川原のように球速は伸びるが
そこから先に進めない選手が多い印象がある。

西武

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菊池は2年目に9試合先発。
そこから毎年少しずつ成長を重ね、
規定投球回到達は2016年から。
今年は最終的にどこでプレーしているだろうか。
その他の指名選手は、
先発、リリーフでイニングを稼げる岡本以外がいまいち。
特にこの年は九州地区の指名が目立った。

ロッテ

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2007、8年に育成枠も用いた大量指名をしてきたロッテが、
2009年は本指名4人の少数指名。
しかもそのうち社会人が3人、外野2人で当時は徹底的にこき下ろされた。
最近の不調や素行の問題もあり、
この年の指名をなかったことにしたいファンは今もかなり多いらしい。
しかし長く活躍する戦力を3人輩出したのは12球団唯一で、
単純に大成功と言っていいドラフトである。
荻野が故障しがちなのがもったいない。
またそれまで安定してまずまずのアベレージだった清田は
2015年にキャリアハイのあと急激に落ち込んだ。
ポジションは違うがちょうど今宮の逆になっている。

オリックス

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1位は菊池らを回避して古川、そこから投手のみの指名、
高校生が山田のみと評論家や世間にはマイナスしか見えないドラフトで、
当時はやはり酷評された。
事実オリックスの場合は結果も物足りないのだが、
最も成功しているのが27歳で唯一の右腕だった比嘉。
当時上位候補の山田は9年目の昨年ワンポイントで結果をだした。

*1:そして3、4、6年後には実力以上に評価を下げて「いらない。とにかく高校生を獲れ」と言い出す

*2:高専だが高校生扱いでの登録になった

*3:しかし当時は堂林をサードと喋るたびにリスナーから「外野だぞ」と訂正コメントが来た。イメージの力は恐ろしい