スポーツのあなぐら

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若手を四番打者で起用する意味とは

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開幕直後に四番で起用された若手たち

2026年4月5日の試合で、
ライオンズがこの日昇格したばかりだった
高卒6年目の仲三優太を
四番でスタメン起用したことが話題になった。
これ以外にも今年は
大卒2年目の佐々木泰が
開幕から四番に固定されている。
シーズン中にでも好成績を残してからではなく、
一軍での実績がまだ乏しい若手を
四番で起用するのはかなり珍しい。

2026開幕直後一軍四番

仲三の四番起用の理由について西口監督は
「和製大砲として期待しているので
何とか大きく育ってほしいから」という趣旨の
コメントをしている。
若手の四番起用に賛同する人は
概ね西口監督と同じ理由と考えられるが、
その一方で
若手を四番に据えることに異議を唱える人も少なくない。

 

若手を「四番」に据えられる時代の変化

だがこの懸念ももっともな理由がある。
これまでの日本球界における四番打者像は
「チームの顔」「チームで最も信頼できる」など
精神的な要素が過剰なまでに要求され、
自己顕示欲の強さや打順のプレッシャーに負けない精神力などが
四番打者の必須条件ともされてきた。
そのためか過去には、
開幕から四番に固定された後の2003~04年の2年間に
かなり成績が落としてしまった新井貴浩のような、
それまで一軍でしっかりと結果を出していても
「四番」に据えられて調子を崩す日本人選手も少なくなかった。
当時のカープの監督は
長年カープの四番を務めた
「ミスター赤ヘル」こと山本浩二だったのだから
余計にそのプレッシャーも大きかったのではないか。
若手を四番に据える懸念とは、
神格化された「四番打者」像による過度の圧力が
若手の成長の妨げにつながるのを危惧してのもの。
佐々木や仲三の起用は、
そうした精神的な四番打者の概念が
首脳陣からも選手からも払拭されつつある証と
信じたいところではある。
ただし佐々木のほうは
チームのけん引役、まとめ役としての役割を
大学時代に高く評価されていた選手でもあるため、
旧来の四番打者像のプレッシャーに耐えられる選手として
四番に起用されている可能性も否定できない。

 

若手の「四番」固定から見えてくる危惧

だが精神的な「四番」像がある程度払拭されたとしても、
若手を四番に据えることから危惧される問題はある。
そしてその問題点は、先述の西口監督の言葉
「何とか大きく育ってほしいなという意味を込めて4番に」に
全てが凝縮されている。
WBC代表への批判に多かった
「小技が使えない」などという意味ではない。
この言葉、逆説的にとらえると
「四番以外の打順では選手を大きく育てづらい」と
言っているようにも聞こえる
からだ。

2026開幕直後二軍四番

このように二軍ではしばしば、
成績に関係なく将来の強打者候補のルーキーや若手を
開幕からしばらく四番に固定する起用が行われている。
このうち髙橋、宮下、大坪に野手転向1年目の西は
二軍での成績も良好なので
実力、調子を評価されての起用ともとれるが、
高卒ルーキーの櫻井、藤井に関しては当てはまらない。
ここに載っている選手だと
有薗や内藤も1年目に同様の起用が行われていた。
いずれも二軍で好成績を残していない段階でのことで、
そもそも村上宗隆のように
高卒1年目から二軍でとんでもない好成績を残すのは
10年に1人出るかどうかである。

そんな高卒ルーキーがなぜ四番で、
それも結果を残す前の開幕直後ほど使われるのか。
ここで精神論以外の「四番の役割」を考えてみると、
たとえば野村克也は
二番打者に求めるが四番には求めない役割*1として
球数、出塁率、犠打、走者との連携といった
状況に応じた打撃と小技を、
逆に二番には求めない役割にホームランを挙げている。
これと先述の若手を四番に起用する理由とを組み合わせると
四番以外は打順論の役割分担に基づく数多くの制約があること、
つまり他の打順でも
二番打者ほどではないがこれに近い、
「四番打者には求めない役割」が常に要求されている

いうことになるのではないだろうか。
特に必ずしも勝利を要求されない二軍では、
その日の打順の役割に基づいたバッティング、作戦を
状況に関係なく実践させる試合も少なくないと聞く。
こうした手法は
小技やケースバッティングを上達させるために
有効なのかもしれない。
だがこうした制約を設けることが
過度の投高打低環境を誘発する一因に、
はたまた小技を多用する戦術を
過剰なまでに首脳陣がとりたがり、
また選手やファンが首脳陣にとらせたがる一因に
つながってるようにも思えるのだ。

*1:現在PCではこの箇所を読むことができない