今回はドラフトで時折目にする
「最下位チームはドラフトで有利」説について
見ていこうと思う。
最下位だと2巡指名がウェーバー上位になるため
かなり有利だと考える人が多い一方で、
奇数巡が逆ウェーバーになること、
1巡指名が同時入札方式であることから
2巡指名だけのために
タンキングをするほどではないと考える人も少なくない。
なお今回は
あまり踏み込んだ考察はしないので
その是非については各自考えてみてほしい。
成績は2020年終了時点のもの。
最下位チームの指名
まずは2巡ウェーバー最上位にあたる
全体13番目の指名。
3巡の全体36番目と合わせて見ていこう。
2014年までの指名で
2、3巡ともに大当たりなのは
2012年のベイスターズ。
井納は26歳と高齢だったため
上位では指名されづらい選手だった。
このほか
今年で実働5年目到達が確定しているのが山田。
なお2013年のファイターズは
1巡指名が渡邉諒で
「即戦力に走らず高校生野手を指名した」と絶賛されたが
1位抽選に3連敗したため
1巡・2巡が全体12番目と13番目、
事実上の連続指名となっていた。
2015年以降は今のところ
2・3巡が2人とも当たりそうなチームは見当たらない。
二軍でまだ結果を残せていない
引地、杉山、元の成長次第だろうか。
今度は全体14、35番目の指名だ。
当たり選手の数はさほど変わらないが、
どちらの巡目でも当たり選手を獲得できたのは
2013年のヤクルトだけ。
最近の最下位チームは
野手指名の比重が上がっているようだ。
特にショートの指名が多く
2015年以降の6年間で
ショートを1人も獲らなかったのはスワローズのみ。
そのスワローズも2013年に西浦、
2020年には直後の4巡で元山飛優を獲得している。
優勝チームの2巡・3巡指名
ここで比較対象として優勝チーム、
すなわち24・25番目と23・26番目指名も見てみよう。
特筆ものなのが2008年ライオンズ。
野上、浅村がどちらも大成功だった。
他にも大当たりの選手が多く
質・量ともウェーバー最上位のチームを上回るレベルだ。
ただし当時の一般評価だと
浅村以外はほぼ妥当な位置での指名。
全体的に即戦力度は低く
現時点で活躍できている選手は少ない。
発展途上の若手が多いので
まだまだこれからだ。
次は23・26番目。
大当たりはおろか
多少戦力になった選手すら少ない。
2巡のほうがよりうまくいっていないので
ウェーバー順は理由にならない。
こちらは高橋と
ショートの層が薄いため使われている石井がいるものの
やはりもう一つしっくりこない陣容。
ウェーバー順上位の指名にも言えることだが、
巷の評価が高かったにも関わらず
この位置まで残っていた選手が
結果としてうまくいかないケースが目立つ。
「せっかく残っていた『大物』を次で獲られる前に獲ろう」
という心理が働いている可能性もなくはない。
注意事項:「外れ選手」は本当に外れと言えるのか
さて最後に一つ注意事項がある。
今回は実働5年を基準に
大当たり選手と外れ選手を区分してきたが、
外れ選手を指名したチームは
スカウティング、育成がなってないと言い切れるのだろうか。
たとえば2008年の横浜。
2巡指名の藤江は実働3年だが
この年の2、3巡に指名された投手で
大当たりだったのは野上だけ。
他に藤江を上回ったのは
12年目の昨年ようやく実働4年目に達した中田廉しかいない。
つまり大当たりではなかったものの
藤江の指名はウェーバーの恩恵をそれなりに受けたとも言える。
このように
ドラフト指名が有効だったか否かを考える際には
他のチームの動向や
その年のドラフト候補の質についても
しっかりと見ておく必要がある。