93年からなのでソフトバンクの場合はダイエー時代からのスタートになる。
基本的な基準
- 逆指名が導入された1993年以降が対象
- 大当たり年：大物選手が2人以上、または大物+そこそこ以上の選手2人以上
- 大外れ年：そこそこの選手が1人以下
要は「ごく一部スター選手で夢を見る」のではなく、
「チームを強くする」ことに主眼を置いている。
ドラフト評論では往々にして
「他9人が大失敗でも1人大物がいれば大成功」とされるが、
超大物が1人だけいても大当たり年にはならない。
これは単年に限らず複数年にまたがる話でもある重要なポイントだ。
またここではWARなどの考え方に基づき、
イニングの稼げないリリーフ投手を先発よりやや低く評価している。
大当たり年
1993年
逆指名で小久保を獲得。
もう一人の逆指名渡辺はやや短命ぎみだったが、
2年目に台頭した吉武がそこそこ息の長い活躍を見せた*1。
1994年
城島を反則に近い形で指名。
他にも本間が控え主体ながら長く働いたことと
病死したため実働期間は短いが
いい働きをした藤井の存在で大当たり年としておいた。
藤井で補正をかけすぎている感がなくもない。
1996年
1位から井口、松中、柴原は
もはやずるい、反則というレベルですらない。
この大物野手3人に見逃されがちだが、
投手も倉野、岡本を確保している。
特に岡本は1、2年目にクローザーを務めた。
この年は高校生指名ゼロで
当時の週ベだとこの点がかなりのマイナス評価だった*2。
2001年
大当たり年3連続の反則技
3巡杉内は言わずもがなの大物選手。
抽選獲得の寺原はトレード前の5年間だと微妙なラインだが
神内も加わって少し持ち直した。
2002年
成功者は2人だけだが
自由枠の和田と新垣で充分お釣りがくる。
森本もバイプレーヤーとして意外と長い活躍。
2003年
自由枠の馬原と高齢指名の三瀬が
リリーフで息の長い活躍を見せた。
野手は明石がまずまず。
城所も合わせれば大当たり年の仲間入りか。
2005年
高校生ドラフトは大外れ年。
しかし大社で松田、本多の主力野手2人に
柳瀬、藤岡のリリーフ2人を確保した。
2006年
高校生は福田に育成の山田といるが
活躍期間や打席数、時期を考えると
大成功と言うにはやや微妙か。
この年も大隣、森福、長谷川に高谷と
大社が大当たりだった。
2010年
2位の柳田が大当たり、
さらに育成指名から千賀がエースに成長した。
育成からは去年バッティングも好調だった甲斐と
逆に去年は低調だった牧原もいる。
ただ支配下指名がよろしくないのは瑕。
大外れ年
1998年
新垣の抽選を外しての吉本や
某ドラフト評論家の評価がやたら高かった小椋は大成できず。
唯一それなりに働いた水田も時間がかかった。
2000年
当時誰もが嘆息したという
山村、山田の山山コンビが事実上の失敗。
山崎、荒金も息は長かったが
控えの域を出ていないのが痛い。
2004年
そこそこの働きをしているのは江川1人。
その江川も2013年に2桁HRは打ったが
準レギュラー止まりだった。
全体総評
1990年代中盤の大当たり年連発が
1999年以降の黄金期に結実した。
同時期の巨人と比べるとリリーフやバイプレーヤーの数もそれなりである。
一方2000年代前半の大当たりは結果的に投手偏重で、
ここに野手流出が重なってしまい
2000年代後半はやや停滞することになった。
現在は選手層がそこまで厚くはなく
足りない部分は主に外国人選手で補っている。
ほぼ全員が揃えば手が付けられない強さを発揮するものの、
故障・不調者がいくらか出ると
「育っている」はずの若手や中堅ではカバーしきれなくなる。
これはここしばらくのドラフトで大当たり年が少ない、
つまり複数の当たり選手がなかなか出ないのが一因だ。
最近のドラフトでも
今後大当たりになりそうな年があまり見当たらない。
「高卒ばかりなんだからもっと長い目で見ろ」
「監督が使わないから育たないだけ」
と思う人は多いだろうが、
これまでの大当たり年だと
最近指名が多かった高校生、
特に投手はほぼ2、3年で戦力になっているうえに
今二軍で本当に結果を出している若手が非常に少ない。
チームが強さを維持している間に
「『球が速い』『当たれば飛ぶ』育成の星」ではなく
「一軍戦力」の輩出スピードを上げたいところだ。
