スポーツのあなぐら

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今年大人気の大学生捕手は本当に指名されるのか

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今年のドラフトでは、
大学生捕手の人気が非常に高い。
ただしプロではなくファンの人気が、である。
中でも人気なのが渡部海(青山学院大)で、
何チーム競合しようと
なにがなんでも入札しろという主張が
いくつかのチームのファンからよく聞かれる。
他の主な上位候補たちも
「2位の後半には残らない」と言われることが多く
2巡の序盤で指名されると考えられているようだ。

その一方でプロの評価はというと
「大学生の評価が高すぎる」とかではなく
「わからない」としか言いようがない。
今までの傾向を見るかぎり、
大学生捕手は
巷の評価と実際のドラフトでの指名順が
大きく乖離しやすいポジションの一つなのだ。
しかも最近の投手指名などとも違うのが、
特に捕手は
大学生より高校生のほうが優先的に指名される。
少なくともそう見えることが多いのである。

 

大学生捕手と高校生捕手指名の境界線

2008年以降の実際の指名数を
5巡までの順位別で見るとこうなる。

捕手順位別1

捕手順位別2

大学生捕手の上位指名は多くない。
1位指名は昨年の小島大河が17年ぶり、
社会人は2013年の小林誠司しかいない。
2位は若干大学生が多めになっているが
18年間でたったの8人。
そのうち半数にあたる4人が
2018、19年の2年間で指名されている。
そして3位では
毎年続いていた高校生捕手の指名が
2017年以降激減。
かわりに大学生が増えるかと思いきや
3巡での指名数は変わらずに4巡以降だけが減り、
この枠が高校生に置き換えられた。
5巡までの指名率でも高校生捕手が
独立リーグも含めた捕手指名数の半数を超えていて、
支配下野手全体での高校生率約44%より多い。
18年の太田光と頓宮裕真、
19年の佐藤都志也と海野隆司は
珍しく前評判に近い順位での指名だったものの、
今年の大学生捕手の候補たちが
はたして彼らと同じように上位指名されるのか。
現状だと
今年のプロ志望届提出者には
高校生捕手もかなり多い。
大学生を上位で獲らず4位以降にまず高校生、
大学生や社会人、独立リーグからは
支配下が必要なら指名終了直前に獲っておけばいい、
そんなチームが続出してもおかしくはないのだ。

 

 

大学生捕手を指名しそうなチームは

なぜ捕手は上位指名が少なく
高校生の中位指名が多くなるのか。
真偽は定かではないが
大学生や社会人のキャッチャーに対して、
「変な癖が身についてしまっている」という評価を
「プロの現場」の目線として時々目にする。
これを真として逆に考えると、
高卒のキャッチャーは
「まだ癖のついてないほぼまっさらな捕手に
プロのインサイドワークを教え込める」、
そんな存在ということになるだろうか。
ただ実際の起用においても、
二軍でもまださほど打ててない
高卒1~3年目ぐらいのキャッチャーを
一軍に固定するケースは時々見られる。
そうすると
あながちでたらめでもないかもしれないし、
上位で大学生捕手を獲らず
中位か下位で高校生捕手を獲る場合も、
投手ばかり獲ろうとしているのでも
キャッチャーの指名を軽視しているのでもなく
単純にそちらのほうが優先順位が高いから、
下位での大学生以上の捕手は
あくまで予備の戦力補充がメイン、
ということも考えられるのだ。

だとするならば、
今年大学生捕手を上位指名するチームは
ファンが
今年の大学生候補を欲しがっているチームではなく
大卒・社会人捕手への抵抗感が薄いチーム
なのかもしれない。
そんな視点に立って
大卒・社会人捕手への抵抗感が薄いかもしれないチームを
過去のドラフトから考えてみよう。
ただしあくまで過去のドラフトの話なので、
現在の一、二軍首脳陣や編成、スカウトが
実際にどういう思考、主義をもっているかはわからない。
この点はあらかじめおことわりしておく。

捕手チーム別1

マリーンズの大卒捕手は
佐藤、過去には里崎がいたものの、
田村や松川を早くから一軍で使おうともしているし、
昨年は高校生中心のドラフトでもあったので
今の首脳陣に
高校生重視の傾向がないとは言い切れない。
あとの2チームは
進藤や古賀、小島を3位以上で獲得し
スタメンでもよく使っているので
そういう意識はなさそう。
ただ今年はチーム構成的に
大学生捕手の優先順位が低い。
ファイターズは
わずか3年前に3位で獲得した古川と
同じ大学の進藤を2位指名している。

捕手チーム別2

イーグルスは嶋や太田がいるので、
高校生以外への抵抗感はほぼなさそう。
マリーンズ時代の吉井監督も
若い松川を優先する起用はしていなかった。
その点で見ると
高校生優先の可能性が高いのがバファローズ。
日高、伊藤、若月と
ブルーウェーブ時代から高卒の捕手を
早くに一軍固定する傾向が強く、
来年あたりから
堀が同様の起用をされることも考えられる。
就任直後から伏見の起用を大幅に増やした
中嶋監督がかなり特殊な存在なのだ。
逆にホークスは
若手起用よりもFA、トレードを多用する点、
特に田上秀則*1や海野などを使いながらも
すぐに別なキャッチャーを欲しがる点がむしろ
下でじっくりと育てあげた高卒を使いたい、
できないなら他球団で完成された選手がいい、
という意思を感じさせる。
なお村上は先ほどの表の数字に入っていないが、
抽選を外したイーグルスとジャイアンツが
プロでキャッチャーをさせない予定だったか不明なので
このリストには名前を残してある。

捕手チーム別3

ジャイアンツは近年の生え抜き主力キャッチャーが
ほぼ社会人出身で構成されており、
その前も阿部や山倉和博がいたので
抵抗感は皆無と思われる。
一方、
高卒へのこだわりが非常に強いのがスワローズ。
全チームで唯一4位以上での
高校生以外の捕手の指名がなく、
主力には高卒を育てたいという意識が強く出ている。
傾向がいまいち読めないのがベイスターズで、
主力が非常に力不足だった2010年代前半は
嶺井や戸柱などを指名していたものの、
2020年代にスタメン定着した山本は
高卒1年目でプロ入りした選手。
加えて今松尾を鍛えようとしている状況を踏まえると、
現在のチームの中で
大学生や社会人より高卒を育てたい派が
力を持っていることはありうる。

捕手チーム別4

ドラゴンズもかつては
中村武志やFAでやってきた谷繁元信と
高卒選手が正捕手になっていたが、
チームにこだわりはさほどないようだ。
ファンのほうはしばらく
石橋固定の声が非常に強かったものの、
石伊の台頭と
石橋が20代後半へさしかかったこともあってか
高卒生え抜きへのこだわりも以前ほどなくなり、
かわりに渡部入札を主張する人が
増えてきているらしい。
その渡部入札を求めるファンの声が
極度に高いタイガースは、
一時期中川勇斗のスタメン固定を求めていたファンが
今ではあまりこだわらなっており、
チームはそもそも大卒への抵抗感が皆無に近い。
そしてチーム方針がよくわからないのがカープ。
ここも渡部入札を求めるファンが多いのだが、
近年は石原貴規以外
會澤、坂倉に今年の持丸と高卒の主力が続いている。
それどころか、
2001年4巡に石原慶幸を獲得した後
ドラフトで指名した高卒ではない捕手は、
ここに載っている船越、石原貴と
育成枠の3人しかいない。
高卒捕手へのこだわりが極度に強いチームなのだ。
そのうちの2人、安竹俊喜と小林結太が
ここ2年間での指名なので、
最近の一、三塁コレクションと同様に
今年も獲得しに行く可能性もあれば、
キャッチャーが近い年代に固まっているので
今年は獲らない可能性もある。
渡部海がそんな歴史を持つカープの
例外中の例外になるかどうか、
この点も今後の注目ポイントと言えるだろう。

*1:2001年ドラゴンズ3巡