スポーツのあなぐら

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ホークスとファイターズの2026年「中5日」をシミュレートしてみた

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2026年は年明け早々から
ホークスとファイターズの小久保、新庄両監督が
相次いで先発陣の「中5日ローテ」を公言し
話題になった。
日本でも少し前までは
「中4日のメジャーリーグと同じ100球交代なのに中6日」を
批判する声が圧倒的に多かったのだが、
2021年の佐々木朗希、奥川恭伸の中10日起用あたりからは
逆に日本人投手の中5日以内の先発が
極端なほどファンの批判を浴びるようになっており、
今回の両監督の発言に対しても
賛成意見や擁護はほぼ見られなかった。

現代のMLBの100球交代については
「プロ野球の先発投手が『メジャーと同じ100球交代』なのはなぜか」
題して論じているが、
ここでは交流戦前までの
ホークスとファイターズの「中5日」をシミュレートし、
その意図について考察してみたい。
なおこのシミュレートには特定の投手の名前は出さず、
アルファベットの記号で代用させていただく。

 

2026年日程に基づいた「中5日」

プロ野球の日程の作られ方

ホークスとファイターズのシミュレートをする前に
プロ野球における日程の作られ方を
簡単に説明しておこう。

現在のプロ野球の試合数は
「同リーグ25×5」試合に「交流戦3×6」試合の計143試合。
交流戦は合計6連戦が3回なので非常にわかりやすいが、
同一リーグとの25戦は
ホーム(ロード)13戦―ロード(ホーム)12戦で組まれる。
MLBと日本の違いが大きく出るのが
この3の倍数ではない13戦の組み方で、
MLBだと「3連戦×3+4連戦×1」で組まれるところを
日本では「3連戦×3+2連戦×2」か「3連戦×4+1戦」、
このどちらかで組むことになる。
そのため日本では2連戦が年に最大10回、
逆に言えば
主に月曜日に組み込まれる週1回の休養日以外に
計10回の休養・移動日を
対戦数の都合上設けなければならない計算だ。
また2連戦は連戦じゃなく
「地方球場+移動日+本拠地または別球場」で
組まれるパターンもある。

H2026序盤日程

2026年のホークスは
交流戦前に2連戦が5回配置されており、
6連戦が3週続くのは交流戦が初めてになる。

F2026序盤日程

一方のファイターズは序盤の2連戦が少なく、
6連戦が続くうえに
ゴールデンウィークに合わせた9連戦もある
厳しめの序盤戦。
代わりに中盤以降は2連戦も増えて
特にオールスター直前が移動日を挟んだ2連戦×2。
同じ時期に9連戦が待っているホークスとは
対照的である。

そして両者の共通点はというと、
4月11、12日の2連戦。
開幕カード以来となる両チームの対戦だが、
10日の金曜日が空く日程になっているため
中6日ローテにしていても
わずか2回目、3回目の先発になるこの前の週かこの週で
金曜日に投げた開幕投手を中5日で木曜に投げさせるか、
中7日以上で土曜以降に投げさせるか、
どちらかを選択しなければならない

両チームが中5日ローテを検討したきっかけは
この日程にあったのかもしれない。

H2026中6日

F2026中6日

巷の批判を反映した
中5日を避けるローテを試しに組むとこうなる。
ホークスもファイターズも
4月10日の空きから
ローテが少しずつ後ろにずれこんでいっている。
またファイターズのような
ゴールデンウィーク中の9連戦は毎年かなり多く、
今年も計8チームが9連戦。
ローテ7人目以上を入れなければ
先発6人体制にしてもここで誰かの中5日が必須になる。

 

中5日パターンA

まずは先発5人体制をずっと維持し続けるパターン。

先発5人体制

週5試合の場合は中5日にする必要はなく、
6連戦だと連戦の頭に先発した選手だけが中4日、
連戦数が増えるとそれだけ中4日の選手も増えてくる。
日本だと「中4日」と言われるMLBのローテは、
実際にはこの先発5人体制のこと。
MLBでは先述の4連戦が最低でも6回発生し、
この4連戦を3連戦・6連戦の前後に挟むと
10連戦、13連戦、16連戦といった大連戦が出現するため
ここで中4日が劇的に増えていく。
この点をローテ全体ではなく
個々の登板間隔にだけ注目したため
「中4日」だけが独り歩きした側面が強い。

H,F2026中5日A

6連戦が少ないホークスは
交流戦までの中4日が3人1回ずつで済む。
逆にファイターズの日程では中4日登板が合計8回必要。
それも開幕カードの3人より
2カード目に先発するDとEの負担がより大きくなる。

ここまでは一昔前のMLB風。
最近のMLB
試合数が同じまま開幕が以前よりも早くなり
休養日が増加して日程が少しだけ緩やかになったことに加え、
大連戦の際に6人目の先発やブルペンデー等を設けて
中4日を減らすケースが増えている。
そしてこのファイターズの日程も
たった1試合でローテの状況が激変する。

F2026中5日A+

5月3日、9連戦の6戦目に
6人目の先発投手を起用するだけ。
これだけで中4日の回数を
1人1回ずつの計4回に抑えられる。
もちろんブルペンデーでも問題ないが
そこはリリーフ陣の疲労度、二軍ローテとの
兼ね合いになるか。

 

中5日パターンB

もう一つ考えられるのが、
先発5人体制と中5日を前提にするものの
中4日だけは徹底的に避けるパターン。
6連戦の頭に先発した選手は一度二軍に下げて
連戦の最後には6人目を先発させる。
この6人目はすぐに二軍へ下げ、
一度下げた先発要員は
次の週の同じローテ順が来たタイミングで一軍ローテへ戻す。
これを6連戦のたびに順次繰り返していくのだ。

H2026中5日B

序盤がやや緩やかなホークスは
AとFの先発数が1回違うだけで、
中6日ローテとあまり変わらないようにも見える。
だがこのローテの大きな違いは中10日以上空けた、
つまり先発を1人二軍に下げた回数。
常に先発要員の一軍登録を4~5人にできるため
そのぶんリリーフの登録人数を増やせるのが利点だ。

F2026中5日B

ファイターズのほうは
今言った一軍登録人数と同時に
6人目の登板回数が大幅に減っている。
監督のコメントをそのまま受け取ると
現状の先発5番手と6番手との間に
やや実力差があるという認識かもしれないので、
この点もチームにとってプラスに働くか。

 

中6日でも中5日が必要になる理由

中5日を示唆していた小久保監督も認めていたように、
6連戦が続く日程では
先発6人体制による中6日ローテのほうが楽で
デメリットも多くない。
なのになぜ中5日をとろうとするのかというと、
リリーフ陣の一軍登録数を増やして
イニングまたぎや連投を最小限に抑え、
先発陣が投げる打者数、投球数の上限も減らす。
こうした点がまず考えられるが、
今回見た点からもう一つ考えられるのが
長いシーズンの中では
先発の誰かをどうしても中5日で投げさせたいタイミングが
ほぼ必ず出現する点だ。その主なポイントは二つ。

一つは6連戦を超える大型連戦。
日本の日程は月曜日を休養日にする6連戦がほとんどだが、
月曜が祝日の場合はその祝日に試合を組み、
その前後の週と合わせて9連戦になることも多い。
開幕から1ヶ月後のゴールデンウィークには
9連戦が高確率で発生し、
今年はセリーグ全チームを含む8チームが9連戦。
さらに7月には海の日があるため
今年だとここでも計6チームに9連戦が組まれる。

9連戦

9連戦では6人体制のままだと
最大3人に中5日の可能性が出るのだ。
今のところ
今年9連戦がないのはマリーンズとイーグルスだけ、
セリーグは4チームで9連戦が二回ある。

そしてもう一つが
ホークス、ファイターズの4月3日、10日、17日のような
同じ曜日の中6日だと空き日程が出てしまうパターン。

1週空き中6日

このAにあたる先発投手がローテ六番手だったり
やや疲れが見えていて一度休ませたい場合なら
このように1週空ければ済むだろう。
だが何としてもローテを崩さず投げてほしい
エースクラスだったら、
あるいは6人ローテを崩したくないならどうか。

1週空き中7日

ローテの並びを崩したくないなら
このように中7日を空けて以降もずらしていくが、

1週空き中5日

エース格や
次の日に投げる先発の曜日を崩したくない場合などでは
こうした中5日起用が当然視野に入ってくるのだ。

現在のプロ野球でもたまにある中5日での先発。
そのたびに6年前まででは考えられないほど
批判にさらされるようになった中5日以内での先発起用だが、
採用されるのはほとんどが
こうした日程上の都合によるものである。
現代のMLBに比べて
120球以上というより打者28人以上投げる先発が
圧倒的に多い日本*1
中5日を続けられるのかという疑問も残るが、
少なくともホークスのほうは
中5日用の投球管理をする節を匂わせてはいた。
いずれにせよ
「中5日」だけじゃなく
リリーフの「多投」や「イニングまたぎ」などにも言えることだが、
そうした状況が出現した際に
ファンも頭ごなしにただ批判するのではなく、
日程やそれまでの起用など
チームが置かれている状況をまず確認したうえで
発信する必要があるだろう。

*1:2025年の打者28人以上はホークス40回、ファイターズ44回で全チーム2、3位