スポーツのあなぐら

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過去15年のドラフト1位指名を検証する・2025年版

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過去15年全体の1位指名

1位指名の傾向

15年1位入札

第1回目入札での競合は
大学生投手か高校生が多かったが、
ここ2年間は大学生・社会人野手が一番人気。
1990年代、2000年代前半の
逆指名、自由枠時代には
争奪戦になる大学生、社会人野手が時々出ており、
プロ側の意識よりも大学、社会人野球、
特に投手個人のバランスがまた変化してきたと見るべきだろう。

15年1位指名数

第1回目入札、1位指名全体も
やはり投手の比率がかなり高く
過去15年では70%弱。
2017年以降はちょうど半々に分かれる年もあるものの
野手指名が上回る年はない。
社会人は指名自体がかなり少なく
社会人野手の第1回目入札は
度会ただ1人となっている。
2017、18年のように
入札が突出した高校生野手に偏る年もあれば
高校生投手に偏った19年もあるが
ほとんどの1位全体では大学生投手が多い。
どのチームも
即戦力、準即戦力の投手が補強ポイントになることが
最大の理由と言えるが、
日本のアマチュア球界が
どの階層*1も投高打低であるため
突出した野手の分母が限られる点、
プロ側も野手の育成に時間をかけるため
指名枠、特に突出した野手を育成するポジションが
空きづらい点も
この傾向に拍車をかけている。

 

抽選勝率

1位入札からいわゆる外れ以降も含めた
1位抽選の勝率はこうなっている。

15年抽選勝率

勝率のトップはドラゴンズ。
2位のマリーンズまでは勝率が.500を超えている。
ドラゴンズは
単独指名も多い一方で競合しても勝率が高く、
マリーンズのほうは
15年間で20回も抽選をしていることから、
たとえ最初の抽選は外しても
二度目の入札でまた競合しそうな選手へ特攻し
引き当てている様子が見てとれる。
このマリーンズ以降2~5位まではパリーグ
6~9位をセリーグが占めており、
15年間通算の勝率はパリーグのほうが良い。

15年3球団以上勝率

この傾向は3球団以上の競合だとさらに顕著になり
勝率は.100以上の差が出ている。
こういうことを書くと
「勇気を持って特攻するから当たるんだ」と
セリーグを非難する人がしばしば出てくるが、
ドラゴンズ以外のセリーグバファローズ
特攻してもなかなか抽選に当たらないのが現実だ。
なお過去に
オリックス*2は阪急時代含めても1997年の川口智哉、
ジャイアンツは80年の原辰徳、92年の松井秀喜以外
1位での3球団以上競合に勝ったことがない。

 

第1回目の入札

15年1回目傾向

単独入札が多いのはライオンズとバファローズ
1回目の抽選勝利数が多いのはマリーンズとイーグルス
勝率.500超のドラゴンズと
勝率.500弱のマリーンズ、イーグルスの運の良さが目立つ。
入札が被ったチームを比較すると
①マリーンズ―イーグルスの7回、
②ファイターズ―ホークスの6回が目をひく。
この両者の抽選成績は
①がマリーンズの4勝2敗1分*3
②は2勝2敗2分と互角。
これだけ見ると「まあこんなものか」と思えるが
①は両チームのみの対決がたった2回で4球団以上が4回、
②は全て3球団以上で4球団以上が5回もある。
この4チームというかパリーグの強運は
こんなところからも見えてくる。
なおこの4チームが同じ選手で競合したのは
2017年の清宮だけでファイターズが勝利。
①の痛み分けはこの時のものだ。

 

各チームの1位指名傾向

千葉ロッテマリーンズ

M

15年で11回も抽選に勝利しているだけあって
単独入札、外れ以降での単独指名がほとんどない。
2015~19年にかけて
大物高校生への入札と獲得が続いたため
この時期の1位指名は絶賛されていたが、
全体で見ると大学生の入札が多く
今あげた5年間も
極端に投手の指名が多かったり
3位以下がやや独自路線だったり
平沢を獲得した2年後に藤岡裕大を指名*4したりしたので、
指名後の採点で高評価される年は少ない。

 

北海道日本ハムファイターズ

F

「その年一番いい選手に向かう」を旗印に
大競合、他球団拒否、MLB志望など
毎年何らかの特攻を重ねてきたチーム。
しかし抽選での勝率が徐々に下がり
引き当てた選手が必ずしも即戦力として活躍し続けたわけでもなく、
大当たりしたらしたで早くにMLB移籍と
弊害がかなり深刻になってきた2020年以降は
各年の情勢も相まって単独指名が増えた。
入札、獲得ともに
大学生と高校生がほぼ半々の割合である。

 

埼玉西武ライオンズ

L

単独指名を狙う年も多いが
大競合へ向かっても
そこそこの確率で抽選を引き当てる運の強さもある。
しばらくは投手への入札がほとんどで
それでも強力打線を形成してきたのだが、
2020年以降は
最終的に野手を獲得することが多くなっている。
また2010年代中盤は
3位以下で高校生ショート、外野手や
大学生の内野手を獲ることも多く、
高卒野手の競合が続いた2010年代後半に
彼らの1位入札をしなかった点についても
正当な理由はある。

 

東北楽天ゴールデンイーグルス

E

かなりの強運で
過去15年の第1回入札だけでも
抽選を6回引き当てているが、
なぜか地元東北の高校生だけは
チーム創設以来当たったことがない。
しばらく高校生の入札が続いたものの
ずっと狙っていた
先発投手と主力打者の育成、獲得がうまくいかず、
近年は大学生の入札が多くなっている。
また
2位以下の指名が気に入らないのか
FAをしばしば活用するからなのか
若手が使われないと思われているからなのかはわからないが
マリーンズと同じく
1位抽選に当たった年でも
ドラフト直後の採点がやけに下げられることが多い。

 

オリックスバファローズ

Bs

1位入札は大学生主体。
社会人も山岡と田嶋は高卒3年目なので
大学生よりむしろ若い指名になっている。
野手の入札回数7回は1位タイ。
2018年から指名が大きく変わったと
しばしば絶賛されているが、
1位指名に関して言えば
高橋、吉田など
もともと高校生野手やスラッガーの入札は少なくない。
山田哲人や高橋のように抽選を外し続けたのと
2021年からの三連覇に時期が近かったため
そう思わせているだけである。
くじ運があまりに悪いのはどうしようもなく、
単独指名が多くなるのも致し方ないところだ。

 

福岡ソフトバンクホークス

H

基本的には大競合への特攻が多い。
15年トータルの抽選勝率は全体10位だが、
3球団以上の競合だと勝率が5位まで上がり
1回目の入札競合も全て3球団以上で3勝8敗。
全然悪くない数字である。
高校生とスラッガー候補への入札が多いのだが
強打者の抽選はことごとく外していて、
投手も実働年数と先発要員の数がまるで足りない。
このことが
国内FAやアメリカ帰りの選手をかき集める要因の一つになっている。
どういうわけかダイエー以降のホークスは
2球団での抽選に異常なほど弱く、
2007年の岩嵜翔でしか勝っていない(8敗)。

 

読売ジャイアンツ

G

過去15年の勝率は全く同じだが
運の方向性がホークスと真逆なのがジャイアンツ。
2球団競合は現在3連勝中な一方で
3球団以上は16連敗中と
特攻しては外すを延々繰り返している。
単独指名狙いへ特攻されても
返り討ちにできる運が残っているだけ
バファローズよりはましといったところ。
最初に狙った選手が獲れない以上は
一度外した後の人選がかなり重要になるはずだが
小林、吉川、大勢以外、特に投手は現状微妙な結果に。
むしろこの3人が出てくるなら充分と見るべきなのか。

 

東京ヤクルトスワローズ

S

15年間全体のくじ運はそこまでひどくないものの、
最初の抽選に限って言えば
単独指名が少ないぶん
バファローズよりひどい状況になっている。
外れ指名での競合で勝ち越しているのもすごいが。
抽選を外すから目立たないだけで
高校生の入札がわりと多く
特に野手の人気候補は積極的に狙う傾向がある。
最終的に獲得が多くなる投手の精度が課題となっており、
名前の良く知られた選手を獲得できても
大学生、社会人から先発に育つ選手が少なく、
リリーフも現時点では実働期間の短い選手がほとんど。
指名当時ほぼ無名枠だった
石山*5の存在が逆に際立っている。

 

横浜DeNAベイスターズ

By

2014年までは大競合への特攻主体だったが、
15年以降は
何としても獲りたい選手、ポジションか
一度抽選を外しても次で何とかなる場合じゃなければ
大規模の競合を避けるケースが増えてきた。
15~17年が大学生投手、
18~22年が高校生主体の入札になったのは
その結果ともとれる。
1位3球団以上の競合は
ホエールズ時代から数えて
度会が通算3勝目、柿田が2勝目だった。
松尾以外は酷評の対象にもなっている単独指名狙いだが
Aクラスが多い現在のベイスターズを作ったのは
この戦略によるところが大きい。

 

中日ドラゴンズ

D

落合監督GM時代と立浪監督時代で
イメージが薄れているふしがあるが、
基本的にドラゴンズの1位入札は
東海地区と高校生へのこだわりがかなり強く、
東海地区出身なら
地元の学校や社会人にいなくても指名することも多い。
ただし中村優斗のような
他地方出身の地元大学生は地元枠にならないらしい。
球場特性もあって野手がなかなか育ち切らなかったが
来年から導入されるテラス席で良い変化が出るか、
それともイメージほど育っていない投手の悪影響が
勝ってしまうのか。
抽選は
高校生野手が非常に強いが高卒投手だとかなり弱く
1986年の近藤真一から小笠原の間連敗していたが、
それ以降はまだ抽選になっていない。
高橋宏斗を単独で獲れたのはさぞほっとしたことだろう。

 

阪神タイガース

T

基本的には大競合への特攻がメイン。
くじ運は相変わらず良くないが
藤浪まで連敗していた頃に比べればだいぶましになった。
第1回目の入札で野手7人は
マリーンズ、バファローズと並び最多タイ。
中でも4人の外野手を入札したのが特徴で、
外野の陣容がある程度確保されていた
2022年も狙っていったため
戦略的な意図があるものと思われる。
タイガースに限ったことではないが、
有名高校生主体の指名をすると
一部のドラフト直後の採点基準が数年間、
指名内容や抽選結果等に関係なく
それまでより明らかに高止まりすることがある。
タイガースの場合
2019年の結果を受けてから23年まで続いたものの、
昨年は1位が野手ではなく大社投手で
独立リーグ主体の指名だったのが癇に触れたか。

 

広島東洋カープ

C

かつては上位でも高校生を獲り
育成するチームとして知られていたカープ
しかしもっと前は
大学生や社会人をよく1位指名していたチームなので
逆指名前の姿に戻ったというほうが正解に近い。
セリーグの中ではくじ運は良いほうだが
一度外した後の抽選は3回全て負けている。
現在のチームがかなりの貧打なので
「もっと1位で野手を」と思う人は多いだろうが、
カープ
1位指名の野手があまり育たないか時間がかかり
2位以下で獲得した野手のほうが早くに主力に育っている。
この表だと高橋と同年2位の鈴木誠也とが良い例だ。

*1:低反発バット以前の高校野球も含む

*2:近鉄バファローズは4回勝利、3人入団

*3:引き分けではなく痛み分け

*4:平沢の抜擢を阻害したとみなされるため

*5:ヤマハのエースだが直前まで報道、批評が全然なかった