スポーツのあなぐら

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東北楽天ゴールデンイーグルス2023年ドラフト補強ポイント

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①投手偏重と野手偏重の順番
②前例と教訓を踏まえた「スラッガー候補」を
③獲りたくても入札できない先発投手

 

 

戦力・ドラフト傾向分析

過去10年の成績

E10年成績

日本一からちょうど10年が経過。
2017年以降は
2年に1回CSに進出している。

E10年成績2

ここ4年間は投打のバランスがいまいちで
どちらかが良くなると
もう片方が悪化するという状況。
どちらも悪かった2014~16年よりはずっとましだが、
なかなか勝ちきれない要因の一つにはなっている。

 

2023年の成績

2023E順位

得失点が-24だったにもかかわらず
ちょうど5割で交流戦を終えると
そこから借金を5減らしている。
投手陣の状態が良くないのは相変わらずだが
パリーグとの試合に戻ってからは
それ以上の得点力を見せるようになった。

 

過去15年のドラフト傾向

E15年1位指名

1位入札は
地元の東北枠が2人いることを加味しても
高校生が極端に多い。
ただ2015年以降は
高校生の抽選が当たらなくなってしまい
外れ1位も含めて5連敗中。
逆に大学生と社会人は
チーム創設から6勝3敗で現在3連勝。
結果として
大学生と社会人の1位獲得が増えているが、
ドラフト評論では
大型補強などとともに批判の種にされやすい項目である。

E15年2・3位指名

3位までに投手2:野手1となることが多かったが
最近は
投手偏重と野手偏重のどちらかに偏る年が
激増している。

E15年指名数

一時期多かった高卒投手と大卒野手の指名が
近年は大幅に減少。
2019年以降は大卒・社会人の野手も
ほぼ上位指名限定となり
大学生投手と高校生野手の指名が増えている。

E15年戦力

高卒の育成はずっと苦戦していて、
野手は
活躍期間と成績が伴っているのが銀次のみ、
投手も先発で育ったと言えるのは
辛島航と1年目から即戦力だった田中将大ぐらい。
他球団へ移籍してから
リリーフで活躍する選手が少なくないのも
気になるポイントだ。
大卒と社会人も
非常に早くから戦力になっている即戦力選手以外は
微妙なところ。

 

野手補強ポイント

野手についての基本的な考え方

基本的な前提条件はこうだ。

  • 若手は全盛期(年代表オレンジ)に向かって少しずつ成長する
  • 全盛期の選手は同じぐらいの成績で推移するかゆるやかに衰える
  • 全盛期を過ぎた選手は特に守備がいつ大幅に下降してもおかしくない

この前提条件を踏まえつつ
若手・中堅の具体的な成長速度やポジション適性、
ベテランの衰えかたなども含めて
補強ポイントを見定めることになる。
また
今年のドラフト候補で
ポイントに該当し
なおかつプロを志望する選手が少ない、
他のチームとの兼ね合いで
欲しい選手を予定している順位では獲れそうにない、
などといった場合には
補強ポイントを翌年以降に持ち越すこともよくある。
一回のドラフトで
補強ポイントを全て埋めきる、
投手・捕手・内野・外野のポジションを均等に獲得する、
といったことにこだわる必要はない
のだ。

 

過去10年の打撃成績

E10年打撃成績

チームが創設されてからというもの
得点力は優勝した年以外ずっと低かったが、
補強の成果もあってか
ここ数年は平均値が上がっている。
ただそれまでと違って
外国人選手が当たらないため
上乗せが少ないのが厳しいところ。
全体的に盗塁が少ないものの
盗塁の少なさが得点力低下に直結している証拠は
これといって見当たらない。

 

2023年野手陣の状況

2023E打撃成績

四球数はリーグトップで
HRもそこそこ多い。
ここで打率も上がってきたため
出塁率も高くなっている。
盗塁とバントが多いのは
二塁打が少なく
ランナー一塁のケースが増えたからではなかろうか。

EF年代表1

EF年代表2

浅村が本来の調子を取り戻し
小郷と太田も良い打撃成績を残している。
辰己と伊藤裕も状態が上がってきたので
あとはショート、ファーストが課題か。

E若手C,OF

石原は四球が増えた代わりに三振も増え、
状態がいまいちよくわからない。
一軍に炭谷、太田、安田がいるので
出番を増やすのも難しい。
外野陣は
若手のセンター候補が故障者だらけで
武藤に続き前田がようやく戻ってきたところ。
ただ、まだリハビリ中といった印象はぬぐえない。
スタメン復帰してからの武藤はほぼセンター固定。
ジャイアンツから獲得したウレーニャも
今年は調子が悪く、
現役ドラフトで獲得した正隨は
レフトでの起用が多い。

E若手IF

社会人時代セカンドだった平良は
ほぼサードに固定され、
セカンドを任されていた辰見も
黒川が二軍へ戻ってきてからはライトに固定。
将来のセカンド最有力候補が黒川なのは
変わっていないようだ。
一軍ではずっと結果を残せずポジションも空かないが
二軍でやることがほぼ残っていない選手なので
当然と言えば当然か。

 

補強ポイント

1位入札は
佐々木麟太郎がプロ志望届を提出した瞬間に
確定すると思われるが、
競合数が増えれば抽選を外す可能性も非常に高くなるため
補強ポイントの話は
外れ1位を入札する前提で考えざるを得ない。

現状急務になっているのはサード。
スラッガー候補となる
大学生ぐらいのサードが欲しいところで、
サードとファーストを
1人ずつ指名してくることすらありうる。
ただ指名をするなら茂木タイプが好ましく、
例に出して悪いが
育てられなかった岩見のようなタイプは避けたい。
またショートも獲る可能性があるが、
これは入江がチーム内で
どういう評価をされているにかかってくる。
村林のように守備・走塁要員として
一軍でも使いながら育てるつもりなら
入江のさらに後も視野に入れた高校生、
二軍でもう一人の若手と併用しての育成にするなら
大学生か社会人のほうがいい。
併用の枠に沢野を入れ、
なおかつ来年の有力大学生に狙いを絞るつもりなら
様子を見て今年は獲らないかもしれない。
キャッチャーは
単純に支配下が少なく
年齢層も下がやや空いているので
大学生か高校生は狙い目。
外野は人数が多すぎるぐらいいるものの
一昨年獲得した20歳の4人が
まだまだ時間がかかりそうなので、
大学生か社会人で
かなり打てそうな選手が残っていれば
上位でも獲りに行く余地はある。

 

投手補強ポイント

投手についての基本的な考え方

野手と比べて
投手は年齢による成長・衰えのばらつきが激しく、
故障や不調などからくる戦力外も早い。
また近年は
個々のイニング、登板数を抑える代わりに
投手の調子を見極めた一・二軍の入れ替えが激しく、
一軍である程度使われる主力の数そのものは激増している。
そのため
一部のドラフト評論などでも主張される

  • 二軍以下で将来を見越して何年間も育成し続ける
  • より力のある選手を差し置いてでも、若い投手をただ一軍で使い続ける

このような手法は
以前にもましてとりづらい。
それよりも

  • 最低限の出場選手登録人数にこだわることなく、一軍で起用可能な投手の絶対数を増やしていく
  • 今年台頭した若手が来年以降も活躍し続けることをあてにして、目の前の年齢(特に18歳)と将来性に特化した指名を繰り返してはいけない

これらがどのチームでも最重要課題になる。

 

過去10年の投手成績

E10年投手成績

日本一後に田中将大がチームを離れてから
失点が極端に増えたが、
主要な投手成績は
意外と大きいマイナスにはなっておらず
代わりに入っていた選手も
それなりに奮闘していたようだ。
四球数が少ない反面、
一発を浴びやすい年が多い。

 

2023年投手陣の状況

2023E投手成績

投手成績のほうはどの数字も悪く
良いところが見当たらない。
強いて挙げるなら
安打数以外のHR、四球、三振の数字が
チームの打撃成績とあまり変わらないことで、
打線のほうは何とか粘れているところか。

EP年代表1

EP年代表2

先発、リリーフ問わず
防御率がリーグ平均未満、
あるいはFIPがリーグ平均未満の選手が少なく、
個人成績で見ても
投手陣全体の調子がかなり悪いことがよくわかる。
リリーフの若手は
渡辺翔、伊藤茉、内が台頭しているが
先発で台頭しているのは荘司だけ。
この台頭した4人のうち3人がルーキーなので
1年目に疲労の蓄積した彼らが
2年目以降にどうなるかも不安材料だし、
二軍で他に結果を出している若手が少ないのも厳しい。

 

補強ポイント

先発陣の高齢化が年々深刻化する一方で、
1位競合レベル以外での先発育成が
実質的に辛島、瀧中しか
成果が上がっていない状況はまだ変わらない。
このチームの弱点を打開するために
FAと外国人以外で最も有効な方法は
1位で即戦力の先発投手を獲得することなのだが、
1位入札候補がほぼ義務化されている今年は
この手段が使えない。
下位指名選手でも
現状打破の模索自体は続けたいところではあるものの、
6人どころか10人以上は必要な先発のポジション補強に
「10年に1人」しか出ていない成果を期待するよりは
即戦力のリリーフ候補を獲得し
投手の層を少しでも厚くするほうが
まだ現実的と言える。
今年のドラフトは
上位が野手偏重の前提に立って考察しているため
どうしてもこういう戦略を志向するしかないのだが、
外れ外れ1位あたりになって
1位でしか獲得できない野手がほぼ尽き、
投手の候補がまだ残っていた場合は
素直にそちらを狙ったほうがいいだろう。