前回の補足も兼ねて
各MLB本拠地もおおまかに判定をつけてみた。
MLBを判定した結果
結果はこうなった。
人口はわかりやすいね。
MLBの本拠地都市圏のうち、
150~200万人はミルウォーキーしかない。
あとは8チームが200万人台。
2チームをかかえる3都市はいずれもA+になる。
シカゴは中京大都市圏とほぼ同じ人数、
アメリカで一番多いニューヨークが関西とほぼ同じだ。
気候はそもそも
アメリカの気候を基準に判定していたうえに、
昨年まで暑すぎる地域の中に含まれていた
レンジャーズのアーリントンが
今年から開閉式ドームに変わるので
全チームA-以上になるのは当たり前といえば当たり前。
A-は4月が新潟より寒い屋外球場をさす。
交通は日本と少し判定基準を変えてある。
アメリカは道路以外の公共交通利用が前提になる日本と違って
基本的に車社会でもあるので、
駐車場と周囲の道路に充分な広さがあれば
車やバスのみの球場でもA判定にしてある。
少なくともA判定は
駐車場の広さなら日本最高クラスの充実度をほこる
新潟ですら比較にならないレベルだと思ってほしい。
B判定はその駐車場がそこまで広くなく、
交通機関とも徒歩10分程度の距離がある都市が該当する。
あえてAAAも判定してみた
さて、せっかくなので
同じ基準でマイナーリーグも判定してみたら
どうなるか考えてみた。
ただし気候はさすがに一部の地域しか調べていない。
フロリダ州がないので雨でマイナス点がつく都市はなさそうだが、
4月が寒い地域はいくつかあるし
暑すぎる地域もおそらくあると思うので、
A-かCのつく都市はでてくるはずだ。
ローレンスビル(30,000人弱)とタコマ(200,000人弱)は
それぞれアトランタとシアトル都市圏にあたり、
MLBと重複している。
200万人台のBランクは3チーム。
ここはMLBとの重複はないものの
シャーロットがNFLパンサーズとNBAホーネッツ、
サクラメントにNBAキングス、
サンアントニオにはNBAスパーズが重複しており、
シャーロットとサクラメントは
それぞれのホームは1.5kmも離れていない街中にある。
ただしサクラメントとサンアントニオは体感温度がやや問題で、
サクラメントはアトランタとフロリダ州の中間ぐらい、
サンアントニオはアーリントン並の暑さがある。
AAAクラス程度だと、
バス以外は公共交通のない都市がかなりあり、
MLBほど広い駐車場や道路を擁していないことも多い。
もっとも収容人数が平均11,500人、
平均来場者数も平均6,500~7,000人となると
そこまでの設備は必要ないとも言える。
球場の評価がB~Cになっているのも理由は同じ。
外野は日本の地方球場と同じ芝生席の球場が大半で、
マイナーリーグでは不足のない設備でも
MLB用を想定した今回の基準では改修必至なためB以下になっている。
ただ日本のように
芝生に10,000~20,000人詰め込む設定の球場はなく、
内野の座席は2ヶ所を除いて全てカップホルダー付の跳ね上げ席。
残る2ヶ所は跳ね上げと背もたれ付ベンチの併用だし、
NPBでも最近増えてきたテーブル席の充実している球場も目立つ。
「マイナーリーグ」レベルにMLBを誘致できるのか
残念なことに
AAA球場の駐車場や道路がいくら広くないと言っても、
新潟ぐらいのものを持っていてようやくAAA最低ランクである。
たとえ駐車場ではエコスタのほうが勝っていても
道路事情で分が悪いことが多いのだ。
球場も日本の地方球場では有数の充実度と思われる
エコスタ、倉敷マスカット、松山坊っちゃんですら
マイナーリーグの下のレベルにすぎない。
もっとも日本の地方球場は
野球道にいそしむアマチュア野球を
好奇心で見に行く人用に作ってあるのだから、
観客が楽しむためのエンターテイメント用に作られている球場と
大きな違いがあるからといって
作った側を責めるわけにもいかない。
それ以上にきついのが気候と都市圏人口。
特に都市圏人口は
チームや行政や企業がどうにかしようとしたところで
いかんともしがたいものがある。
試しに各球場が上手く改築された場合の判定を見てみよう。
球場を改修しても
そこまで大きな効果にはならないのがおわかりだろうか。
前回も書いたが、
そもそも「有力候補地」自体が
球場設備という
後から何とかなるポイントが優れている都市ばかりなので、
そのポイントを改善したところで
プラス要素はそこまで増えない。
新チームやNPBどころか
各行政ですらどうすることもできないマイナス要素が
「16球団構想」には重くのしかかっている。
なにせ特に有力視されている新潟はAAAレベル、
那覇と松山にいたってはAAAの中でも下のレベルにすぎないのだ。
プロ野球は観客に見せることを前提とした興業である。
だが観客に試合を見せたくても、
また熱心なファンが応援するチームの試合を見に行きたくても、
見に行けるファンの上限が乏しい都市では
努力の限界も早く訪れてしまう。
アメリカ基準でも1試合平均10,000人を大きく下回る日本の都市圏で、
週6日合わせて1試合平均20,000人以上を
どうやって集めようというのだろう。
精神論と陰謀論で何とかなる程度に考えている賛成派は
この事実に対して何か物事を考えているのだろうか。
そもそもこの人たちはたとえ地元にプロ球団が誕生しても
本当に試合を見に行くのだろうか。
少しでも目算が合わなかったら
「努力不足」と袋叩きにすると思われる程度の賛成派は
むしろ現実の「16球団構想」に対する害悪にしかならない。