スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

16球団構想候補地を判定してみた

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※2021/6/26、「日本海ドームシティプロジェクトについて」を追加。

 

ここでの判定を読む前に
以前に投稿した「青空の下ではできない日本野球」
「16球団候補地の必要条件」、などを
先に読んでもらいたい。
そうじゃないとわかりづらい部分が多いのだ。

 

 

「16球団構想」の候補地について
主だった候補地を私なりに判定してみたいと思う。

 

各候補地の判定

NPB12球団の判定

現在の12球団についてはこうなる。

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人口は
都市ではなく都市圏人口をさす。
都市圏人口200万人台はB、300万以上はA。
A+は2球団以上あっても問題ない地域のことで、
非常に人口の多い南関東はA+++でもいいぐらいだ。
気候
ドーム球場は関係なく安心して見られるので基本的にA、
南関東の屋外と広島は雨がかなり多いのでC。
甲子園は西宮のデータがわからなかった。
大阪並の暑さならD、神戸程度ならBになるが、
あの地域にしては雨も暑さも良好だったとすれば
甲子園があのような聖地になったのも
納得がいく。
交通は
チームの移動の話ではなく
来場する観客が用いる交通手段の話。
駅から遠いとされる球場は評価が下がる。
それでも元の輸送力が非常に高い交通機関ばかりだから、
現在の12球団はどこもB以上をつけられる。
球場で唯一Bをつけたのはメットライフドーム
外野が芝生席なのが理由。
これでわかるように
芝や屋根のつけ方などは一切考慮しておらず、
判定の基本基準は座席の作りと
その座席の改修がどの程度必要かによる。
Aは少なくとも内野まで全席跳ね上げ椅子。
総合判定の基本最低条件はBだ。

 

MLBのホームは

次にMLBも比べてみよう。
ただし30チームと非常に多いので
一つ一つの判定は載せずある程度まとめている。

MLBホーム判定2021

本来のMLB本拠地都市圏のうち
人口150~200万人はミルウォーキーしかない。
あとは8チームが200万人台。
2チームをかかえる3都市はいずれもA+になる。
シカゴは中京大都市圏とほぼ同じ人数、
アメリカで一番多いニューヨークが関西とほぼ同じだ。
気候は
暑さで有名だったレンジャーズのアーリントンが
2020年から開閉式ドームに変わったので
全チームがA-以上の判定となった。
A-は4月がやや寒い屋外球場が該当する。

交通は日本と少し判定基準を変えてある。
道路以外の公共交通利用が前提になる日本と違い
アメリカは基本的に車社会でもあるので、
駐車場と周囲の道路に充分な広さがあれば
車やバスのみの球場でもA判定にしてある。
少なくともA判定の駐車場は
日本最高クラスの充実度をほこる球場でも
比較にすらならないレベル、
駐車場に新球場やフットボールスタジアムを建設しても
まだまだ余裕があるぐらいの広さ
だと思ってほしい。
B判定は駐車場がそこまで広くなく
交通機関とも徒歩10分程度の距離がある都市が該当する。
道路もアメリカだと片側3~4車線は当たり前のようにある。

一番下に載せたのは
昨年に引き続きブルージェイズが代替使用する
ニューヨーク州バッファロー
人口は110万人程度とかなり少ない。
もともと町の真ん中にあるAAAが使用する球場なので
駐車場が狭い、レフト側には座席がないなど、
AAAとしては立派なほうだが
MLBが使うには物足りない球場である。
ただしライトレールの駅がすぐそばにあり
内野席はすべて跳ね上げ式だ。

 

各16球団候補地の判定

新潟

HARD OFF ECOスタジアム新潟

人口 気候 交通 球場 総合
D B- D C D

夏の気温はいいほうだが雨はそこまで少なくない。
さらに4月が若干寒いため仙台と同じB-。
球場はネット裏以外の内野席が単なる背もたれだけ、
外野が芝生と木のベンチなので
他の地方球場に比べれば良いほうではあるものの
できれば改修したい。
問題は人口と交通で、
150万人に満たない人口と
バス以外の公共交通機関がないこの球場では
週末の1、2日なら何とかなっても
平日連戦の集客がかなり厳しい。
なお先ほど書いた
「(駐車場が)日本最高クラスの充実度をほこる球場」とは
このエコスタのこと。
しかも道路が最大二車線なので
連日の数時間にわたる大渋滞は必至である。

 

日本海ドームシティプロジェクト」について

個人的な感想を先に書くと、
どうもこのプロジェクト
球団誘致よりもドーム建設が最優先事項に見える。
たしかに
エコスタは年間1、2試合、
多くてもビッグスワンのように月2試合程度行うには
立派なスタジアムかもしれないが、
週3~6日も試合をしていいボールパークにするには
ハードルがあまりにも高すぎる。
エコスタ、ビッグスワン自体が
地方都市にありがちな
「交通が不便な郊外の空いた土地に作られたスポコン」なため
他のイベントなどでも使いづらいうえに
宿泊施設等の拡張も難しく、
地元財界でも持て余し気味なのではないか。
ここまでは容易に想像がつく。
新潟駅から遠くない朱鷺メッセなど
現有のイベント施設*1はそれなりにあるものの
新潟市全体の需要には追いついていないのだろう。
民間主導のプロジェクトなのは、
県や市のような自治体主導では
スポーツ施設建設に厳しい制限がかかり
エスコンの二の舞を強いられる可能性が高いためと思われる。

ただ
これらの交通その他の問題を解決する土地が
本当に存在していて、
しかも確保することが可能なのか
という疑問が当然出てくる。
何よりも新潟だけでもつらい
人口・集客問題を解決できる都市が
もう一つ出てくるのか。
最低でも
1年目の東北楽天レベルの資金を出資できる企業が
2社以上現れるのか。
独立リーグがあるならプロ野球参入は簡単だ」
と主張する人は非常に多いが、
独立リーグのチームを運営できる程度の出資額では
プロ野球選手を10人そろえることすら不可能*2である。
ボールパークを作ります。
せっかく作って使わないのももったいないから
どなたか新球団に手を挙げませんか」
というのはMLBマイナーリーグなどでもよく見られる光景だが
以上の理由を考慮すると
今回の話はまさにこうしたパターンで、
スタジアム建設がまず先にあるのではないかと考えられるのだ。

 

 

宇都宮

宇都宮清原球場

人口 気候 交通 球場 総合
C C D(B) D- D(C-)

交通は数年後のライトレール開業で大きく変わる。
ただ日本のライトレールや路面電車
車両数が多い欧米に比べて輸送力が大きく下がるので
どうしてもMLBより低い判定になる。
都市圏人口は新潟よりも多く、
雨が多いが暑さは南関東とほとんど変わらないので
気候も多少はましだ。
ただし球場の観戦環境はかなり劣り、
座席の全改修が必要と考える。

 

静岡

草薙球場

人口 気候 交通 球場 総合
D(B-) D A D D

沢村栄治の快投という
歴史的には非常に価値のある球場だが、
駅の近さ以外は良い点数をつけられない。
球場は数年前の大改修でかなり近代化したものの、
座席は「良い地方球場」レベルなので
一軍の球団を誘致するにはプロの常用レベルにしなければならない。
雨があまりにも多く
暑さもなかなかのものなので夏の野球には向いてないが
冬は本州の中ではかなり暖かい。
サッカー文化が充実するのも納得である。

 

浜松

浜松球場

人口 気候 交通 球場 総合
D(B-) D C D- D-

どうしてもこういう評価になってしまうのが浜松。
一番ましな交通も
駅からの距離以上に歩道の狭さが評価を下げた。
静岡並の雨の多さもかなりネック。
静岡より唯一ましなのは人口だが、
それでも150万未満に変わりはないので判定は同じ。
人口のカッコ内は静岡・浜松都市圏としての判定。
こちらだと数としては札幌、仙台、広島を上回るけども、
元々都市圏が広がりすぎに見えるので
BじゃなくB-にしてある。
これは静岡も同様だ。

 

金沢

石川県立野球場

人口 気候 交通 球場 総合
E C D E E

金沢市の人口は46万人台と新潟に次いで多いためか
候補に挙げる人がそれなりに多い都市。
しかし実は
周辺地域にはさほど人が多くなく、
隣の県の富山都市圏が100万人を超えているのに対し
金沢都市圏はわずか75万人弱しかいない。
周囲には
陸上競技場や産業展示館があり
高速道路のインターチェンジが近いものの
公共交通はバスのみ。
暑さはそれほどでもないが春先はやや寒く
新潟と比べて雨が比較的多めだ。
唯一の利点は
老朽化の進んだ球場の改修が決定していること。
一軍が年1、2試合行える程度にはなるのだろう。

 

京都

わかさスタジアム京都

人口 気候 交通 球場 総合
B(A+) D A C- C

人口Bは京都としての判定で、
関西大都市圏だとA+になる。
駅が近く交通はAをつけられる。
ただし雨がそこそこ多く暑すぎる気候は大きなマイナス。
球場はネット裏が跳ね上げ式になっているため
ここだけは改修しなくてもいいか。
とはいえ全体で20,000人収容の球場なので、
一軍が入るには他でかなり無茶な改修が必要になりそうだ。

 

岡山

マスカットスタジアム

人口 気候 交通 球場 総合
C C B C C

中庄駅からは広い歩道を歩けるため
交通面は他の12球団本拠地と変わらない評価。
都市圏人口は宇都宮とほぼ同じだ。
跳ね上げ式の座席はネット裏にしかないが
内外野とも個別席なので、
改修後も収容人員はさほど減らないだろう。
雨がそこまででもないぶんC判定にはなるけども
元々ギリギリのラインだった気温が
近年さらに上昇しているのが気がかりだ。

 

松山

坊っちゃんスタジアム

人口 気候 交通 球場 総合
E D B C D

最寄駅の市坪は大量の人を捌くには小さいようで、
非常に近いものの改修が必要なのでB判定。
ただし周辺の土地を見ると
改修可能かどうかは疑問が残る。
球場の観戦しやすさは新潟、倉敷と同じで
他よりは改修が少なくて済むだろうか。
倉敷と同様に気温の上昇がやや激しい気候が懸念材料だが、
それ以上に厄介なのは人口。
都市圏全体でも100万人を大きく下回り
常時観客を集めるのが非常に困難な地域になっている。
四国全体で考えればいいと単純に思う人も多いそうだが、
JRで松山―高松の距離は
東北だと仙台から南は黒磯、北は盛岡ぐらいで
北海道では札幌―旭川より60km近く長い。
東京起点なら草薙球場や静岡を超えて焼津まで行け、
大阪駅と倉敷マスカットスタジアムのほうが少し近い。
駐車場と松山外環状道路が広くないので
車での来場を前提にするのもほぼ無理だ。

 

北九州

北九州市民球場

人口 気候 交通 球場 総合
A C C E C-

2022年から独立リーグへ参入する
北九州福岡フェニックスのホーム。
2004年の球界再編でNPB参入を表明した
堀江貴文氏のチームということで
NPB参入への期待も高くなっている節がある。
北九州が他の都市と違うのは
人口がそこそこ充実していること。
福岡・北九州都市圏は
2チームがあるサンフランシスコ都市圏より人口が多く
ジャイアンツとアスレチックスのホーム*3よりは
かなり距離が離れている。
保護地域の条件が緩和され
スモールマーケット*4を覚悟するなら悪くない都市だ。
ただし他はかなり微妙。
気候は岡山よりほんの少し涼しい程度、
モノレールの駅からはやや距離が離れている。
球場が住宅地のど真ん中にあるので
狭い歩道に人がごった返す形になるうえ
改修の余地が全くないに等しい。
逆に考えると
ドーム球場を建てられるぐらいの土地を見つけられればチャンスか。
小倉駅周辺はミクニワールドスタジアムなどで埋まったので
他で探すことができたらの話だが。

 

熊本

リブワーク藤崎台球場

人口 気候 交通 球場 総合
D E B E E

路面電車の停留所がわりと近く
交通に関してはそれなりの評価はできる。
しかしこれ以外はかなり厳しい。
球場には背もたれがなく座席全改修必須、
都市圏人口は150万人をやや下回る少なさ。
さらに気候がひどく、
熊本はかなり暑い上に
6、7月の雨量が月平均400mmを超える
日本有数の多雨地域
と言っていい。
火の国サラマンダーズの誕生で
NPB参入への熱意と期待はあるようだが、
残念ながら
一軍の試合を
屋外で何十試合も予定していい都市ではないようだ。

 

鹿児島

平和リース球場

人口 気候 交通 球場 総合
D E C E E

熊本と評価は似ているが、
市電停留所とはやや距離が離れているうえに
都市圏人口は110万ちょっとと熊本よりもかなり少ない。
熊本以上にお勧めできない都市と
言わざるを得ない。
球場は熊本よりほんの少しましにも思えるが
全改修が必要な点は同じ。
雨も7月は熊本ほどじゃないが
6、8、9月は熊本以上の豪雨地帯。
やはり屋外での連戦はしんどいだろう。

 

那覇

沖縄セルラースタジアム那覇

人口 気候 交通 球場 総合
E D- C E E

モノレールの駅は近いけども、
車社会の沖縄では駐車場が近くにないほうが厄介なので
交通はC。
那覇は本州四国九州よりも意外と気温が低くて
風がやや強いため体感温度も悪くなく、
気候は南九州よりはほんの少しだけいい。
台風の多さを除けばの話だが。
しかしさらなる大改修を必要とする球場に加えて
何といっても人口が最大のネック。
那覇都市圏は松山より少し多い程度の人口しかなく、
100万人を大きく下回っている。
また今までにも指摘されていることだが
台風でチームの移動が困難になりやすいため
前後の他地域でのリーグ戦開催にも
しょっちゅう支障を及ぼす可能性が高い。
冷静に見ると沖縄に一軍新球団を作れる要素は
ブルーオーシャンズの熱意ぐらいしか見当たらない。

 

エスキモーもいない土地で氷は売れない

判定を覆せない要素

各球場の判定をまとめるとこうなる。

候補地判定

総合判定Cでも新球団は厳しいという評価なのだが、
良くてもC判定、
DとE判定ばかりになってしまった。
現在の12球団や
MLBの本拠地がいかに恵まれているかわかるだろう。

それでも16球団賛成の外部の人はこう言うだろう。
「やってみなければわからない」
「できぬは工夫が足らぬ」
「やる気がないだけだ。敢闘精神が足りない」と。
ところで
今回の判定材料のうち、
右にいけばいくほど
工夫次第で何とかなる要素だとお気づきだろうか。
既存の球場は
建蔽率などの問題は多いが
行政、資金などと相談しながら改修していけばいいものだし、
実際に楽天は長い時間をかけてこの作業を進めてきた。
その楽天誕生前の仙台を同じ基準で判定したのが一番下になる。

次に交通と気候。
これを覆す方法は新球場の建設だ。
交通は新球場の場所次第で判定が変わるし、
気候そのものは人為で変えることができないが
ドーム球場が作れれば何とかなる。
当然、球場そのものの評価にも関わってくる。
この発想と似たような形になったのは札幌。
札幌ドームができる前だと
球場は駅からかなり遠く、
4月に試合ができないため
気候面は最悪である。
気候に左右されないドームの存在がいかに大きかったかがわかる。

その一方で、
各球団の努力ではどうすることもできないのが人口。
エクスパンションを推進している古田敦也氏は
よく都市の人口をMLBと比較するけども
実際に重要なのは観客の移動可能範囲にあたる
都市圏の人口だ。
アメリカは国土が広いので
人口が各地に分散するだけじゃなく
中心都市の人口に対して
周辺都市の人口もかなり分散しており、
都市圏人口200万人以上の地域が
2010年時点で30ヶ所もある。

大都市圏人口

しかし日本の200万人都市圏はわずか8ヶ所。
日米の総人口比約2.5倍に対してこちらは3.75倍と
非常に大きな差となっている。
200万人以上の都市圏にほぼ集中しているMLBでは
これでもまだ何ヶ所も参入可能な地域が残されているが、
日本には
どう見ても範囲が広すぎる静岡・浜松都市圏しか残っていない。
2005年の楽天誕生で
有望なNPB参入地域は事実上出尽くしてしまったのだ。

しかもこの問題は経済、交通と気候にも関わってくる。
大型新球場建設の時点で大金を使うことになるうえ、
大都市の少ない各地域に
果たしてドーム球場を作り維持する経済力があるのか。
建たないと気候的にきつすぎる地域がほとんどなだけに、
この点は本当に重大な問題と言える。
人口と経済力のある地域に強豪チームが集中するのは
サッカーなどでも当たり前の話で、
たとえばイングランドのサッカーでは
上位のプレミアリーグ、チャンピオンシップのうち
30%強のチームがロンドンに集中しているし、
ドイツブンデスリーガ一部リーグには
旧東ドイツのチームが1チームもない。

 

あえてAAAも判定してみた

ここでもう一つ、
今年大幅に改変されたマイナーリーグからAAAも判定してみよう。
ただし気候はさすがに一部の地域しか調べていないので
ここは推定。
フロリダ州がないので雨でマイナス点がつく都市はなさそうだが
4月が寒い地域はいくつかあるし
暑すぎる地域もおそらくあると思うので、
A-かCのつく都市はでてくるはずだ。

AAA判定

AAAは削減対象が少なく4ヶ所。
このうちサンアントニオは200万都市圏のB判定にあたるが
ポータケットは160万人のC判定、 あとの2ヶ所は100万人未満のE判定
そして代わりに新しく加わった都市圏は
130万人のジャクソンビルだけ、
あとの3ヶ所はそれぞれ
ヒューストン、ボストン、ミネアポリス*5の大都市圏に属し
MLBと都市圏を共有している。
特にミネアポリスセントポール
車で2、30分程度の距離、
最寄り駅が
メトログリーンラインの東西の終点にあたるので
都市圏の共有が見た目にもわかりやすくなっている。
このほかローレンスビルとタコマが
それぞれアトランタ、シアトルの共有圏だ。

200万人台のBランク3チームは
MLBと共有していないものの
シャーロットにNFLパンサーズとNBAホーネッツ、
サクラメントにはNBAキングスがあり
削減されたサンアントニオにもNBAスパーズがある。
今年加入したジャクソンビルも
NFLジャガーズがいるところだ。
またシャーロットとサクラメント
それぞれのホームスタジアムが1.5kmも離れていない街中にある。
なお気候のほうはというと
サクラメント体感温度がやや問題で、
サクラメントアトランタフロリダ州
中間ぐらいの暑さだ。

AAAクラス程度だと
バス以外は公共交通のない都市がかなりあり、
MLBほど広い駐車場や道路を擁していないことも多い。
もっとも収容人数が平均11,500人程度、
平均来場者数も平均6,500~7,000人となると
そこまでの設備は必要ないとも言える。
球場の評価がB~Cになっているのも理由は同じだ。
外野は日本の地方球場と同じ芝生席の球場が大半で、
マイナーリーグでは不足のない設備でも
MLB用を想定した今回の基準では改修必至なためB以下としている。
ただ日本のような
芝生に10,000~20,000人詰め込む設定の球場
はなく、
内野の座席はほとんどがカップホルダー付の跳ね上げ席。
一部の例外は跳ね上げと背もたれ付ベンチの併用だし、
NPBでも最近増えてきたテーブル席の充実している球場も目立つ。

一番下のトレントン
昨年まではAA、
今年からMLB Draft Leagueのホームとなるところだったが、
ブルージェイズの代替となったバッファローの代替として
バイソンズがここで試合をすることになった。
球場の規模はAAレベルでしかないが
ニューヨーク都市圏の中にあり
徒歩10分程度の場所にライトレールの駅がある。

 

マイナーリーグ」レベルにMLBを作り出せるのか

非常に残念なことに、
新球団のエクスパンション候補とされることが多いのは
一番右の「球場」だけがそれなり。
すなわち
後から何とかなるポイントだけが優れている都市ばかりで、
それ以外のより重要かつ改善の非常に難しいポイントは
むしろより厳しいマイナス点だらけになっている。
中でも特に推奨されやすい
新潟、松山、那覇、南九州は
球場改修程度では経営が到底成り立たない都市だ。
単に日本地図を見て「このあたりが空いてる」
あるいは「推進するソフトバンクがいるから何とかなる*6
程度に考えているのかもしれないが、
現実は非情である。
もともと人口が充実しているにも関わらず
ドームが建てられるまで環境が悪すぎた札幌と
球場をうまく改修さえできれば良好だった仙台に
球団がなかった2002~04年時点とは状況が完全に逆*7
なのだ。

またAAA球場の駐車場がいくら広くないと言っても、
新潟ぐらいのものを持っていてようやくAAA最低ランクである。
それにたとえ駐車場ではエコスタのほうが勝っていても
道路事情で分が悪いことが多い。
球場も日本の地方球場では有数の充実度と思われる
エコスタ、倉敷マスカット、松山坊っちゃんですら
マイナーリーグの下のレベルにすぎない。
もっとも
日本の地方球場の観客席は
野球道にいそしむアマチュア野球を
好奇心で見に行く人用に作ってある*8
ので、
アメリカの大半の球場に見られるような
観客が楽しむためのエンターテイメント用に作られている球場と
大きな違いがあるからといって
作った側をただ責めるわけにもいかない。
それ以上にきついのが気候と都市圏人口。
特に都市圏人口は
チームや行政、企業がどうにかしようとしたところで
いかんともしがたいものがある。
試しに各球場が上手く改築された場合の判定を見てみよう。

改修後候補地判定

このように
球場を改修してもそこまで大きな効果にはならない。
また
ドームの新球場を作る場合の交通判定を高めにしてあるが
現実に交通を整えられ
ドーム球場と駐車場を作れるだけの広い土地がなければ
この判定は大きく下がることになる。
このように「16球団構想」には
新チームやNPBどころか
各行政ですらどうすることもできないマイナス要素が
重くのしかかっている。
なにせ特に有力視されている新潟はAAAレベル、
那覇と松山にいたってはAAAの中でも下のレベルにすぎない。

プロ野球は観客に見せることを前提とした興業である。
だが観客に試合を見せたくても
熱心なファンが応援するチームの試合を見に行きたくても、
見に行けるファンの上限が乏しい都市では
努力の限界も早く訪れてしまう。
特に野球は他のスポーツと違って
週5、週6ペースで試合を行えるため
ほぼ毎日大量の観客を集めなければならない
のだ。
アメリカ基準でも
1試合平均10,000人を大きく下回る日本の都市圏で
週6日間1試合平均20,000人以上
どうやって集めようというのだろうか。
「努力不足」だのナベツネ陰謀論だので
どうにかなるような問題ではない。

それでもこれらの候補地に新球団を置くのなら
これまでのMLBNPBがとってきた戦略を根本から覆し、
人口も気候問題や交通問題にもとらわれない
観客動員と試合消化を全く考えなくていい経営戦略
構築する必要がある。
あるいは
全チーム一律に
選手・スタッフ数や給与などの経営規模を大幅に縮小する、
閉鎖型リーグから開放型リーグに変更する、
といった転換*9が不可欠になってくるだろう。

*1:なおBリーグのホームは長岡にあり新潟市の都市圏には入らない

*2:簡単な例を出すと2005年楽天の選手平均年俸は2900万円、2019年四国アイランドリーグで最も収益をあげた愛媛マンダリンパイレーツの総収入は1億6800万円弱

*3:海を隔てているので移動距離はそれなりにあるが直線距離では17km弱しかない。2023年開場予定のオークランド新球場ではその距離がさらに縮まる。

*4:それでも北九州市だけで松山、那覇都市圏の人口は超えている

*5:シュガーランド(ヒューストン)とセントポールミネアポリス)は独立リーグからの参入

*6:これは南九州の場合が該当する

*7:これは1988年の福岡も同じだ

*8:野球場に限らず日本の「スポーツ施設」は背もたれや屋根が極端に少ない。旧国立競技場などがいい例だろう

*9:経営格差が極端に激しくなるアジアリーグ構想などの場合は特にこうなる