今回は、
「プロ野球」がいかに特殊なスポーツかを改めて見てみようと思う。
と言っても
「プロ野球=NPB」じゃない。
プロスポーツ、スポーツイベントとしての野球が
どれだけ特殊かという話だ。
その特殊性をよく表しているのが観客動員数。
ここでは
野球はNPB、MLBに加えて
アメリカマイナーリーグのAAA、
おそらく全米で最大の人気をほこるアメフトのNFLに
バスケットボールからNBA、
サッカーは日本のJ1と
アメリカでも最近人気が高まっているMLS、
さらにヨーロッパ五大リーグとされる
プレミア、ブンデスリーガ、セリエA、
リーガ・エスパニョーラのプリメラ、リーガ1の
2019年観客動員数を出しておく。
秋春制リーグ*1は2018-19シーズンのデータだ。
1試合あたりの動員数では
やはりというかNFLが抜きんでている。
ヨーロッパサッカーもブンデスリーガとプレミアリーグが
かなりの数字をたたき出している。
これについてはホームの収容人数も関係していて、
ヨーロッパサッカーは各スタジアムの収容人数の差が
最大6~7倍はあり非常に激しい。
その中で各トップリーグは
かなりの確率で動員できている。
しかしそれを考慮しても
NPBとMLBは1試合あたりの動員数がかなり多く、
それなのに主催試合数も
サッカーの3~4倍、
二番目に多いNBAよりも1.7~2倍弱と
圧倒的に多い。
そのため年間の観客動員総数では
NPBやMLBが圧倒しているだけじゃなく
マイナーリーグですら
イタリア、フランスのサッカーに匹敵し、
J1やMLSを大きく上回っている。
もちろん「観客総数が多いから野球のほうが人気が高い」
などという話でもない。
アメフトやサッカーは試合数をあまり増やせないかわりに
1試合の価値を高めることで成り立つスポーツであり、
野球は1試合の価値を高めるのが難しいかわりに
試合数を増やすことで1試合あたりのまぎれを
多少なりとも抑えていくスポーツと言えるだろうか。
それでも野球はかなり運の要素が強い競技と聞いた記憶があるけども
出典が思い出せない。
もしかしたら記憶違いかもしれない。
この極端なまでの多売戦略、
観客動員総数の比重の高さが
野球の大きな特徴、特殊性と考えられる。
先日某TV番組で
ソフトバンクのフロントでも活躍された小林至氏が
NPBでは試合が10試合できなくなっただけで
収益が全てなくなると語られていたが、
12チームで最も少ないロッテが1試合平均23,463人。
年間166万人以上が入るNPBでも
71~72試合中10試合以上潰れれば赤字。
これが「プロ野球」の難しさでもあり、
規模の大きさでもあるのだろう。
それらの恐ろしさを当然熟知しているはずの
王会長や小林氏らが推進するプロ野球16球団構想。
新型コロナの影響でさらに道が険しくなったと思うが、
彼らがどのような戦略のもと動いているのか
まずはじっくり見守る必要があるだろう。
「CS反対」や「アンチナベツネ」などの
安易かつ拙速な精神的賛成論は
むしろ実際に動いている人たちに対する
侮辱であり冒涜でしかない。