スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

各チーム「ファン」の戦力外願望

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甲子園大会も終わって、
来週あたりからは高校生・大学生のプロ志望届提出選手が
公開され始める時期になった。
しかし、こうしたプロ志望届提出選手が指名されるには、
代わりに戦力外になる選手が必ず出ることを忘れてはいけない。

さて今回は、
各チーム「ファン」の声の中から、
「戦力外にしてほしいと言われることが多い選手」を
取り上げてみた。
ちょっとした番外編もあるよ。
ただし、こうした声はあくまで私自身が見聞きしたものに限られるので、
私がフォローしている人たちの傾向・性格や
「こう考えられているだろうな」と
偶然調べてみた内容が強く反映されている。
そのため、チームによってはかなり過激だったり温厚だったり、
「現実的に切らざるを得ない選手」ではなく
「現実的ではないがヘイトがやたらとたまっている選手」が
ここには非常に多く載っている。
その点をあらかじめご容赦いただきたい。
あと、投手や外国人は判別が難しかったため
記載していないチームも多い。

西武

P C IF OF 後任監督
    水口大地 木村文紀 監督コーチ全部  
      熊代聖人    
      金子侑司    
      斉藤彰吾    

ここは去年優勝したこともあってかあまり過激な人がいない。
なのでちょっと難しかったが、
使われるのをかなり嫌がられているのは木村、金子侑の2人のようだ。
あと内野手の指名を望む人は多いので
代わりに切られてもおかしくないのは水口か。
キャッチャーの場合は指名しても頭数が足りていないから
入れ替えたい選手は一応いないと判断した。
その一方で、スタメンを固定する傾向が強く、
層の薄さもあってリリーフ陣を多投気味にした
首脳陣の一新を望む声も今年は目立った。
ただし次期候補の希望はあまり見た記憶がない。

ソフトバンク

P C IF OF 後任監督
  高谷裕亮 内川聖一 江川智晃 監督コーチ全部 秋山幸二
    川島慶三 塚田正義   小久保裕紀
    明石健志      

このチームは若手の成長具合の関係もあって、
固定しきれないポジションに
ベテランを起用せざるをえないことも少なくないのだが、
若手に切り替えられるのに使われないだけと思われているのか、
ベテランに対するヘイトもけっこう蓄積されている。
その反面、今年は故障者が続出し若手も起用にこたえられなかったことで、
そこそこ使えるベテランはうかつに切れないと気づいた人も少なくないようだ。
そんな中で叩かれる最大の材料は監督。
特に就任2年目からは解任論が激しく繰り返されている。
ただ代わりの人選はあまり人が見つからないのか、
前監督の復帰や元代表監督の名前が挙がるぐらい。
しかも両者とも監督経験者だけにかえって評価は高くなく、
就任を渋る声も少なくないのが実情だ。

日本ハム

P C IF OF 後任監督
斎藤佑樹 黒羽根利規 田中賢介 白村明弘 監督コーチ全部 田中幸雄
中村勝   中島卓也 森山恵佑   稲葉篤紀
田中豊   森本龍弥 岸里亮祐   金子誠
立田将太   石井一成 姫野優也    

このうち、田中賢介は既に今季限りの引退を表明している。
このチームのファンは比較的穏健な人が多いらしいのだが、
中にはひたすら批判から入る人もおり、
その一帯の反応を参考にした。
中でも特に叩かれているのは中島。
石井まで入っているのは、
彼らが推している平沼固定の邪魔になると判断される可能性があるため。
また、監督については12球団の中では現役継続年数が最長*1な上、
人によって差はあるものの
オープナーや二番大田などが上記一帯以外でもかなり嫌われている。
名前が挙がることが多いのはこの3人だが、
新球場開場の時期や
日本代表監督が来年就任するのは当然無理といった関係から、
可能になるまでは仕方なく続投と言う人もちらほら。
なお、参考にした界隈では監督・コーチに加えて
フロントも全員クビだそうだ。

オリックス

P C IF OF 後任監督
成瀬善久 山崎勝己 鈴木昂平 宮崎祐樹 監督コーチほぼ全部 中嶋聡
山崎福也 飯田大祐 山足達也 松井佑介    
    白崎浩之 杉本裕太郎    

オリックスに関しては、
「大卒社会人ばかり獲って高校生を指名しないから弱い」
というどこかのドラフト評論家みたいな声をしばしば目にする*2
ここではその大卒社会人や外様の中から
あまり起用されていない選手を選んでみたが、
もしかしたら一軍でそこそこ使われている
小島、安達、小田、西野、福田も
戦力外候補に挙げられてしまうかもしれない。
投手のほうは叩かれやすいこの2人+数人が挙げられそう。
監督についてだが、
現在の西村監督というよりは
福良前監督時代からいる人全員ということらしい。
中嶋二軍監督の名前が挙がるのも今年から入った人だからか。

ロッテ

P C IF OF 後任監督
    福浦和也 清田育宏 監督コーチほぼ全部  
    細谷圭 伊志嶺翔大    
    李杜軒      
    大木貴将      

この中だと記録や年齢でも区切りのいい福浦は引退候補になる。
長年ヘイトがためられているのが清田と伊志嶺で、
前半戦調子のよかった清田も最近調子を落としているので
おそらく「クビにしろ」の大合唱だろう。
キャッチャーは単純に数が足りず、
投手も人数的に不安定すぎるので状況に応じてやむを得ずといったところ。
監督・コーチを「ほぼ」と書いたのは、
唯一吉井コーチは評判が良いため。
後任監督候補については具体的な名前をほとんど見ないが、
平沢、安田、藤原などを全試合スタメン固定して、
バント偏重にはしないが小技を多用するのが条件になるか。

楽天

P C IF OF 後任監督
戸村健次 岡島豪郎 今江年晶   不明  
西宮悠介 足立祐一 銀次      
近藤弘樹          
森雄大          

楽天でとにかく嫌われる傾向があるのは岡島、今江、銀次。
銀次は今年かなり調子がいいが、
年齢とポジションとの関係で
いらないという声は減らないように見える。
投手のほうはあまりそうした声は聞かないものの、
年齢的に名前が挙がるかもという選手を書いてみた。
ドラ1が多いのは即戦力を期待する半面、
失望からくるヘイトがたまりやすいから。
特に大卒や社会人の場合はそのような傾向が顕著に出る。
一方で監督については12球団で唯一解任論がほとんど聞かれない。
若手の起用もそれなりに積極的で、
戦術はオーソドックスな和風だがバント偏重でもないのが理由だろうか。

広島

P C IF OF 後任監督
薮田和樹 白濱裕太 田中広輔 松山竜平 監督コーチ全部 真中満
岡田明丈   菊池涼介 岩本貴裕    
矢崎拓也   庄司隼人 野間峻祥    
中﨑翔太          
横山弘樹          
飯田哲矢          

今年は特に、このチームの過激派が非常に増えたようだ。
中でも松山、野間、田中に対しては罵詈雑言の嵐になっている。
赤松を入れなかったのはせめて戦力外ではなく引退という意味。
彼らもそこまで鬼ではないはずと思いたい。
だが、やはりというか故障が発覚し手術した田中や
夏場に調子を上げてきた松山を再評価するかどうかは微妙なライン。
小園や林以外を使わせないために戦力外と言い張る可能性も極めて高い。
また菊池涼は噂されている海外FAでの移籍という意味合いだが、
流出の後を危惧するよりは「どうぞ出ていけ」と言わんばかりだった。
ここには載せなかった西川も少し調子を崩したら何と言われるか。
ちなみに穏健派かつ現実派のフォロワーの方は
最初に挙げた3人の時点でそれは困ると言ってたが、
この手の過激派がかなりの数いるのも事実なのである。
一方、実際に去就が怪しくならざるを得ない監督人事については
OBよりも外部から招いて悪い部分を一掃したいという意識が強いらしい。
それはいいのだが、名前のあがった真中前ヤクルト監督の理由は
「聖域を作らずに若手を使いそうだから」だそうだ。
「若手を聖域にしろ」と常日頃言ってる人たちが
何言ってるんだという気もするが。

ヤクルト

P C IF OF 後任監督
    三輪正義   監督、コーチの一部 高津臣吾
          宮本慎也

このチームに関しては過激派が少ないのか、
単に私の周りのヤクルトファンに過激派がいないだけか、
あるいは現状でも使える選手は総動員しているという認識からか、
「〇〇はクビだ」との声がほとんど聞かれない。
高年齢になっている三輪だけを一応入れておいたが、
三輪も含めて「こいつ使えねえから切れ」じゃなく
「人数枠考えるとこの選手を切らざるをえないか」ぐらいの感覚だろう。
それだけ戦力不足なわけでそれはそれで問題ではあるんだが。
一方で小川監督は元々後任へのつなぎの印象が強いうえに、
やや小技偏重の意識や投手の酷使も第一期から目立つため、
今年限りにしてほしいという人も多いようだ。
ただ後任について調べてみると、
既定路線と思われていた宮本ヘッドコーチの評価は下がり気味で、
高津二軍監督の評判が良くなっている。

巨人

P C IF OF 後任監督
岩隈久志 炭谷銀仁朗 中島宏之 ゲレーロ 監督コーチ全部 松井秀喜
大竹寛   ビヤヌエバ 陽岱鋼    
森福允彦   吉川大幾 村上海斗    
    田中俊太      

丸以外の外様組はほぼクビ候補扱いと見られる。
彼らは複数年契約など知ったこっちゃないのでこうなりがちだ。
また根本的に大社出身は1年目からの即戦力じゃないといやなのか、
2年目の田中俊や村上も候補に挙げられてしまっている。
今年の大竹は今のところ調子が悪くないが、
それでも容赦はしないだろう。
監督人事については謎。
現体制への評判は非常に悪いものの、
生え抜きOBも大半がコーチ経験者*3なためか、
巷の評価が高い後任候補がコーチ候補すらいないのである。
これが今年未経験者をコーチにした理由の一つなんだろうな。

横浜

P C IF OF 後任監督
平田真吾   倉本寿彦   監督コーチ全部 野村克也
赤間   狩野行寿     落合博満
笠井崇正   雄馬     高木豊
          カルロス・ポンセ
          真中満

名前の出そうな選手はあまり多くないのだが、
倉本、平田はヘイトがかなりたまっている印象がある。
あとは伸びの悪い選手や年齢的に切らざるを得ない選手で埋まるか。
一方、このチームの場合は選手よりも監督の毀誉褒貶が極端で、
支持する人も積極的・消極的含めてそこそこの数がいるが、
嫌う人はとことん嫌っている。
後任候補に現実にはあまりなさそうな野村、落合両氏を入れたのは、
現監督を嫌う層に日本式戦術を好む人が少なくないからである。
同タイプの采配をする人なら問題ないだろう。
なんだか2000年頃の権藤→森監督期みたいだけど。
あとは実際に名前を見かけた人を入れておいた。

中日

P C IF OF 後任監督
山井大介 木下拓哉 亀澤恭平 遠藤一星 監督コーチほぼ全部 立浪和義
松坂大輔 桂依央利 石川駿 井領雅貴   伊東勤
吉見一起 杉山翔大 石岡諒太 友永翔太    
小熊凌祐 武山真吾 三ツ俣大樹 近藤弘基    
阿知羅拓馬   溝脇隼人 渡辺勝    
大野雄大     滝野要    
谷元圭介          
田島慎二          
鈴木翔太          
福谷浩司          
伊藤準規          
木下雄介          

このチームに関しては、内外野が2014・15年ドラフト組ほぼ全員+α。
今年そこそこ出ている遠藤や井領も評価は怪しい。
捕手は石橋が全試合スタメン固定で大野奨と加藤がサポートすればいいらしく、
あとの日本人は全員即刻クビだそうだ。
さらに投手は27歳以上の日本人をほぼ全員クビにしろと言いかねない勢いである。
岡田以外は相当危なく、大野雄も評価が非常に低い。
これだと日本人だけで27人減ととんでもないことになったのだが、
ドラフトでは一部の大卒キャッチャー以外は
高校生大量指名でいいと思っている人が多い。
さすがにそれはだめだろと言う人ももちろんいるがね。
あとは例の騒動もあって監督へのヘイトがピークに達している。
後任候補には相変わらず立浪待望論が根強い。
伊東ヘッドコーチはさほど長打を重視するタイプではなく
中日ファンが嫌いそうに思えるのだが、評価は低くないようだ。
単に石橋を育成してくれそうだからだろうか。

阪神

P C IF OF 後任監督
岩田稔 岡崎太一 鳥谷敬 俊介 監督コーチ全部 掛布雅之
谷川昌希 小宮山慎二 山崎憲晴 伊藤隼太    
馬場皐輔   森越祐人      
高野圭佑   荒木郁也      
岡本洋介   陽川尚将      
高橋聡文   大山悠輔      
桑原謙太朗   熊谷敬宥      
伊藤和雄          
歳内宏明          
メッセンジャー   ナバーロ      
ガルシア   ソラーテ      
ドリス          

とりあえず野手・投手とも30代に到達した選手や
叩かれている選手は軒並み入れておいた。
先日の発言から去就が注目されている鳥谷はおろか、
開幕からずっと四番に固定されていた大山にも
かなりのヘイトがたまったいて、
最低でもトレード要員にしろという声はそこそこ見つかる。
これで69人中、1/3強の25人を戦力外にできる。
そのうち日本人選手は62人中19人。
阪神の場合、
「2002年オフのように1/3は入れ替えろ」
と主張する人が結構見られるので、
「あいつも」「もっと増やせ」と言われるかもしれないが少しは満足するだろう。
ただし、2002年実際に何人を戦力外にしたか覚えている人はいるのだろうか。
答えは注釈*4に書いておく。
1年目から解任が声高に叫ばれている
監督の後任候補は外部でもあまりいないのか、
掛布元二軍監督以外の名前は見ることが少ない。

「ファン」がフロント・監督に求める真の資質

戦力外選手は、
フロントが現場の意見も反映させながら決めるものだ。
だが今回示したように、
ほとんどのチームでは監督をクビにしろと騒がれているから、
誰を戦力外にするかの願望には
この「ファン」達がフロントに何を求めているのかが見えてくる。
一方で監督に何を求めているかは
現在の監督批判や次期監督候補から見ることができるわけだ。

さて、これらから見えてきた
「ファン」がフロントや監督に求めているものとはなんだろうか。
彼らの要求を細かく見るとこんなところになる。

  • 少しでも調子を落とした中堅ベテランはできるだけ早くクビ。その年の貢献度よりもヘイトのたまった選手優先
  • 1年目から結果を出せない、自分たちが気に入らない監督・コーチは即刻クビ
  • ドラフトでは自分たちの要求した選手を獲る。くじが当たらない、のちに活躍した選手を先に獲られたのはフロントが無能だから

采配だとこうか。

  • 「聖域を作るな」の名目のもとに自分が気に入った若手を聖域化する。聖域化した若手が結果を出せない、怪我をするのは監督・コーチのせい
  • ベテランはベンチの肥やしにするか、二軍行き。ベンチの場合も起用は他の若手優先
  • 初回からのバントは嫌いだが盗塁、バスター、エンドラン、バントそのものは多用する。常に小技で動かないのが一番無能
  • 長打力は大事だが、どの打順からでも小技はやらせる
  • 先発投手は無理に完投こそさせないができるだけ引っ張る。ただし引っ張って打たれるのは采配ミス


これだとただの結果論だが、単純な結果論とも少し違う。
気に入らない采配で結果が出た場合は、
結果だけを享受して監督や采配は叩く。
自分の主張と同じ采配で負けた場合は
監督・コーチ・選手が悪い。
ほめるのは、まだ監督へのヘイトがあまりたまっていない段階で
自分の主張と同じ采配をして勝ったときだけである。
はっきり言ってしまえば、
野村克也氏の言う「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」を
日常生活の憂さ晴らしと自己弁護に使っているにすぎない。
そう考えると、
彼らが後任監督候補を挙げられない理由の一端も見えてくる。
単純にいないのである。
当然だ。
彼らが欲しいのは
自分が遠隔操作する通りに動くbotであって、
人間ではないのだから。

*1:総年数では言うまでもなく再任の巨人原監督のほうが長い

*2:実際は20代前半に高卒野手はたくさんいるし、6年前に指名された高校生野手4人のうち3人は既にプロにいないのだが

*3:=コーチ時代に評価を下げてしまった

*4:支配下70人中計19人(27.1%)。日本人選手64人中15人(23.4%)、外国人選手4人。そのうち野手は3(2)人、投手が16(13)人である。