スポーツのあなぐら

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小園海斗をスタメン固定させたがる人たちへ

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「聖域」作りを求める「聖域批判者」

昨年のドラフトで4球団競合した広島の小園海斗が、
フレッシュオールスターでHRを放ちMVPを獲得した。
田中広輔の不調もあって先月早くも一軍昇格し、
今月は二軍で好調であることもあって
現在再び一軍にいる。

そして、「小園を今後スタメン固定しろ」と主張する人が多く、
1試合でもスタメンに入っていないと激怒する様子がSNS上で頻繁に見られる。
たまに「小園と田中や三好、曽根を競わせろ」と言う人もいるにはいるが、
実際は昨日のように
小園が試合途中から外れただけでブチ切れてるので、
本当は競わせる気などさらさらないのだろう。
彼らはずっと緒方監督に対して田中の「聖域」を批判していたが、
これはいったいどうしたことか。

だが、そんな小園の一軍スタメン固定、
もっとはっきり言えば「小園の聖域化」は
本当にチームの将来に有効な手段なのだろうか。
ここは、広島の過去のデータから検証してみよう。

カープのショート30年史

1988年から2004年までと、以前出した2005年以降を両方出してみた。

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今年は前半戦の数字。平均は集計を保存し忘れていたが、
一軍、ウェスタンとも昨年と大差なかったはずである。

1980年代に不動の一番ショートだった高橋慶彦の成績が
30代になって低下しだしたのが88年になる。
この年のドラフト1位で獲得したのが大学生の野村謙二郎
1年目は外野出場が多かったが、
2年目からはスタメンショートに入り、
リーグ平均を上回る数字を残し続けた。
しかし、年齢とともに故障が増えたこともあって
99年はショート以外での出場が多くなる。
そして2000年から代わりにショート固定されたのは、
前年に高卒1年目ながら一軍出場機会が多かった東出。
ところが守備の評価があまり高くないうえに
バッティングがここから伸び悩み、
2002年からは完全に低迷してしまった。
守備に定評のあったシーツが
好成績を残したこともあって、
東出は控えに回る。
その後は結果を残し始めていた尾形が故障したものの、
梵、田中と続いていく。

高卒選手のショート固定が危険な理由

中日の回でも説明したように、
高卒選手を早々にショートでスタメン固定するのは
非常に大きな危険を伴う。
特に最近のカープから見た場合、
尾形を含めると3人連続で大卒社会人というのは暗示的である。
ここから導き出せる結論は、
「高卒(大卒)だから」ということではなく
「完全固定するのは20代中盤以降に一軍で結果を出してから」
ということだ。
野手の全盛期は概ね27、8歳から前後数年間。
しかも一軍ショートに21、2歳前後で出てきた場合、
そこから数年は停滞ならまだしも、低迷期にすら入るケースが非常に多い。
東出はこのパターンの典型例になってしまった。
何かと理由をつけてごまかしてはいても
「若手をずっと固定し続けろ、どれだけ悪くても使えば伸びるから外すな」
の本音が随所に見える人は思いのほか多いが、
この意見に従うのは長期的に見て危険極まりないのだ。

しかも小園の場合は
7月に入って調子を上げてはいたものの、
トータルでの打撃成績は二軍平均を大きく下回っている。
一方で東出はというと、
99年は二軍でわずか104打席、HRこそなかったものの
OPSは.781*1でリーグ平均(.715)をかなり上回っていた。
99年当時のことだからOPSはともかくとしても、
下で好成績を残していて
かつ上のポジションが空いていたからこそ、
一軍へ呼ばれたのは間違いないのだ。
その点でも小園は、
とりあえず調子がいい今一軍の水に慣れさせる程度ならまだしも、
ショートでスタメン固定させる段階に達していない可能性は高い。
しかも守備ではまだ目に見えるエラーが多いため、
守備にかかる精神的負担が重くなりやすい。
この負担がバッティングに支障をきたすケースがあるのは、
ショートではないが堂林の例で証明済みだ。
こうした点からも、
まだ未熟な段階ではあまり無理に使い続けてほしくない選手である。
小園に限ったことではない*2が、
高卒1、2年目の19、20歳の選手を一軍スタメンに固定しろという主張は、
選手やチームの将来を考えたものではなく、
「俺様が高校野球の続きを見たい」だけのエゴにすぎないのだ。

*1:打率.290、長打率.441、出塁率.340

*2:今年のルーキーでは中日の石橋康太にもこういう主張がやたらと寄せられている