スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

高卒選手は得なのか

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前に、ここ10年間の
1~3位までのドラフト指名選手の平均契約・年俸額を載せたことがあった。
今回は拡大して1~6位までの平均金額を載せてみよう。

1~6位指名選手の平均契約金・年俸額

まずは野手。

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高校生の3位は以前説明した通りだ。
また入団人数も載せておいたが、
野手の上位指名となるととにかく高校生が多い。
続いて投手。

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6位の藤谷周平、宮田和希、菊沢竜佑は金額があまりにも違いすぎたので
彼らの額を除いた平均額も出しておいた。
こうして改めて見ると、野手・投手ともに
大学生と社会人の差がほとんどない。
この表では高卒5年目以内の社会人と
大卒2年目(高卒6年目)以降の社会人を区分けしていないので、
これだけで断定するわけにはいかないのだが、
社会人の合計金額は大卒選手が大卒2年目までに得る年俸分には
満たない金額になることが多いということになる。

本当は高い高卒選手

さて、同じように高校生のほうを見てみよう。
高卒選手の年俸が入団時より平均50万下がったと仮定して、
「大学生・社会人の1年目の契約金・年俸の合計金額と並ぶのは何年目か」を
出してみた。
なお高校生野手3位は5,000-600、
6位の大学生・社会人投手は安すぎる3人を除いた金額のほうで計算している。

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これを見ると、大学生と並ぶのは大体4年目、
社会人と並ぶのは概ね4~5年目になることがわかる。
社会人の場合は高卒3年目でのプロ入りと比べると安くなるが、
大卒社会人の場合は最低でも高卒7年目が同期になる。
つまり、1年単位で見ると高校生は安いが、
数年単位で見ると高卒のほうがはるかにかかる金額は高い
ことになるのだ。
実際にはさらにチーム内での育成その他の費用がかかるのは言うまでもない。
大卒や社会人でも1、2年目からそう簡単に主力になれない野手はまだ猶予期間が長くなるが、
早くに出てきやすい投手はそうはいかない。
ソフトバンクや2013年頃までの巨人といった金満球団が高校生重視をできるのも
何となく頷ける内容である。
特に6位の高校生投手と大学生投手とでは差がなさすぎ、
2年目までにはこの順位の大学生を上回らなければ損ということになってしまっている。

救いは、この6位の高卒投手に実績を残している選手が多いことか。
実績のある主な高卒投手を(不祥事等は関係なく)列挙してみるとこうなる。

6位 辛島航、中﨑翔太、上沢直之、二木康太
2位 伊藤準規中田廉八木亮祐宮國椋丞、歳内宏明、釜田佳直
3位 西勇輝、戸田隆矢、田口麗斗
4位 秋山拓巳、塚原頌平、石川直也
5位 松田遼馬、笠原将生

数が少ないが質は高い3位を除けば、上の順位よりも実績を残しているように見える。
少なくとも4位・5位よりは明らかに上、
というかごく最近の指名選手をまだこのリストに入れられないとはいえ、
4・5位が成功率も個々の貢献度も低すぎる。
どうなってるんだこれは。

高卒選手がお得になるには

逆に、高卒選手を得にするにはどうすればいいか。
考えられる答えは、早い段階で一軍に抜擢することである。
ただし、こういうときによく主張されるような、
一軍の力がないうちからの育成のための抜擢・スタメン固定はあまり意味はない。
そのようにしてスタメン起用を続けたなら
年俸はスタメン選手並とまではいかなくとも、
ある程度のレベルには当然引き上げなければならないからだ。
最低でも上位指名の大学・社会人1年目までは確実に上がると見ていい。
実績があがらないまま年俸が上がり続けるようでは
チームにとっても大きなマイナスになる。
つまり起用するなら、既に一軍の準主力級の力をつけてから抜擢する必要があるのだ。
自覚のない人たちは「そんなこと当たり前」と言うかもしれないが、
かなり前の話だがひどい例になると、
正確には覚えてないが1年目に二軍で20打数1安打だった高卒2年目の捕手を
一軍でスタメンに固定して英才教育しろと、ある評論家が主張したことすらある
(あまりにもひどい例なのでいまだに私の記憶に残ってしまっている)。
もちろんこれは突出した例ではあるのだが、
極度に若手、それも高校生を重んじる外部の評論家・ファンは
これに似た主張をすることが非常に多い。
しかし本当に重要なのは、
まず即戦力に近い選手を獲得すること、
その選手を短期間で育成し、
早すぎも遅すぎもしない段階で一軍起用をすること。
こういうことになる。

おまけ 合計金額の各順位上位・下位ランキング

おまけとして、合計金額のランキングを順位別に見てみよう。

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高校生の値段が全体的に上がっている印象がある。
チームによっても差が出ているのだが、
高校生に関しては3位に限らず2012、13年ごろから
極端な安値になる選手が減ってきているようだ。
大学生や社会人の場合はチームにとって即戦力度が高いかどうかが
ポイントになっているかもしれない。
中でもロッテ、オリックスはそれなりに高い金額を払うことが多いようだ。
一方で面白い結果になっているのが広島。
少し前に獲得した大学生・大卒社会人には結構な金額を払っていたが、
近年獲得した高校生は金額をやや抑え気味になっている。
高校生と大学生・社会人の契約をはっきり分ける傾向があるのかもしれない。