スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

NPBのPAPランキング

スポンサーリンク

ここでは今もごくたまに見かける
PAP(Pitcher Abuse Point)について、
2006年以降のPAPが多い主な投手をあげてみよう。
このPAPについては
MLBでもその価値に疑問符をつけられており、
日本で用いられることはほぼない。
日本で用いられた記事として有名なのは
2013年の日本シリーズ
田中将大が160球完投した際の批判記事だが、
近年PAPを使った記事を書くのは
ほぼ1人しかいないようだ。
この話もむしろ
そういった先発酷使批判が出た際の
確認用に載せている感がある。


目次

2021年最新ランキング

2021年でPAPが10万を超えたのは以下の6人。

PAP2021

2021年のトップは今井。
130球、140球台を費やしてでも完投させる回数が激減した
現代の野球において、
この指標は
ある程度球数を要しやすく
イニングの最後まで投げることを求められる選手が
どうしても多くなりがちである。
日本シリーズ第6戦で141球を投げた山本は
レギュラーシーズンだと
このイニング数と球数でこの程度の数字。
ほぼ全試合で100球は超えたものの
120球以上は8回、
最多は8月20日の126球だった。
なおこの6人のうち
中5日での先発は今井、柳、高橋、松本が3回で山本が2回。
PAPの基本条件である中4日以内での先発登板
一度もなかった

PAPに関する基本事項

日本とアメリカで異なる大前提

さて先ほども書いたが
PAPはMLBの中4日ローテを前提とした指標である。
ただでさえMLBでも意味合いが疑問視されている指標なのに
中6日が主流で前提条件すら異なるNPB
当てはめる意味があるのだろうか
という疑問が出てくる。
現在のNPBでは
基本的に中6日以上でごくたまに中5日
というローテーションが多い。
実は中4日を基本とする先発ローテは
MLBでもあまり用いられなくなっている。
具体的には
PAPが考え出された頃の
エース格数名+谷間の先発で
固定されたローテ投手の中4日を維持する体制
から
オープナー、ショートスターターなどを用いてでも
先発投手枠5枠を常に確保し
休養日に応じて中5日と中4日を併用する体制

少し変化しているのだ。
こうした前提条件の違いに加えて
それまでの年間のイニング数、球数や
ベンチ前キャッチボールも含めた
イニング間投球練習の球数、
対戦相手や時代によって
全力投球がどの程度の割合を占めているのかなど
他にも考察・精査しなければいけないポイントがあるのに、
先発投手の故障や不調の原因を
この指標だけで簡単に断定するわけにはいかないのである。
この指数自体は
あらかじめ計算式さえ作っておけば
比較的簡単に出せるものなので
100球を起点とした
先発投手のあり方の変遷を見るぶんには
多少役に立ちそう
だが、
これを使っての未来予測や
肝心の投手の酷使との関係について
因果関係を見出すのは
いささか無理があるように見える。

 

計算上の問題点

他にも難点として挙げられるのが
1試合あたりの点数=100球を超えた球数の3乗
という指標の性質上、
たった1試合の結果が非常に大きな影響を与える可能性がある
ことだろう。
2000年代において
極端な例として出たのが2006年の有銘兼久
彼は8月25日の試合で延長12回188球を投げぬいたが、
この1試合だけでPAPは68万を超えた。
有銘がPAPでプラスを記録したのは先発12試合中
次の9月1日に投げた116球(4 2/3回)の+4096だけなので
たった2試合、
実質的には1試合だけで
2006年のランキング2位に躍り出てしまったのだ。

一方で
ただ完投数が多いだけではPAP過多に直結しないのも
この指標の特徴である。
つい最近の例だと
2020年の大野雄大
20先発中10完投を記録し
100球未満は3試合しかなかったが、
120球超も計4試合で最多は7月31日の128球。
2020年の試合数の少なさもあいまって
PAPは10万すら切る結果となった。
球数を使わない省エネ投球が可能なら
こういうことも起こりうるわけだ。
プロ野球の先発の「酷使」が批判されるときは
だいたい完投数かPAPのどちらかが
用いられることが多いのだが、
どちらも用いる場合は
常に完投の際の球数を意識していないと
主張の根拠に矛盾が生じる
のである。

 

NPBのPAPランキング

2006~2010年

PAP2006~10

5年間で最も多い2009年涌井は
完投が多いだけじゃなく
6回で121球、7回156球といった試合もあり
球数を元々消費するタイプであることも
この数字につながった。
さすがにまずかったのではと思われるのが2006年一場。
創設2年目でエースの岩隈久志が離脱したこともあり、
投手がことごとく足りなかったこの年の楽天
一場、グリンらを中心とした中5日主体のローテを組んだ。
ローテ定着後の有銘も先発は8試合だが
この登板間隔となっており、
先述の188球も中5日でのもの*1だ。
そんな中で一場は
基本的に120球以上、
最高で168球*2を記録している。

2011~2015年

PAP2011~15

2011年からは明らかにPAPの数値が減少。
2011年に激変したということは
統一球導入による
リーグ全体の投打のバランスの変化が大きな要因と思われる。
2013年から上位常連になるのがメッセンジャー
メッセンジャーだけは
登板間隔が他の投手とは明らかに異質で、
同じチームの藤浪とも違う
特別なローテーションを組まれる中
毎年このような数字を記録した。
主な理由はやはり球数の多さ。
6~7回で120~130球を費やしての降板も多く
酷使とは言いづらい。
他の選手の中4日、中3日は
前の交代が非常に早かったため
ローテーションを崩して投げさせたケースも多い。

2016~2020年

PAP2016~20

PAPが10万を超える選手の数がかなり減っているだけじゃなく
中5日以内での先発登板も減少傾向にある。
2010年以前も
選手やチームによっては
中5日以内の登板頻度が少ないこともあったが、
その時代は
毎試合130~140球を費やす可能性を見たうえでの登板、
一方の2020年前後は
多くても110~120球台で交代させ
前後の登板に関しても
かなり厳格に管理するように
変化している印象がある。

*1:188球の次は中6日

*2:7 1/3回、9回125球から中4日