高校生のくじ運がすこぶるいい星野仙一
先日の、私の予想がなぜか当たってしまったNumberの記事をふと思い返して、
気づいたことがある。
以前出した星野仙一氏のドラフト1位入札の一覧表をもう一度出してみよう。
1位入札に高校生はたしかに多いほうなのだが、
それ以上によく見ると高校生に限ってはくじ運がかなり良いことに気づく。
86・87年の2連勝に加え、
楽天時代は2012年からくじ運のいい立花陽三球団社長が3連勝したため
高校生に限っては勝率が5割を超えているのだ。
逆に大学生・社会人は全敗である。
高校生の時は2チーム程度の競合に行くことが多いのも勝ちやすいポイントかもしれない。
しかし、もし抽選に外れていたら誰を指名したのだろう。
少なくとも、最初に高校生を指名したからといって
次も絶対に高校生に行くとはならないはずである。
そもそもドラフト指名というのは
チームの補強ポイント、残っている選手の実力・将来性・予想される指名順位などなど、
それら諸々の要因を考慮して決まるものであって、
「〇〇を指名しなければならない」という思想や宗教で決めるものではないからだ。
まあドラフト評論家には「同じポジションの選手を指名しなければならない」とか
「高校生・野手に行かなければならない」とか主張する大御所たちがいるわけだが。
くじを外したチームは誰を指名したか
ここでは86~90年の中日、2008~09年の阪神、2010~17年の楽天と
同じ選手に1位入札したチームがその後誰を指名したか見てみよう。
逆指名・分離時代は今回は入れない。
逆指名下ではドラフト前日までに大学・社会人の上位候補の大半が指名済みになるため、
高校生の外れ指名もほとんどが高校生になるのは自明だからである。
実際、2004年までの自由枠時代を含めても
外れ1位24人中大学・社会人は3人しかいない(はず)。
実に多種多様な結果になっている。
しかも、「同じポジションの選手を指名」しない場合でも、
「高校生・野手」を指名しない場合でも、
当たり選手を何人も輩出していることもわかる。
また最近のパターンを見ると、
一般的に高校生を大量指名していると勝手に思われている広島や日本ハムも含めて
大半のチームが高校生から大学生・社会人の指名に切りかえているのもわかる。
昨年は例外中の例外でもあり、
単純に各チームの需要と供給の関係から
長打力の高い選手の指名を目指したこともうかがえる。
そこには現実を見ないただの主義や思想・信仰などはないのだ。
さて、もし星野時代の中日や最近の楽天が高校生の抽選を外したとしたら、
本当にその後でも高校生の指名に走っただろうか。
なにせ外れた年と違って、当てた年は残っている高校生の相対順位は高くない。
そして代わりに大学・社会人を指名していたとしたら、
「星野氏は高校生偏重。他のチームも見習え」などと書けたのだろうか?